アフリカ系アメリカ人
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評価と反応
アフリカ系アメリカ人で有名になった者はアフリカからは尊敬されており、例えばバラク・オバマは父の故郷ケニアでは英雄視され、その夫人のミシェル・オバマは黒人奴隷の子孫である影響で奴隷貿易の拠点のケープ・コースト城の訪問では熱烈に歓迎を受けており、さらにケニアやアメリカで「オバマ」「ミシェル」と子供に命名する親が急増した。
アフリカ系アメリカ人は世界一の経済大国で育った影響に加えて、奴隷制時代の歴史的経緯から白人との混血も少なくないことから白人扱いされる例がある。例えばアパルトヘイトを行っていた南アフリカ共和国では名誉白人と扱われていた事があった。また白人社会で育った影響でアフリカ本土の黒人とは摩擦が起きており、黒人奴隷のために建国したリベリアに移住した者、つまりアメリコ・ライベリアンは1847年の独立から1980年までリベリアの政治・経済を支配し原住民を見下した事でリベリア国内の対立の火種となった。
一方アメリカを敵視する反米思想の持ち主からは『白人に媚びる黒人』『裏切り者』として軽蔑の対象とされている。例えば反白人感情をあおったロバート・ムガベは自国を批判したライスを「白人の奴隷」「アンクル・トムの娘」と揶揄し、反ブッシュ的なハリー・ベラフォンテはブッシュ政権の黒人閣僚を「白人に媚る奴隷」と揶揄し、反米組織のアルカーイダのナンバー2であるアイマン・ザワーヒリーはオバマとライスとパウエルを「ハウス・ニグロ」と呼んだ。
他国のアフリカ系国民との比較
アフリカに旧植民地を保有した影響で、イギリスやフランスには移民により多くのアフリカ系住民が住んでいる。しかしアフリカ系フランス人はスポーツ選手以外ではアフリカ系アメリカ人よりも社会進出に遅れており、未だに多くが貧困層でスラム街に住んでおり、差別への怒りに対する暴動が起きる事もある。カナダでは2.5%の78万人のアフリカ系カナダ人が存在しており、ミカエル・ジャンというハイチからのアフリカ系女性がカナダ総督に任命されている。
ベネズエラの反米的なウゴ・チャベス大統領はスペイン人、インディアン、アフリカ人の血を引くムラートとメスティーソである。
スポーツ
アフリカ系アメリカ人はその身体能力を遺憾なく発揮し、あらゆる競技で目覚しい活躍を見せている。
北米4大プロスポーツリーグのNBA、NFLでは存在感が際立っている(NBA選手の約85%、NFL選手の約70%を占める)[21]。中でもバスケットボールに関しては、ヒップホップなどと並んで黒人文化の一端を担っている。「バスケットボールの神様」と呼ばれたマイケル・ジョーダンの登場後、ますます密接に結びついていった。バスケットボールは全ポジションにおいてアフリカ系選手の比率が高いが、アメリカンフットボールの場合はポジションによって比率が大きく異なってくる。NFLやNCAAカレッジフットボールのような高いレベルにおいては、アフリカ系選手が優れているとされる脚力や瞬発力が要求されるポジション(RB、WR、CBなど)は、そのほとんどがアフリカ系選手で占められている。中でもRBはアフリカ系選手にとって花形ポジションであり、ラダニアン・トムリンソンのようなスター選手は、アフリカ系コミュニティの間で憧れの存在となっている。一方、QBやキッカー、パンターなどのポジションにおいてはアフリカ系選手の比率は比較的少ない。しかし、近年はマイケル・ヴィックやヴィンス・ヤングに代表されるように、RB並みの脚力を武器にパスプレーよりもランプレーを持ち味として活躍するアフリカ系QB(モバイルQB)が増えつつある。
最古参であるMLBは、ジャッキー・ロビンソンの登場までアフリカ系選手を締め出していた。20世紀中頃までは、アフリカ系選手のみで構成されるニグロリーグが隆盛を誇り、黎明期は人種差別に苦しみながらも結果を残し続け、やがてMLBに不可欠となっていく。フランク・ロビンソンが初のアフリカ系監督になったものの、近年はアフリカ系アメリカ人の減少が目立っている。1995年頃から減少し続け、2006年には8.4%まで下がった。2009年には久々に増加に転じて10.2%となったものの[22]、危機感を抱いたMLBはアフリカ系選手の開拓に乗り出している[23]。また、カーティス・グランダーソン[24]、トリー・ハンター[25]、リッキー・ウィークス・ビル・ホール[26] らのように、多くの現役選手がアフリカ系コミュニティへの普及活動を積極的に行っている。アフリカ系アメリカ人の野球選手は、ケン・グリフィー・ジュニアやバリー・ボンズに代表される走攻守揃った5ツールプレイヤーや、リッキー・ヘンダーソン、ケニー・ロフトンのような盗塁数を積み重ねる俊足選手が多い。ポジション別では外野手がずば抜けて多く、とりわけ中堅手が大半を占める。
同じく一角であるアイスホッケーは、アフリカ系選手の数が極めて少ない。2009年4月の時点では、NHL全体でアフリカ系アメリカ人選手は7人しかいない[† 5]。アイスホッケーだけに限らず、ウインタースポーツには「白人のスポーツ」という偏見が未だに根強く存在し、アフリカ系選手の進出は進んでいない。それでも2006年には、トリノ五輪スピードスケート男子1000mでシャニー・デービスがアフリカ系として初の冬季五輪金メダリストになったりもしている[27]。
陸上競技では、特に短距離走の分野でアフリカ系選手の活躍が目ざましい。カール・ルイスを筆頭に、数多くの五輪金メダリストを輩出している。一方、重量挙げにおいてはアフリカ系選手が活躍することは少ない。
ボクシングなどの世界でも、アフリカ系アメリカ人は無くてはならない存在になっている。モハメド・アリを筆頭に輩出している。一方総合格闘技においてはアフリカ系選手の活躍は少なく、特に柔道などの組技系格闘技においてはアフリカ系選手の占める割合は非常に少ない。
水泳においては、ウインタースポーツと同様に偏見によりアフリカ系選手の進出が進んでいないが、2000年のシドニー五輪でアンソニー・アービンがアフリカ系アメリカ人として初めて米国水泳代表に選ばれ、男子50m自由形で金メダルを獲得した。
