みえ (列車)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/26 23:56 UTC 版)
みえ | |
---|---|
快速「みえ」 | |
概要 | |
種類 | 快速列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 愛知県・三重県 |
運行開始 | 1990年3月10日 |
現運営者 |
東海旅客鉄道(JR東海) 伊勢鉄道 |
旧運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 名古屋駅 |
終点 | 鳥羽駅(一部列車は伊勢市駅) |
営業距離 | 122.5 km (76.1 mi)(名古屋 - 鳥羽間) |
運行間隔 | 13往復 |
列車番号 | 2900D+号数 |
使用路線 |
JR東海:関西本線・紀勢本線・参宮線 伊勢鉄道:伊勢線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
座席 |
普通車指定席 4両編成:1号車 2両編成:1号車鳥羽寄り半室 普通車自由席 2両編成:1号車名古屋寄り半室・2号車 4両編成:2-4号車 |
技術 | |
車両 |
キハ75形気動車 (JR東海・名古屋車両区、美濃太田車両区) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 |
直流1,500 V(名古屋 - 河原田間)[注 1] 非電化(河原田 - 鳥羽間) |
運行速度 | 最高120 km/h (75 mph) |
概要
三重県北部の主要都市を経由して名古屋市と伊勢市・鳥羽市を結んでいる。経路のうち、関西本線の名古屋駅 - 河原田駅間は電化されているが、伊勢鉄道伊勢線および紀勢本線・参宮線は非電化区間であるため、気動車によって運行されている。
名古屋市と三重県の商業・観光の中心である伊勢地域の間の都市間輸送は、明治時代に関西本線・参宮線ルートが先行開通した。太平洋戦争後、近畿日本鉄道(近鉄)が名古屋線・山田線・鳥羽線を通る特急列車の運行を開始し、距離・頻発ダイヤ・高速運転の面で優位となり、次第にこの地域の主要な交通手段となった。1973年に関西本線・紀勢線間の短絡ルートとなる伊勢線(現・伊勢鉄道伊勢線)が開業した後もこの状態は続いていた。
1987年の国鉄分割民営化で発足したJR東海は、新幹線接続の利点を生かし、JRと近鉄が並行する地域全体の乗車需要を喚起するために、快速「みえ」の運行を開始した。
運行概況
名古屋駅発8 - 20時台、伊勢市駅発7 - 19時台の時間帯において、上下とも概ね毎時1本の運行である。東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」との接続も図られている。なお土曜・休日には、名古屋駅7時台発の伊勢市行き「みえ51号」が運行される[1][注 2]。
名古屋駅 - 多気駅間では、特急「南紀」とほぼ同一の停車駅である。参宮線内は、朝・日中の鳥羽駅始発・終着列車は伊勢市駅・二見浦駅・鳥羽駅停車であるが、夕方・夜間の下り伊勢市行きや上り鳥羽発の列車では参宮線内全線で各駅に停車する列車および鳥羽駅 - 伊勢市駅間で各駅に停車する列車があり、普通列車の補完的役割も果たしている。
2000年代以降は臨時列車として金曜日および休日の前日の名古屋駅21時台発に「みえ」91号が運転されることがあったが、2011年春季を最後に運行されていない[4][5]。
2013年夏季には、神宮式年遷宮の実施に伴い「みえ」93号と「みえ」94号が運行され、このうち93号は全席指定席とされた。同年秋には前記した2列車に代わり、キハ85系気動車による臨時急行「いせ」を、一部グリーン席を含む全席指定席で運行していた[6]。
停車駅
名古屋駅 - 桑名駅 - 四日市駅 - 鈴鹿駅 - 〈中瀬古駅〉 - 津駅 - 松阪駅 - 多気駅 - (外城田駅) - (田丸駅) - (宮川駅) - (山田上口駅) - 伊勢市駅 - (五十鈴ケ丘駅)- 二見浦駅 - (松下駅) - 鳥羽駅
- ( )は上下の一部列車のみ停車、〈 〉は上りの一部列車のみ停車。
- 鈴鹿サーキット稲生駅には、近隣の鈴鹿サーキットで行われる大規模レースなどの開催日(特にFIAF1世界選手権日本グランプリ、鈴鹿8時間耐久ロードレース、SUPER GT開催時、スーパーフォーミュラ開催時)に一部列車が臨時停車。1991年3月改正時から1990年代は定期的に停車する列車もあったが[注 3]、1999年12月4日ダイヤ改正をもって定期的な停車駅からは外れている[8][9]。
