トウガン トウガンの概要

トウガン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/25 21:37 UTC 版)

トウガン
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: スミレ目 Violales
: ウリ科 Cucurbitaceae
: トウガン属 Benincasa
: B. pruriens
品種 : トウガン B. p. f. hispida
学名
Benincasa pruriens (Parkins.) W.J.de Wilde et Duyfjes f. hispida (Thunb.) W.J.de Wilde et Duyfjes (2007)[1]
シノニム
和名
冬瓜
英名
winter melon,
Wax gourd[4]
white gourd[5]
chinese watermelon[5]
成熟前のややうぶ毛のある状態のトウガン果実

名称

和名トウガンの由来は、夏季が旬の野菜であるが、丸(玉)のまま保存すればまで日持ちすることから「冬瓜」(とうが)の名がつき[7][4][8][9]、それが転訛して「とうがん」とよばれるようになった[5]

別名、トウガ[10]カモウリ(氈瓜・加茂瓜・賀茂瓜)[10]とも呼び、石川県富山県ではカモリ沖縄県ではシブイと言う。英名はホワイト・ゴード(white gourd)、あるいはウインター・メロン(winter melon)といい、仏名は、クルジュ・シルーズ(courge cireuse[5]、中国植物名は冬瓜(とうが、拼音: dōngguā、ドォングゥア)という[10]

特徴

原産は熱帯アジア[10][11]インド東南アジア[7][8]といわれる。日本には、古代中国から渡来し、畑で栽培されていた[11]。日本での栽培は平安時代成立の『本草和名』に「カモウリ」として記載があり、同時代に入っていたが渡来詳細は明らかになっていない[8][12][13]。主産地は宮崎県、茨城県、愛知県[8]

一年生のつる植物で、茎は地面を這って長く伸びて、無色の毛が生えていて、巻きひげがある[11]は大型の浅く5 - 7裂した丸形で、掌状になっている[11]

花期は夏(8 - 9月ころ)で、葉腋に直径7.5 - 10センチメートル (cm) のヘチマに似た黄色いを咲かせる[11]。同株異花で、雄花と雌花があり、雌花に果実がつく[11]果実は偏球形または30 - 50 cmほどの長楕円形で、はじめは触ると痛いほどの白い毛で覆われているが、熟すころになると毛は落ちて、ブルームが析出して白い粉が被ったようになる[11]。7 - 9月に収穫し、実は大きいもので短径30 cm、長径80 cm程度にもなる[要出典]

完熟後皮が硬くなり、貯蔵性に優れる[9]。完全に熟したトウガンは約半年品質を保つという。

品種

栽培品種は、丸みのある球型の「マルトウガン(丸冬瓜)」と、長さやのような長楕円形の「ナガトウガン(長冬瓜)」に大別される。大きさは10 kgを超える巨大果から、2 - 3 kgの手頃なミニサイズまで幅広い[14]。また特徴的な品種に完熟しても白粉をおびない「オキナワトウガン(沖縄冬瓜)」がある。

大丸冬瓜おおまるとうがん
丸みのある球型の実。熟すと表面に白粉をおびる。日本在来で[5]本州で古くから生産されている品種。
小丸冬瓜こまるとうがん
ミニサイズの丸い冬瓜。球径20 cm程度、重さは2.2 kg程度。従来より小玉で球形、扱いやすい大きさの冬瓜
長冬瓜ながとうがん
長く伸びやや細さがあるものや、のような長楕円形の実。熟すと表面に白粉をおびる。一般に「とうがん」とよばれるもので、流通しているものは果実長25 - 30 cmほどで、白い粉がとられている[14][5]
ミニとうがん
扱いやすく実を小型化した品種で、果実長は20 cmほど。果肉は白くてやわらかい[14]
沖縄冬瓜おきなわとうがん
俵のような長楕円形の実。熟しても白粉は付かず、果皮の緑色が視覚的に確認が容易である。九州南部以南が主な生産地域だったが、1972年の沖縄返還以降、多地域で品種改良や生産が活性化。近年においては「大阪産(もん)」の認定を受け、大阪特産品としても販売を行っている[15]

注釈

  1. ^ 白い桃の花を日干し乾燥した生薬で、漢方薬局で入手可能なもの[20]

出典

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Benincasa pruriens (Parkins.) W.J.de Wilde et Duyfjes f. hispida (Thunb.) W.J.de Wilde et Duyfjes トウガン(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月28日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Benincasa hispida (Thunb.) Cogn. トウガン(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月28日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Benincasa cerifera Savi トウガン(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月18日閲覧。
  4. ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 78.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m 講談社編 2013, p. 101.
  6. ^ 広辞苑第5版
  7. ^ a b c d e f g h i j k l 主婦の友社編 2011, p. 90.
  8. ^ a b c d 冬瓜”. いわき市. 2019年10月19日閲覧。
  9. ^ a b c d e とうがん<野菜類>”. 食の医学館. 小学館. 2015年7月16日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g 貝津好孝 1995, p. 133.
  11. ^ a b c d e f g 田中孝治 1995, p. 196.
  12. ^ JA豊橋ブランド:冬瓜”. 豊橋農業協同組合. 2015年7月16日閲覧。
  13. ^ 日本大百科全書『トウガン/冬瓜』小学館
  14. ^ a b c 主婦の友社編 2011, p. 91.
  15. ^ “夏の味覚・トウガン 岸和田で出荷本格化 大阪”. 産経新聞. (2014年8月5日). https://www.sankei.com/article/20140805-BFDPTGD3R5L6HLZN6XEBFT4FEU/ 2015年7月15日閲覧。 
  16. ^ a b c d e f 板木利隆 2020, p. 76.
  17. ^ a b 板木利隆 2020, p. 77.
  18. ^ a b c d e 板木利隆 2020, p. 78.
  19. ^ a b 板木利隆 2020, p. 79.
  20. ^ a b c d e f g h 田中孝治 1995, p. 197.
  21. ^ 『四季日本の料理 冬』講談社 ISBN 4-06-267454-8
  22. ^ 私家廚房: 迷你八寶冬瓜盅 - YouTube(投稿日: 2008年7月1日)
  23. ^ 楊品瑜 (1999). 台湾茶の楽しみ方とおいしい料理. 三心堂出版社. ISBN 4883423131 41p
  24. ^ とうがんの日 人の波 宮古島で催し沖縄タイムス 2010年4月11日 09時37分)[リンク切れ]
  25. ^ 4月10日はとうがんの日です。(沖縄県) Archived 2008年10月21日, at the Wayback Machine.
  26. ^ 4月10日は「とうがんの日」琉球朝日放送 2010年4月10日 17時46分)


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