銀河の地図を作ったハーシェル
銀河系の解明にいどんだウィリアム・ハーシェル
ニュートンが1687年に発表した力学の法則は、物理学や天文学を根本から書きかえる画期的な出来事でした。星座や天体の位置を正確に観測することが重要な仕事だった天文学は、その後、天体物理学としてめざましい発展をとげます。
この大きな変わり目に活躍したのがイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェル(1738~1822)です。ウィリアム・ハーシェルの興味は宇宙の構造がどうなっているかを解明することでした。彼は精度の高い大口径の望遠鏡を開発し、一定の面積ごとの天体数を克明に記録していきます。ぼう大な星の数を調べた結果、天の川に沿った銀河赤道の方向には星が集中し、銀河の南と北の極の方では星が急減するという事実をつきとめました。
観測結果から円盤状の構造を理論的に解明
ウィリアム・ハーシェルは、この観測結果から、銀河系が薄い円盤状の構造をしているのではないかと考えました。円盤の薄いほうを見ると星が少なく夜空は暗く見え、円盤の「つば」のほうを真横から見れば、たくさんの星が見えることになり、それが白い川の流れのように目にうつります。彼の克明な観測結果は、このことを実証していました。こうして銀河系の構造は、ハーシェルによって円盤状であることが初めて明らかにされました。
古代以来、天空の星々は、さまざまな物語や神話とともにとらえられ、宇宙の姿はさまざまな想像の産物として描かれてきましたが、この時代になって、地球は太陽系に属し、太陽は銀河系の一部であり、宇宙は多数の銀河で構成されるという実際の宇宙の姿を、人類はようやく知るにいたります。そして、その後の天文学は、精密な観測とニュートンの力学にもとづく理論によって飛躍的な発展をし、人類の宇宙観は大きく変貌をとげます。
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