- 2006年までは鈴鹿駅を通過する列車もあった。また2011年までは土曜・休日ダイヤにおいて蟹江駅・弥富駅にも停車する列車(朝の名古屋行52号1本のみ。2022年3月改正までの区間快速停車駅)も設定されていた。池の浦シーサイド駅の営業日には、同駅に一部列車が臨時停車することもあった。
- 停車駅は特急並みに絞られているが、単線区間が多いことから、列車交換のための運転停車が行われることがある。
停車駅の詳細は以下の表を参照。
鳥羽行 (一部列車は伊勢市止) |
名古屋行 | 名古屋駅 | 桑名駅 | 四日市駅 | 鈴鹿駅 | 中瀬古駅 | 津駅 | 松阪駅 | 多気駅 | 外城田駅 | 田丸駅 | 宮川駅 | 山田上口駅 | 伊勢市駅 | 五十鈴ケ丘駅 | 二見浦駅 | 松下駅 | 鳥羽駅 | 備考 |
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3,5,…,13号 | 12,14,…,22号 | ● | ● | ● | ● | - | ● | ● | ● | - | - | - | - | ● | - | ● | - | ● | 日中。51号もこの停車駅(名古屋発伊勢市行)。 |
1,15,17号 | 4,6,8,10,24,26号 | ● | ● | ● | ● | △ | ● | ● | ● | - | □ | □ | - | ● | ● | ● | ● | ● | △は4号、6号のみ停車。□は4号のみ停車。 |
19,21,23,25号 | 2号 | ● | ● | ● | ● | △ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 伊勢市発着。△は2号のみ停車。 | ||||
出発本数
(2020年4月現在) |
上り(名古屋行) | - | 13 | 13 | 13 | 3 | 13 | 13 | 13 | 1 | 2 | 2 | 1 | 13 | 6 | 12 | 6 | 12 | |
下り(鳥羽行・伊勢市行) | 13 | 13 | 13 | 13 | 0 | 13 | 13 | 13 | 4 | 4 | 4 | 4 | 13 | 3 | 9 | 3 | - |
- ●:全列車停車
- △ □:一部の上り列車が停車
- -:通過
- 51号は、土曜・休日に運行される臨時列車
使用車両・編成
みえ | ||||||||||||
← 伊勢市・鳥羽 名古屋 →
| ||||||||||||
| ||||||||||||
名古屋車両区に配置されているキハ75形気動車が1993年8月から使用されている。普通車のみで、当初は2両編成で運行され、1号車の一部が指定席として設定されていた。
2007年からは週末の朝夕に運行される列車を中心に4両編成(1号車は指定席)で運行するようになり、2011年3月12日のダイヤ改正において、新製されたキハ25形気動車を武豊線運用に充当し、捻出されたキハ75形を「みえ」運用に充当することで、定期列車はすべて4両編成で運行されるようになったが、2014年12月1日以降は一部列車が2両編成に戻されている[10]。
定期列車の4両化以前でも年末年始など初詣輸送、繁忙期などを中心に4両編成で運行されることがあり、その場合は1号車全車を指定席にしていた[注 4]。式年遷宮やF1日本グランプリ対応の関係でごくまれに6両編成で運転することもあった[11]。現在はF1日本グランプリ時は基本4両編成で、混雑緩和のため全車自由席としている。
「みえ」ではワンマン運転を実施しないため、通常はキハ75形基本仕様車の名古屋車両区所属の0・100番台か200・300番台が使用されているが、増結時には美濃太田車両区所属のキハ75形(高山本線・太多線のワンマン運転対応仕様車も含む)が使用されることもある。なお美濃太田車両区管内での運用とは異なり、定期列車の「みえ」が3両編成で運転されることはない(臨時列車で3両編成になることはある)。
上り「みえ」の送り込みとして、朝にキハ75形を使用した普通列車が伊勢市→多気→鳥羽間で設定されている。「みえ」運用時に指定席となる部分で「指定席」「一部指定」などの表記がされることがあるが、この普通列車は全車自由席である。
運行開始当初は、名古屋車両区で急行「のりくら」として運行されていたキハ58形・キハ65形を改装した車両を使用していた。
-
キハ58形+キハ65形による快速「みえ」
(1992年7月ごろ 名古屋駅)
利用状況
設定当初、昼夜問わず2両編成の運用が基本で、うち1両の座席番号1番から6番までの約0.5両分が指定席であった(下り列車では1番、上り列車では6番が、進行方向の逆向き固定となる)。
