かいせきりきがく【解析力学】
かいせき‐りきがく【解析力学】
解析力学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 01:23 UTC 版)
解析力学(かいせきりきがく、英: analytical mechanics)とは、一般座標系に対して成り立つ運動方程式を導出して展開される力学体系を言う。その運動方程式はラグランジアンやハミルトニアンと呼ばれる座標変換に対して不変な量に変分法と最小作用の原理等を適用することで導出される[注 1]。
注釈
- ^ 解析力学の体系は基本的にはラグランジュ力学とハミルトン力学により構成される。大貫義郎 「まえがき」『解析力学』 岩波書店、1987年
- ^ ここで、空間に固定したデカルト座標系で静止する n 個の質点の内 i 番目の座標を 、その質点にかかる力の合力を としている。参考 山内(1959) p.149
- ^ 仮想仕事の原理のときと同様に、空間に固定したデカルト座標系で運動する n 個の質点の内 i 番目の座標を 、その質点にかかる力の合力を とする。さらに i 番目の質点の質量を とする。なお、釣り合いのために加えられる力 を慣性抵抗(force of inertia)と呼ぶ。 参考 山内(1959) p.158, Lanczos(1970) p.88
- ^ マッハも次のように述べている。
- "ここに引用された簡単な諸例は、困難な点をもたず、解析力学の操作の意味を説明するのに十分である。解析力学から力学現象の本性についての新しい原理的解明を期待してはならない。むしろ原理的認識は、本質的には、解析力学の構築が考えられうる以前に完結していなければならない。解析力学は問題のもっとも簡単な実用的な克服だけを目的としている。この関係を見誤る人には、この場合にも本質的には経済的意味をもつラグランジュの偉大な業績は理解されずに終わるであろう。"
- マッハ(1933) 下巻 p.260から。
- ^ ラグランジュ形式は微分幾何学とも相性がよく、相対性理論の分野では必須である。
- ^ ハミルトン形式はその後の量子力学とくに行列力学へと続く。
- ^ ラグランジュ方程式は微分方程式を与えるのに対して、ハミルトンの正準方程式は積分を与える。さらにこれから、ハミルトン・ヤコビの偏微分方程式が得られる。
出典
- ^ フィールツ 1977 付録 p.112
- ^ フィールツ 1977 付録 p.134
- ^ フィールツ 1977付録 p.137
- ^ 広重 1968, p. 109
- ^ フィールツ 1977付録 p.149
- ^ フィールツ 1977 付録 p.150,154-156
- ^ 並木 1991, p. 64
- ^ 小出, 昭一郎『解析力学』岩波書店、Tōkyō-to Chiyoda-ku、2017年。ISBN 978-4-00-710221-9。OCLC 1226412674 。
- 1 解析力学とは
- 2 解析力学の概要
- 3 概要
- 4 方程式の一般座標化と共変性
- 5 脚注
解析力学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 14:28 UTC 版)
オイラー方程式 - 変分法による運動方程式。解析力学の基礎方程式でもあり、オイラー=ラグランジュ方程式 (Euler–Lagrange equation)とも呼ばれる。 ∂ L ∂ q i − d d t ( ∂ L ∂ q ˙ i ) = 0 {\displaystyle {\frac {\partial L}{\partial q_{i}}}-{\frac {d}{dt}}\left({\frac {\partial L}{\partial {\dot {q}}_{i}}}\right)=0}
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解析力学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 02:36 UTC 版)
「シンプレクティック幾何学」も参照 解析力学では、ラグランジアン L をハミルトニアン H に変換する際に、ルジャンドル変換が用いられる。座標を q としたときに正準運動量を p = ∂L/∂·q として、ハミルトニアンは H = q ˙ p − L {\displaystyle H={\dot {q}}p-L} と定義される。これによって、L(q, ·q) から H(q, p) になる。実際これは以下の関係を満たす。 ∂ H ∂ q ˙ = p − ∂ L ∂ q ˙ = 0. {\displaystyle {\frac {\partial H}{\partial {\dot {q}}}}=p-{\frac {\partial L}{\partial {\dot {q}}}}=0.} このハミルトニアンとオイラー=ラグランジュ方程式あるいは最小作用の原理を組み合わせることで正準方程式が導かれる。ハミルトニアンの全微分は、 d H = ∂ H ∂ p d p + ∂ H ∂ q d q + ∂ H ∂ t d t {\displaystyle \mathrm {d} H={\frac {\partial H}{\partial p}}\mathrm {d} p+{\frac {\partial H}{\partial q}}\mathrm {d} q+{\frac {\partial H}{\partial t}}\mathrm {d} t} と書けるが、一方でハミルトニアンの定義より、 d H = p d q ˙ + q ˙ d p − ∂ L ∂ q d q − ∂ L ∂ q ˙ d q ˙ − ∂ L ∂ t d t = p d q ˙ + q ˙ d p − p ˙ d q − p d q ˙ − ∂ L ∂ t d t = q ˙ d p − p ˙ d q − ∂ L ∂ t d t {\displaystyle {\begin{aligned}\mathrm {d} H&=p\mathrm {d} {\dot {q}}+{\dot {q}}\mathrm {d} p-{\frac {\partial L}{\partial q}}\mathrm {d} q-{\frac {\partial L}{\partial {\dot {q}}}}\mathrm {d} {\dot {q}}-{\frac {\partial L}{\partial t}}\mathrm {d} t\\&=p\mathrm {d} {\dot {q}}+{\dot {q}}\mathrm {d} p-{\dot {p}}\mathrm {d} q-p\mathrm {d} {\dot {q}}-{\frac {\partial L}{\partial t}}\mathrm {d} t\\&={\dot {q}}\mathrm {d} p-{\dot {p}}\mathrm {d} q-{\frac {\partial L}{\partial t}}\mathrm {d} t\end{aligned}}} となるので、ハミルトニアンの偏微分は以下の関係を満たす。この内、正準変数 p, q の偏微分に関する式をまとめて正準方程式 (canonical equations) と呼ぶ。 { ∂ H ∂ p = q ˙ ∂ H ∂ q = − p ˙ d H d t = − ∂ L ∂ t {\displaystyle {\begin{cases}&{\dfrac {\partial H}{\partial p}}={\dot {q}}\\&{\dfrac {\partial H}{\partial q}}=-{\dot {p}}\\&{\dfrac {\mathrm {d} H}{\mathrm {d} t}}=-{\dfrac {\partial L}{\partial t}}\end{cases}}} 逆にハミルトニアンからラグランジアンを得る場合には、関数 L を以下のように定義し、 L = q ˙ p − H {\displaystyle L={\dot {q}}p-H} 変数 p に対する偏微分が 0 になるようにする。すなわち、 ∂ L ∂ p = q ˙ − ∂ H ∂ p = 0. {\displaystyle {\frac {\partial L}{\partial p}}={\dot {q}}-{\frac {\partial H}{\partial p}}=0.} 結局このとき変数 ·q はハミルトニアンの運動量微分に等しくなる。 多変数の場合には、ラグランジアンのすべての一般化速度についてルジャンドル変換を施したものがハミルトニアンと呼ばれる。また部分的にルジャンドル変換をしたものはラウシアン(英語版) (Routhian) と呼ばれる。
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解析力学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 10:26 UTC 版)
「オイラー=ラグランジュ方程式#ニュートン力学との関係」も参照 解析力学における力は、ニュートン力学の定義と異なり、オイラー=ラグランジュ方程式を通じて一般化運動量 (generalized momentum) の時間微分に等しくなる関数として与えられる。一般化運動量の時間微分という意味での力は、一般化力 (generalized force) あるいは広義の力と呼ばれ、ニュートン力学における力とは区別される。 一般化運動量はラグランジアンの一般化速度による偏微分として定義される。一般化運動量を P、ラグランジアンを L、一般化座標の組を q、一般化速度の組を ·q と表せば、一般化運動量は以下のように定義される。 P ( q , q ˙ , t ) = ∂ L ( q , q ˙ , t ) ∂ q ˙ . {\displaystyle {\boldsymbol {P}}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)={\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\dot {\boldsymbol {q}}}}}.} オイラー=ラグランジュ方程式 ∂ L ( q , q ˙ , t ) ∂ q | ( q , q ˙ ) = ( q ( t ) , q ˙ ( t ) ) = d d t ( ∂ L ( q , q ˙ , t ) ∂ q ˙ | ( q , q ˙ ) = ( q ( t ) , q ˙ ( t ) ) ) {\displaystyle \left.{\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\boldsymbol {q}}}}\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}\left(\left.{\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\dot {\boldsymbol {q}}}}}\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}\right)} を一般化運動量 P で書き換えると、以下のように書ける。 ∂ L ( q , q ˙ , t ) ∂ q | ( q , q ˙ ) = ( q ( t ) , q ˙ ( t ) ) = d d t ( P ( q , q ˙ , t ) | ( q , q ˙ ) = ( q ( t ) , q ˙ ( t ) ) ) {\displaystyle \left.{\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\boldsymbol {q}}}}\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}\left(\left.