ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/02 14:08 UTC 版)
概要
新橋と東京臨海副都心を結ぶ交通機関として、1995年(平成7年)11月1日に新橋駅 - 有明駅間 11.9 km が開業した。開業当初の新橋駅は現在の位置より 100 m 有明駅寄りの位置にあった仮駅で、現在この位置は汐留シオサイトの敷地である。2001年(平成13年)3月22日に東日本旅客鉄道(JR東日本)新橋駅前の現在の位置まで移転・延伸された。2006年(平成18年)3月27日には、有明駅 - 豊洲駅間 2.7 km が延伸開業した。
新橋駅ではJR東日本の山手線等や東京メトロ銀座線、都営浅草線と、汐留駅では都営大江戸線と、豊洲駅では東京メトロ有楽町線と乗り継げる。またりんかい線の東京テレポート駅と国際展示場駅は、ゆりかもめの最寄り駅から徒歩圏内である。
この路線は、1996年に開催される予定であった世界都市博覧会のアクセス線として注目を浴びたが、同博覧会は東京都知事青島幸男の公約実行で中止された。これにより、ゆりかもめは40億円の赤字を出すと言われていたが、実際に開業すると乗客は順調に増加し、1日10万人以上を数えるようになり、黒字経営の路線となった。
沿線にはオフィスビルや高層マンションのほか、多数の観光資源(お台場や有明地区、豊洲市場など)やコンベンションセンター(東京ビッグサイト)などの集客施設が存在し、これが利用増につながっている。また、私立大学(有明教育芸術短期大学、東京有明医療大学、武蔵野大学有明キャンパス)が新たに開校し、通学利用者も増加している。
さらに2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け臨海エリアには同大会の競技会場が複数新設されたことから、アクセス路線としての機能も担うことになった[注釈 2]が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響で無観客での開催となったため、予定されていた臨時列車の運行は取り止められている[4][5]。
また、車窓からは東京タワーやレインボーブリッジ、東京スカイツリー、東京ゲートブリッジなど東京のシンボルを望むことができる。芝浦ふ頭駅 - お台場海浜公園駅間で渡るレインボーブリッジの新橋側の接続部は、芝浦ふ頭駅と橋梁との高低差が大きく、軌道の勾配を緩やかにするためループ構造を採用している[6]。
自動列車運転装置 (ATO) による無人自動運転を実施している。運行中は車内に運転士や車掌がいないため、車内での緊急時には備え付けのインターホンで対応することになる。なお、早朝・深夜時間帯やATOの機能障害などの非常時に備えて行われる手動運転訓練時などには自動運転ではなく運転士が乗務し、ワンマン運転を行っている。この場合、車両最前部の座席は運転席となり、旅客は使用できない。
全駅に東京メトロ南北線や金沢シーサイドラインなどと同じフルスクリーンタイプのホームドアを設置している。それぞれの駅には様々な日本の伝統文様が割り振られ、ホームドアなどにこのモチーフが反復して使われている。例えば、お台場海浜公園駅のモチーフは松葉色の地に白抜きの老松模様である。
路線データ
- 路線距離(営業キロ):14.7 km
- 案内軌条:側方案内式
- 駅数:16駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電気方式:三相交流 600 V・50 Hz
- 最高速度:60 km/h[3]
- 本線ではないが、有明車両基地への出入庫線は約700 mあり、また出入庫線(側線)には60‰の急勾配と30 mの急曲線がある[2]。
新橋駅 - 豊洲駅間が1本の路線となっているが、路線の免特許上は以下のように軌道法に基づく軌道区間と鉄道事業法に基づく鉄道区間(第一種鉄道事業)とが混在している。これは、その下を走る道が道路法に基づく道路であるか、それ以外の道(主として港湾法に基づく港湾道路)であるかの違いによるものである。AGTには、他にも軌道区間と鉄道区間が混在している路線がある。
- 新橋駅 - 日の出駅間 (2.2 km) - 軌道
- 日の出駅 - お台場海浜公園駅間 (4.7 km) - 鉄道
- お台場海浜公園駅 - テレコムセンター駅間 (2.3 km) - 軌道
- テレコムセンター駅 - 東京ビッグサイト駅 (2.1 km) - 鉄道
- 東京ビッグサイト駅 - 豊洲駅間 (3.4 km) - 軌道
注釈
出典
- ^ a b c d e f 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』 30号 モノレール・新交通システム・鋼索鉄道、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2011年10月16日、23頁。
- ^ a b c 日本鉄道施設協会『日本鉄道施設協会誌』1996年9月号「東京臨海新交通 - 臨海線ゆりかもめ - 」pp.11 - 13。
