スレイド (バンド) 経歴

スレイド (バンド)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/23 21:28 UTC 版)

経歴

1970年代まで

イン・ビトゥイーンズ英語: The N' Betweens)というで1966年結成。同年キム・フォーリーのプロデュースでシングルをリリースしているが、この時点では単発に終わる。

その後元アニマルズチャス・チャンドラーに見出され、1969年アンブローズ・スレイド英語: Ambrose Slade)名義でファースト・アルバム『ビギニングス』を発表。しかしながら、同作前後に発売されたシングルと同様に、チャートインすることはなかった[4]。なお、このアルバムはスレイドのディスコグラフィでもファースト・アルバムとして扱われている。

ここまではビート・ロックサイケデリック・ロックの影響下にあるサウンドを聴かせていたが、チャンドラーの指導によりイメージ改革に乗り出すこととなる。スレイドへ改名し、派手な衣装をまとい、ポップなメロディーに豪快かつタイトなリズムを合わせたサウンドを創出[1]ティーンエイジャーから厚い人気を得るようになり、1971年のシングル『だから君が好き』で全英シングルチャート1位を初めて獲得。

また、時期を同じくしてライブ・パフォーマンスに対する評価が上がり、1972年発表のライブ・アルバム『スレイド・アライブ英語版』は英国アルバムチャート2位まで上昇。すかさず発表したスタジオ盤『スレイド?』は1位を獲得。以降『スレイデスト英語版』『大狂乱スレイド一座英語版』の2枚のアルバムも1位を獲得。シングル盤『だから君が好き』や『恋のバック・ホーム』『クレイジー・ママ』『カモン!!』『スクゥイーズ・ミー、プリーズ・ミー』『メリー・クリスマス・エヴリバディ』と1973年までに計6枚が1位に入った。特に『メリー・クリスマス・エヴリバディ』は、100万枚を超えるベストセラーとなった[5]

1974年にバンド主演の映画スレイド・イン・フレイム英語版』の制作を開始。映画はスレイドをはじめとしたバンドの間で起こった音楽業界での出来事に基づいた内容であった[4]。映画のサウンドトラック盤からの先行シングルとして発売された『ファー・アウェイ』は、全英シングルチャートで最高位2位を獲得し[6]ノルウェーのチャートでも上位にチャートインした[7]。同作はホルダーのお気に入りの楽曲ともなった。11月にサウンドトラック盤『狂乱の炎』が発売され、多くの批評家から肯定的な評価を得た一方、翌年1月に公開された映画は芳しい成果は得られなかった[4]

1975年に入ると、T・レックスデヴィッド・ボウイスウィートスージー・クアトロなどと並ぶ人気ミュージシャンになり、圧倒的な人気に乗りアメリカ進出も目論むが、芳しい成果は得られないまま終わる。イギリス国内においても、映画のテーマ曲「ハウ・ダズ・イット・フィール」が1975年2月にシングルとして発売されるも、シングルチャートでは最高位15位と[8]、チャートアクションが鈍り始めた。

1977年にはポリドールとの契約も切られ、チャンドラーとも意見の相違から決別することとなる[4]。同時にスレイドのサウンドと相対する面があるパンク・ロック全盛の時代においては、しばらく低迷を味わうことになる。

1980年以降

1980年にパンクのブームが終わり、NWOBHMの勢いが増すと、スレイド自体も徐々に人気を取り戻し、レディング・フェスティバルでの演奏も高く評価され、再びシングルがチャート上位に顔を出すようになる。

そしてスレイドの復活を決定的にしたのは、1983年クワイエット・ライオットが「カモン!!」をカヴァーして大ヒットさせたことだった。これによりオリジナルのスレイドへの注目度が上がり、『マイ・オー・マイ英語版』『ラン・ラン・アウェイ英語版』が英国チャートトップ10入り。アメリカでも『ラン・ラン・アウェイ』が20位に入り、同地では1970年代を超える成功を収めた。

1992年、ホルダーがバンド内における議論や不満に嫌気が差したことにより脱退。同時にホルダーがスレイドにとって不可欠なメンバーだとしていたリーも脱退したことにより、23年間の活動を終えた。この間一度もメンバー交代を行わなかった。それから間もなくして、残ったパウエルとヒルが新メンバーを迎え、スレイドII英語: Slade II)を結成[9]

2002年にバンド名を「スレイド」にを戻し、アルバム『キープ・オン・ロッキン英語版』を新曲を追加し、タイトルを「Cumon Let's Party」に改題して発売された[10]

2005年にスレイドII結成時からのボーカリストであるスティーヴ・ウァーリーが脱退し、入れ替わりでマル・マクナルティが加入。11月にコンピレーション・アルバム『ヴェリー・ベスト・オブ・スレイド』を発売し、全英アルバムチャートで最高39位を獲得[11]。同年にはミュージック・ビデオ集も発売された[12]

2006年にサルーボ・レコードよりボックス・セット『The Slade Box - Four CD box anthology 1969-91』とライブ・アルバム『スレイド・アライヴ英語版』が発売された[13]。また、同年から2007年にかけてサルーボ・レコードよりオリジナル・アルバムのリマスター盤が発売され、日本で発売された一部のリマスター盤にボーナス・トラックが追加収録された[14]