{\boldsymbol {P}}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}\right)} 上記のオイラー=ラグランジュ方程式の右辺から、一般化力 Ψ は次のように定義される。 Ψ ( q , q ˙ , t ) = ∂ L ( q , q ˙ , t ) ∂ q . {\displaystyle {\boldsymbol {\Psi }}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)={\frac {\partial L({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)}{\partial {\boldsymbol {q}}}}.} オイラー=ラグランジュ方程式 Ψ ( q , q ˙ , t ) | ( q , q ˙ ) = ( q ( t ) , q ˙ ( t ) ) = d d t ( P ( q , q ˙ , t ) | ( q , q ˙ ) = ( q ( t ) , q ˙ ( t ) ) ) {\displaystyle \left.{\boldsymbol {\Psi }}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}\left(\left.{\boldsymbol {P}}({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}},t)\right|_{({\boldsymbol {q}},{\dot {\boldsymbol {q}}})=({\boldsymbol {q}}(t),{\dot {\boldsymbol {q}}}(t))}\right)} とニュートンの運動方程式 F ( t ) = d d t p ( t ) {\displaystyle {\boldsymbol {F}}(t)={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}{\boldsymbol {p}}(t)} と見比べれば、左辺の一般化力 Ψ は力に相当する量であることが分かる。
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解析力学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:03 UTC 版)
ニュートンのプリンキピアは当時考案されたばかりの微分法および積分法の使用を避け幾何学的な考察に基づくものであり極めて難解なものであった。プリンキピアの出版後18世紀初頭にかけてピエール・ヴァリニョン (1654-1722)、ヨハン・ベルヌーイ (1667-1748)、Jakob Hermann (1678-1733) らはプリンキピアの内容をゴットフリート・ライプニッツ (1646-1716) らによる微積分学の言葉を用いて理解するようになった。1730年頃からはダニエル・ベルヌーイ (1700-1782)、レオンハルト・オイラー (1707-1783)、アレクシス・クレロー (1713-1765)、ジャン・ル・ロン・ダランベール (1717-1783)らによって保存則やポテンシャルの概念などが導入され、1760年頃までには現在の力学に近い形にまで整備された。ダランベールは1743年に Traité de dynamique を出版した。オイラーは1749年にニュートンの運動方程式を初めて現在知られている形で書き下している。ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ (1736-1813) は1750年代から統一的な原理に基づく力学の再構築に取り組み、現在解析力学(特にラグランジュ力学)として知られる体系を1788年の著書 Mécanique analytique(英語版) にまとめ上げた。
※この「解析力学」の解説は、「天体力学」の解説の一部です。
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解析力学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 21:01 UTC 版)
詳細は「解析力学」を参照 ニュートン力学はラグランジュ形式やハミルトン形式で再定式化された。これらは、ニュートンの運動法則を座標系の取り方によらずに一般的に成立するように構成されたもので、ラグランジュ形式では、最小作用の原理(変分原理)からニュートンの運動方程式を再現する。ハミルトン形式では、正準変数とポアソン括弧を用いることにより、ニュートンの運動方程式に対応する正準方程式を対称な形で表現することができる。
※この「解析力学」の解説は、「ニュートン力学」の解説の一部です。
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解析力学(古典力学)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 01:26 UTC 版)
「ハミルトニアン」の記事における「解析力学(古典力学)」の解説
解析力学または古典力学においてハミルトニアン H とは、T を運動エネルギー、V をポテンシャルエネルギーとして、全エネルギー を H = H ( q , p ; t ) = T + V {\displaystyle H=H(q,p;t)\,=T+V} のように一般化座標 q 、一般化運動量 p によって表した関数のことである。但し t は時間とする。
※この「解析力学(古典力学)」の解説は、「ハミルトニアン」の解説の一部です。
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