「青春18きっぷ」、「ジャパンレールパス」などのJR全線乗り放題の特別企画乗車券では、経由する伊勢鉄道の運賃(河原田駅 - 津駅間で520円)が別払いとなる。一方でJR東海が発売している「青空フリーパス」では、2006年3月18日から伊勢鉄道もフリー区間に入ったことで、別払いが不要になった。
2005年10月1日より、4枚つづりの回数券「快速みえ得ダネ4回数券」が発売されている[12]。正規運賃と比較してもかなり割安になっているが、使用期限が1か月という制限がある。券名には「みえ」の名前が入っているが、快速みえと同じ経路の関西本線、伊勢鉄道伊勢線、紀勢本線、参宮線の普通・区間快速・快速列車も使用可能な他、別途特急券を購入することで特急「南紀」も利用できる。なお、名古屋 - 鳥羽間の営業キロは200kmを超えないので(伊勢鉄道経由で122.5km)、普通乗車券であれば名古屋駅を運賃計算の起点または終点とする特定都区市内制度「名古屋市内」は適用されないが、この回数券については「名古屋市内」が適用される。
注釈
出典
- ^ ““冬”の臨時列車のお知らせ” (pdf). 東海旅客鉄道 (2019年10月18日). 2019年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月1日閲覧。
- ^ 『JR時刻表』第695号、交通新聞社、2021年3月、213頁。
- ^ 例として名古屋駅:“関西線時刻表” (pdf). 東海旅客鉄道 (2021年3月13日). 2021年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月28日閲覧。
- ^ a b ““春”の臨時列車のお知らせ” (pdf). 東海旅客鉄道 (2011年1月21日). 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月1日閲覧。
- ^ a b ““夏”の臨時列車のお知らせ” (pdf). 東海旅客鉄道 (2011年5月20日). 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月1日閲覧。
- ^ 式年遷宮に向けた取り組みについて (PDF) - 東海旅客鉄道プレスリリース 2013年7月18日
- ^ 『JR時刻表』第335号、弘済出版社、1991年3月、201 - 208頁。
- ^ a b 『JR時刻表』第438号、弘済出版社、1999年10月、207 - 215頁。
- ^ a b 『JR時刻表』第440号、弘済出版社、1999年12月、218 - 226頁。
- ^ a b “冬”の臨時列車のお知らせ (PDF) - 東海旅客鉄道、東海旅客鉄道プレスリリース 2014年10月24日
- ^ 快速“みえ”3号・12号,6両編成で運転 - 鉄道ファン・railf.jp鉄道ニュース(交友社) 2013年6月23日
- ^ 『東海旅客鉄道20年史』東海旅客鉄道、2007年、613頁。
- ^ 寺本光照『国鉄・JR 悲運の特急・急行列車50選』JTBパブリッシング〈キャンブックス〉、2015年、115頁。
- ^ a b 『東海旅客鉄道20年史』東海旅客鉄道、2007年、88頁。
- ^ a b 『JR時刻表』第323号、弘済出版社、1990年3月、194 - 200頁。
- ^ 『JR時刻表』第368号、弘済出版社、1993年12月、209 - 216頁。
- ^ 『東海旅客鉄道20年史』東海旅客鉄道、2007年、89頁。
- ^ 『東海旅客鉄道20年史』東海旅客鉄道、2007年、90頁。
- ^ a b c 『東海旅客鉄道20年史』東海旅客鉄道、2007年、253頁。
- ^ 『東海旅客鉄道20年史』東海旅客鉄道、2007年、254頁。
- ^ “平成23年3月ダイヤ改正について” (pdf). 東海旅客鉄道 (2010年12月17日). 2018年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月1日閲覧。
- ^ ““冬”の臨時列車のお知らせ” (pdf). 東海旅客鉄道 (2012年10月19日). 2016年3月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月1日閲覧。
- ^ ““春”の臨時列車のお知らせ” (pdf). 東海旅客鉄道 (2015年1月23日). 2017年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月1日閲覧。
- 1 みえ (列車)とは
- 2 みえ (列車)の概要
- 3 沿革
- 4 脚注
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