2020年、パウエルがヒルによってバンドを解雇されたことを告白。同時に公式サイト上でドンは、元メンバーのクレイグ・フェニーとともに「ドン・パウエルズ・スレイド」を結成してスレイドの楽曲を演奏することを発表した[15]


注釈

  1. ^ “Rock and Roll all Nite‘ is a direct bastard child of Slade's ‘Mama Weer All Crazee Now’.”(「『ロックンロール・オールナイト』は、スレイドの『クレイジー・ママ』の"私生児"なんだよ」)」とシモンズが述べる箇所がある[2]
  2. ^ 2019年から担当。
  3. ^ オーストラリアでは「The Very Best of Slade」というタイトルで発売された。

出典

  1. ^ a b c d Prato, Greg. Slade|Biography & History - オールミュージック. 2020年3月5日閲覧。
  2. ^ Kiss Founder Gene Simmons Says Band’s ‘Heart and Soul Lies in England’”. ultimateclassicrock (2011年11月9日). 2014年3月31日閲覧。
  3. ^ Du Noyer, Paul (2003). The Illustrated Encyclopaedia of Music (1st ed.). Fulham, London: Flame Tree Publishing. ISBN 978-1-904041-96-2 
  4. ^ a b c d Charlesworth, Chris (1984). Slade, Feel the Noize!: an illustrated biography. London: Omnibus Press. ISBN 0-7119-0538-X 
  5. ^ Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 506. ISBN 978-1-904994-10-7 
  6. ^ Official Singles Chart Top 50 (20 October 1974 - 26 October 1974)”. Official Charts Company (1974年10月20日). 2020年6月24日閲覧。
  7. ^ Steffen Hung. “Slade – Far Far Away”. norwegiancharts.com. 2020年6月24日閲覧。
  8. ^ Official Singles Chart Top 50 (02 March 1975 - 08 March 1975)”. Official Charts Company (1975年3月2日). 2020年6月24日閲覧。
  9. ^ Powell, Don; Falkenberg, Lise Lyng (2013-10-11). Look Wot I Dun: Don Powell of Slade. Omnibus Press. ISBN 9781783230006. https://books.google.com/?id=3jj_AgAAQBAJ&pg=PT335&dq=%22walk+this+way%22+don+powell#v=onepage&q=%22walk+this+way%22+don+powell&f=false 2017年10月28日閲覧。 
  10. ^ Cum on Let's Party! by Slade : Reviews and Ratings”. Rate Your Music (2010年7月26日). 2020年6月24日閲覧。
  11. ^ Official Albums Chart Top 100 (04 December 2005 - 10 December 2005)”. Official Charts Company (2005年12月4日). 2020年6月24日閲覧。
  12. ^ Thompson, Dave. The Very Best Of... Slade [Video] - Slade | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年6月23日閲覧。
  13. ^ Salvo”. Salvo-music.co.uk. 2020年6月24日閲覧。
  14. ^ “スレイド、リマスター紙ジャケを全16タイトル発売に”. CDJournal ニュース (株式会社シーディージャーナル). (2006年12月7日). https://www.cdjournal.com/main/news/-/13619 2020年6月24日閲覧。 
  15. ^ “スレイドのドラマー、50年以上在籍したにもかかわらずEメールでバンドを解雇されたと主張”. NME Japan (BandLab UK Limited.). (2020年2月6日). https://nme-jp.com/news/85379/ 2020年3月5日閲覧。 
  16. ^ Finnish chart peaks” (Finnish). Sisältää Hitin - Suomen listalevyt (Timo Pennanen). 2020年6月23日閲覧。
  17. ^ a b c BPI Certification”. British Phonographic Industry. 2020年6月23日閲覧。
  18. ^ Canadian Certification”. Music Canada. 2020年6月23日閲覧。
  19. ^ UK chart peaks”. Official Charts Company. 2020年6月23日閲覧。
  20. ^ Kent, David (1993). Australian Chart Book 1970-1992 (Illustrated ed.). St. Ives, N.S.W.: Australian Chart Book. p. 277. ISBN 0-646-11917-6  N.B. The Kent Report chart was licensed by ARIA between mid-1983 and 19 June 1988.
  21. ^ Swedish chart peaks”. swedishcharts.com. 2020年6月23日閲覧。
  22. ^ Belgian (Flanders) chart peaks”. ultratop.be. 2020年6月23日閲覧。
  23. ^ Slade”. Billboard. Prometheus Global Media. 2020年6月23日閲覧。
  24. ^ (English) Billboard. Books.google.co.uk. (1 September 1973). https://books.google.co.uk/books?id=JQkEAAAAMBAJ&pg=RA1-PA49&dq=slade+let+the+good+times+roll+114&hl=en&sa=X&redir_esc=y#v=onepage&q=slade%20let%20the%20good%20times%20roll%20114&f=false 2020年6月23日閲覧。 
  25. ^ Chartwatch magazine. Chartwatch. (December 1990). pp. Breakers 1976 section 





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