競馬においても、かつてはアイザック・マーフィーやジミー・ウィンクフィールドらに代表されるアフリカ系の騎手の活躍している時代が存在していた。奴隷時代に牧童として使役されていた若年者が、奴隷解放宣言後に騎手として転向した例が多く、10代前半からデビューするのが一般的であった。19世紀末は特に顕著で、1875年の第1回ケンタッキーダービーでは出走馬15頭のうち14頭がアフリカ系騎手を背にしていたほどである。しかし1920年代に入るとアフリカ系騎手はほとんど消え失せ、現在ではほぼ見かけることがない。
注釈
- ^ 英語発音: [ˈæfrɪkənəˈmɛrɪkən] アフリカナメリカン
- ^ アメリカ英語発音:[ˌæfroʊəˈmɛrɪkən] アフロウアメリカン
- ^ アメリカ英語発音:[ˈniːɡroʊ]/イギリス英語発音:[ˈniːɡrəʊ] ニーグロウ
- ^ アメリカ英語発音:[ˈnɪɡər] ニガー、イギリス英語発音:[ˈnɪɡə(r)] ニガ
- ^ カナダなどの他国籍選手を加えても、25人と少数である(List of black ice hockey players参照)
出典
- ^ “ACS DEMOGRAPHIC AND HOUSING ESTIMATES: 2017 American Community Survey 1-Year Estimates”. United States Census Bureau. 2018年4月5日閲覧。
- ^ “米陸軍、「ニグロ」表記容認の内部規定を削除 謝罪も表明”. CNN. (2014年11月8日) 2014年11月10日閲覧。
- ^ Debra J. Dickerson (January 22, 2007). Colorblind – Barack Obama would be the great black hope in the next presidential race – if he were actually black. salon.com. オリジナルの2010-09-24時点におけるアーカイブ。 2010年10月7日閲覧。.
- ^ Debra Dickerson - The Colbert Report - 2/8/07 - Video Clip | Comedy Central
- ^ Thomas Jefferson and Sally Hemings: An American Controversy by Annette Gordon-Reed, p.160
- ^ 米国赤十字社
- ^ 黒人奴隷クンタの20年間 =「世界商品」の生産と黒人奴隷制度=
- ^ “米黒人の“南部回帰”が不況のあおりでUターン 伝統的ライフスタイルも引力” 2011年6月5日閲覧。
- ^ “黒人少年射殺、マイケル・ブラウンさんが殺されたアメリカ・ファーガソンで暴動再燃”. The Huffington Post (2014年8月17日). 2015年1月2日閲覧。
- ^ “黒人男性エリック・ガーナーさんを窒息死させた白人警官も不起訴 NYに怒りの声渦巻く”. The Huffington Post (2014年12月4日). 2015年1月2日閲覧。
- ^ “「息ができない」「撃つな」1万人が米議会に向けデモ、黒人死亡事件に抗議”. 産経ニュース (2014年12月14日). 2015年1月2日閲覧。
- ^ “米白人学生らが黒人侮辱ビデオ 南部オクラホマ大で抗議”. 産経ニュース. (2015年3月10日) 2015年4月1日閲覧。
- ^ “Floyd Mayweather: 'I'll cook that chump'”. ESPN.com (2010年9月4日). 2017年5月22日閲覧。
- ^ “Floyd Mayweather questions Jeremy Lin”. ESPN.com (2012年2月15日). 2017年5月22日閲覧。
- ^ “クリス・ロック、アカデミー賞授賞式でのジョークが人種問題を「矮小化&下品」と非難の的に”. TVグルーヴ (2016年3月3日). 2017年5月22日閲覧。
- ^ “バイデン氏、中国系標的のヘイトクライムを非難 「米国らしくない」”. AFP (2021年3月12日). 2021年3月14日閲覧。
- ^ “アジア系への暴力事件、日本人も被害 少数派間の連帯不可欠 遠い融和 狙われるアジア系(下)”. 東京新聞 (2021年5月18日). 2021年9月14日閲覧。
- ^ “白人とアジア系の関係は良いと約90%が回答、関係が悪いのは黒人とヒスパニック”. Record China (2013年7月20日). 2017年5月22日閲覧。
- ^ “WBC Suspends Adrien Broner Over 'Mexican' Swipe”. BoxingScene.com (2014年5月7日). 2017年5月22日閲覧。
- ^ “報復警官殺しで、混乱深まる人種間対立”. ニューズウィーク日本版 (2014年12月24日). 2017年5月22日閲覧。
- ^ Jon Entine(著)、星野 裕一(訳)「黒人アスリートはなぜ強いのか? -その身体の秘密と苦闘の歴史に迫る」より
- ^ MLB Scores An "A" For Racial Diversity CBS NEWS
- ^ 大リーグ、悩みは黒人選手の減少 MSN産経ニュース
- ^ Granderson tries to get youth involved(mlb.com)
- ^ The Torii Hunter project
- ^ 蛭間豊章記者の「Baseball inside」ブルワーズ2選手と黒人少年達の小さな旅(第372回)
- ^ シャニー・デービス黒人初金/Sスケート nikkansports.com
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