- ^ a b 杉崎行恭『山手線 ウグイス色の電車今昔50年』JTBパブリッシング、2013年 p.168
- ^ “東京2020大会オリンピック期間中の臨時列車運行取りやめについて”. ゆりかもめ (2021年7月9日). 2022年3月29日閲覧。
- ^ “東京2020大会パラリンピック期間中の臨時列車運行取りやめについて”. ゆりかもめ (2021年8月17日). 2022年3月29日閲覧。
- ^ ゆりかもめよくある質問 - 2011年9月18日時点でのアーカイブ
- ^ ゆりかもめ新型車両デビュー! (PDF) - ゆりかもめ
- ^ a b 『ゆりかもめ新型車両 7300系 いよいよ デビュー!』(PDF)(プレスリリース)ゆりかもめ、2013年12月12日。 オリジナルの2014年1月10日時点におけるアーカイブ 。2024年1月18日閲覧。
- ^ 「三菱重工、ゆりかもめの新型108両を受注」Response.jp 2010年6月11日
- ^ 新交通ゆりかもめ向け全自動無人運転車両(AGT)48両発注 2020年に向けて導入 - 三菱重工
- ^ “ゆりかもめは新型車両を導入します” (PDF) (2018年3月29日). 2018年5月3日閲覧。
- ^ a b 『2018.11.11(日)ゆりかもめ新型車両7500系デビュー!』(PDF)(プレスリリース)ゆりかもめ、2018年10月4日。 オリジナルの2018年11月12日時点におけるアーカイブ 。2024年1月18日閲覧。
- ^ “ゆりかもめ7200系車両の引退について”. ゆりかもめ (2020年10月15日). 2020年10月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月15日閲覧。
- ^ 『鉄道ジャーナル』第32巻第4号、鉄道ジャーナル社、1998年4月、114頁。
- ^ 『鉄道ジャーナル』第32巻第7号、鉄道ジャーナル社、1998年7月、98-99頁。
- ^ 『船の科学館駅及び国際展示場正門駅の駅名改称日が決まりました!』(PDF)(プレスリリース)ゆりかもめ、2019年1月15日。 オリジナルの2019年3月3日時点におけるアーカイブ 。2020年9月17日閲覧。
- ^ 『おかげさまで ご乗車10億人 達成しました!』(PDF)(プレスリリース)ゆりかもめ、2023年7月20日 。2024年1月18日閲覧。
- ^ “都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査 広告書 概要版” (PDF). 中央区 (2015年3月). 2015年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月28日閲覧。
- ^ “選手村予定地に地下鉄構想、五輪後の住宅整備見込む”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2015年6月12日) 2016年4月28日閲覧。
- ^ “広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫” (PDF). 東京都 (2015年7月10日). 2016年4月28日閲覧。
- ^ “東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(答申)” (PDF). 東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会. 国土交通省 (2016年4月20日). 2016年4月24日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 仕事紹介 - ゆりかもめ、2018年11月9日閲覧。
- ^ ゆりかもめの鉄道駅業務 - スタンバイ、2023年6月2日閲覧
- ^ Mayumiさんのプロフィールページ
- ^ a b 【4月30日(土)、5月1日(日)】日本テレビなるほど!ハイスクール「AKB48の声がゆりかもめの車内自動アナウンスに!」について Archived 2012年9月22日, at the Wayback Machine. - 株式会社ゆりかもめ トピックス 2011年4月25日
- ^ “最混雑区間における混雑率(令和4年度)” (PDF). 国土交通省. p. 6 (2023年7月14日). 2024年4月1日閲覧。
- ^ 令和4年度 移動等円滑化取組報告書 https://www.yurikamome.co.jp/company/405e9eb135177c2a32a7b184d6efd2ff.pdf
- ^ 財団法人運輸政策研究機構平成14年度都市交通年報(調査年度は2000年度)
- ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線のページへのリンク