空阿弥陀仏とは? わかりやすく解説

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空阿弥陀仏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/01 16:58 UTC 版)

空阿弥陀仏(くうあみだぶつ、空阿(くうあ)とも。久寿2年(1155年) - 安貞2年1月15日1228年2月28日))は、平安時代後期から鎌倉時代前期にかけての。同時代の僧侶明遍と同じく「空阿弥陀仏」の号を持つが、別人である。両者を区別するにあたっては、本稿の空阿弥陀仏を指して「法性寺の空阿弥陀仏」と呼ぶ例が見られる[1]。なお、本稿では「法性寺の空阿弥陀仏」と統一して記述することとする。




  1. ^ 『法然上人行状絵図(勅修御伝)』第十六巻(明遍)、第四十八巻(法性寺の空阿弥陀仏)参照。また、信瑞撰『明義進行集』においては明遍を「有智の空阿弥陀仏」、法性寺の空阿弥陀仏を「無智の空阿弥陀仏」と名付けて区別している。
  2. ^ 『法然上人行状絵図』第四十八巻参照。
  3. ^ 吾妻鏡』は嘉禄3年7月の記述において、『百錬抄』の「専修念仏者配流の官符請印。隆寛律師(還俗名山遠里)陸奥に配す。空阿弥陀仏(改名原秋澤)薩摩。成覺(改名枝重)壱岐嶋。 」、『明月記』の「山門の訴え強盛す。神輿を振るべきの由、頻りに以て騒動するの間、今日雅親卿参陣す。左大弁結政に参る。張本隆寛(本山僧、律師)・空阿弥陀仏・成覺等流罪と。」を引く。
  4. ^ http://jodo.or.jp/jodoshu/people/ryokan.html
  5. ^ なお『法然上人行状絵図』第四十八巻には、「愚人としての空阿弥陀仏」に関する説話(「高野山宝幢院に、寛泉房といへるたとき上人ありき。彼舎弟、天王寺に住しけるが、あるとき天狗になやまさるゝ事ありけり。かの天狗は、天王寺第一の唱導、念佛勧進のひじり、東門の阿闍梨なりける。託していはく、われはこれ東門の阿闍梨なり。邪見をおこすゆへに、この異道に堕せり。われ在生の時おもひき。我はこれ智者なり。空阿彌陀佛は愚人なり。我手の小指をもて、なお彼人に比すべからずと。しかるに彼空阿彌陀佛は、如説に修行して、すでに輪廻をまぬかれて、はやく往生を得たり。我はこの邪見によりて、悪道に堕し、なを生死にとゞまる。後悔千万、うらやましきことかぎりなしとてさめざめとぞなきける。」)も記されている。
  6. ^ ただし、法然が発したとされるこれらの言葉については、信憑性を疑問視する向きもある。森新之介 著「法然房源空の思想形成過程:その凡夫意識と自行志向について」(『日本思想史研究』第43号(2011年)所収、東北大学大学院文学研究科日本思想史学研究室)によると、この言葉と類似の内容を法然(源空)ではなく信空が発言した記録がある(信瑞撰『明義進行集』巻第二)ことから、信空法系の法然像として潤色された可能性があるとし、法然の発言内容ではないとみなしている。
  7. ^ 『法然上人行状絵図』第四十八巻参照。
  8. ^ 藤原定家著『明月記』建保5年3月29日条も参照。
  9. ^ なお、覚如著『改邪鈔』には「わが朝に一念多念の声明あひわかれて、いまにかたのごとく余塵をのこさる。祖師聖人(親鸞)の御時は、さかりに多念声明の法灯、倶阿弥陀仏の余流充満のころにて、御坊中の禅襟達も少々 これをもてあそばれけり。祖師の御意巧としては、まつたく念仏のこわびき、いかやうに節はかせを定むべしといふ仰せなし。ただ弥陀願力の不思議、凡夫往生の他力の一途ばかりを、自行化他の御つとめとしましましき。音声の御沙汰さらにこれなし。」と記されているが、この「倶阿弥陀仏」を「法性寺の空阿弥陀仏」のことを指すと見る向きもある。http://labo.wikidharma.org/index.php/%E5%80%B6%E9%98%BF%E5%BC%A5%E9%99%80%E4%BB%8F
  10. ^ ただし法性寺の空阿弥陀仏の和讃は「文讃」とも言われていた。武石彰夫の小論「浄土の歌声」(『浄土』第二十八巻 第十号所収、昭和三十七年十月一日発行)参照。


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