金星探査
金星は、大きさ、重さとも地球によく似た惑星
金星は、地球のすぐ内側を回り、地球と月の距離の約100倍まで、地球にもっとも近づく惑星です。赤道直径は地球の0.95倍の1万2,104km、重さは地球の0.81倍と、大きさ・重さとも、地球とよく似ています。金星は、地球や他の惑星とは逆に自転し、その周期は243日です。太陽のまわりを1周する公転周期が225日なので、自転のほうが長くかかることがわかります。
「明け・宵の明星」は二酸化炭素におおわれた「灼熱地獄」だった
1960年代に入ってはじめられた金星探査も、はじめは失敗を重ねました。しかし、アメリカのマリナー2号は1962年12月、はじめて金星から3万5,000kmを通過し、金星には磁場(じば)も放射帯(ほうしゃたい)もないことを確認しました。1967年には旧ソ連のベネラ4号が放出したカプセルが金星大気に突入し、金星大気がほとんど二酸化炭素でできていることを観測しました。高度100kmより下には濃硫酸と思われる厚い雲の層があり、温度は500℃近くに達することもわかりました。1970年、金星への軟着陸に成功したベネラ7号は、表面温度475℃、気圧90度というデータを地球に送ってきました。
金星の表面は高温・高圧だが、意外と明るい世界
1973年11月に打ち上げられたマリナー10号は、紫外線カメラによる金星の雲画像の撮影に成功しました。周期が225日という金星のゆったりとした自転から、昼夜の温度差が大きいだろうと推測され、高速の風が予想されていましたが、やはりこの雲の画像から秒速200m以上の風が吹いていることが裏づけられました。また、1975年6月に打ち上げられ、金星に軟着陸したベネラ9号と10号ははじめて金星の表面の写真を地球に送り届けました。それによると、大きな岩ばかりの表面は、地獄のような高温・高圧の世界とはいえ、意外と明るい世界でした。
1978年は当たり年。2機のパイオニア・ビーナスとベネラ11・12号が金星に
1978年は金星探査の当たり年でした。まず、5月と8月の2機のパイオニア・ビーナス(アメリカ)に続いて、旧ソ連がベネラ11号と12号を打ち上げました。この2機のベネラには新たに雷探知機が搭載され、金星大気中での大雷鳴を毎秒数十回も観測しました。2機のパイオニア・ビーナスのうち2号は、金星到達の3週間前に金星プローブ(突入探査機)を投下し、金星大気が二酸化炭素97%、窒素(ちっそ)1~3%、水蒸気0.1~0.4%をふくむこと、また、1万m以上の山や巨大な谷があることも明らかにしました。1号は金星を周回する軌道に入り、有名な「パイオニア・ビーナス・オービタ」としてレーダーを使って金星表面の地図を作成しています。
新技術を投入した探査計画で金星の実態がしだいに明らかになる
1989年5月、スペースシャトルから打ち上げられたアメリカの探査丘マゼラン」は、「合成開口レーダー」という新しい技術を駆使して、金星表面の地図を高い分解能で作成しています。また現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2007年以降に打ち上げられ、2009年に金星に到達する探査機ミッション「PLANET-C」を計画しています。このミッションによって、金星に関するさまざまな疑問を解く鍵が得られると期待されています。
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