Nouvelles grandes études caractéristiques Op.95とは? わかりやすく解説

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モシェレス:新しい性格的第練習曲

英語表記/番号出版情報
モシェレス新しい性格的第練習曲Nouvelles grandes études caractéristiques Op.95作曲年1836年  出版年1837年  初版出版地/出版社: Kistner  献呈先: Monsieur Le Conseiller de Rochlitz

作品解説

2011年5月 執筆者: 上田 泰史 

モシェレス大規模な練習曲集には作品70 (1827, 28) と本作の2集がある。いずれも高度な演奏技術体得目的とするが、とりわけ後者同時に様々な書法親しみそれぞれの楽曲のもつ固有の特徴表現することにも等しく力点置かれている。実際フランス版タイトルには「様式とブラヴーラの発展のための」という説明付け加えられている。ここで言う様式」とは音楽的着想表現する方法、つまり「作品相応しい」解釈演奏することであり、また「ブラヴーラ」とは作品華々しく技巧的側面を指す。要するに、この練習曲は手と指の技巧性と表現力双方の向上を目標としている。フランス初版ではモシェレス意志反して各曲表題なしで出版されたが、ドイツ初版には全ての曲に描写的なタイトル付けられている。各曲半音階第1番)、三度六度(第10番)、和音連打第2番)・跳躍第6番)、分散和音第7番)、ポリフォニー(第9・11番)など一定の技巧的課題基づいて書かれているが、限られた素材のなかでモチーフ十全展開され様々な音域配置されるなど極めて精緻計算されている。殆どの曲は急速なテンポ要求しているが、第7番甘美でゆったりとした声楽様式書かれ、第9・11番には瞑想的夢想的な雰囲気纏うとなっている。

資料
モシェレスは、フランスでこの練習曲集表題なしで出版されたとき、それを不本意に思い出版者モーリス・シュレジンガー手紙書いたこの手紙は1838年1月21日パリシュレジンガー社から出版されていた音楽雑誌『ルヴュ・エ・ガゼット・ミュジカール』に掲載されている。ここには出版されたばかりの《性格的練習曲作品95各曲タイトル序文モットー出版社によって故意省かれたことに対すモシェレスの不満を見ることができる。また、タイトル必要性訴えながらも、あくまで音楽描写性から距離を置こうとする姿勢ショパン作曲美学相通ずる部分がある。



《ガゼット・ミュジカル・ド・パリ》の編集者殿

拝啓

それぞれの作曲家の名誉というのは、その作品が厳密かつ完全なかたちで出版されるということかかわってます。というのも作曲者批評世論に対して責任があるからです。この原則によるならば、私の名を冠してM. シュレジンガー社から出版され新し性格的練習曲が、私のまったく解せない理由によって不完全なかたちで出版されということを、音楽享受する大衆理解してもらう必要があると思うのです。出版され楽譜には説明的な序文モットーばかりかそれぞれの練習曲性格的タイトル抜け落ちてます。これらはドイツ版イギリス版ならびにそれをもとにフランス版作ってもらうことになっていた自筆譜存在するものです。ですから私はM. シュレジンガー社が間もなく唯一完全で、私が認めた新しエディション作る約束したことをお知らせする必要がある思います
 貴社出版の『ガゼット・ミュジカル』の次号にて、以下のほんのわずかな文章掲載していただければ幸いに存じます




これらの練習曲作者以前出版された二作の続編としてこれを作曲したわけではないが、しかし、筆者はそれらの練習曲集にすでに慣れ親しんだ人々にこれらの練習曲をぜひとも捧げたい以前出版され練習曲通して予備練習終え十分な心得が身に着いているなら、ピアニスト筆者が自ら設定した芸術のいっそう高尚な目的近づくことになるだろう。
筆者テクニック上の大きな難所克服するために鍛えられピアニストの手想定しているので、各練習曲演奏法に関する以前練習曲集にある指示はすべて削除しなければならない考えた指使い指示ほとんどない演奏者何よりも表現するように努めなければならないのは、心の印象であり、溢れでる情熱である。それぞれの練習曲付され性格的タイトルならびに様々なニュアンスを示す専門用語作曲者意図ごく僅かにしか表していない。これ以上描写的であろうとすることは、[音楽]芸術限界を超えてしまうことになると筆者には思われたのだ。筆者はただ、ピアニストたちの想像力喚起し、この作品作曲しながら筆者抱いた印象似た印象生み出すことを望んだまでである。


いかなる音楽家も、自分自身感動していないうちは聞き手感動させることはできないだろう。それゆえ、ぜひとも再現したいと思うあらゆる感情に身を浸してなければならない彼の感情理解させるよう努めてこそ、聞き手をその感情共有することができるのである

訳:上田泰



No. 1 (怒りAllegro non troppo イ短調
No. 2 (和解Andante placid ヘ長調
No. 3 (矛盾Vivace
No. 4 (ユノAllegro maestoso イ長調
No. 5 (お伽話Allegretto grazioso 変ホ長調
No. 6 (バッカナールAllegro con spirit イ短調
No. 7 (優しさAndante molto espressivo ト長調
No. 8 (謝肉祭の情景Presto ホ短調
No. 9 (海辺に注ぐ月光Andante placid 変イ長調
No. 10 (テルプシコラAllegro giocoso ロ短調
No. 11 (夢)Andantino grazioso
No. 12 (不安)Presto agitato イ長調

1 ローマ神話における主神ユピテルの妻。結婚司る最高位女神
2ギリシア神話登場する学芸司る9女神ムーサ一人舞踊守護神とされる




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