正規直交系
正規直交系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/05 08:00 UTC 版)
通常はさらに正規直交系、すなわち ⟨ P n , P n ⟩ = 1 {\displaystyle \langle P_{n},P_{n}\rangle =1} となることも要求する (これを課すことにより直交多項式列は一意に定まる)。
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正規直交系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 04:15 UTC 版)
詳細は「正規直交系」を参照 V を次元 n を持つ有限次元内積空間とする。任意の基底はちょうど n 本の線型独立なベクトルからなることを思い出そう。グラム–シュミットの正規直交化法を用いれば、任意の基底を正規直交基底に取り換えてから話を進めて良い。即ち、基底は各ベクトルが単位ノルムを持ち互いに直交するものとする。式で書けば、基底 {e1, …, en} が正規直交であるとは、i ≠ j ならば ⟨ei, ej⟩ = 0, かつ各 i に対して ⟨ei, ei⟩ = ǁeiǁ = 1 を満足することを言う。 この正規直交基底の定義は、以下のように無限次元内積空間に対して一般化することができる。V は任意の内積空間として、ベクトルの系 E = {eα ∈ V}α∈A が V の(位相的)基底であるとは、E の元からなる有限線型結合全体の成す V の部分集合が V において(内積の導くノルムに関して)稠密となるときに言う。基底 E が V の正規直交基底であるとは、それが各添字 α, β ∈ A に対して α ≠ β ならば ⟨eα, eβ⟩ = 0 かつ ⟨eα, eα⟩ = ǁeαǁ = 1 を満足することをいう。 グラム-シュミットの方法の無限次元版を用いれば 定理 任意の可分な内積空間 V は正規直交基底を持つ。 が示される。また、ハウスドルフの極大原理(英語版)および完備内積空間において線型部分空間への直交射影が定義可能であるという事実を用いれば、 定理 任意の完備内積空間 V は正規直交基底を持つ。 も示せる。これら二つの定理は「任意の内積空間が正規直交基底を持ち得るか」という問いに答えるもので、これには否定的な結論が下される。これは非自明な結果であり、以下のような証明が知られている: 証明内積空間の次元とは、与えられた正規直交系を含む極大正規直交系の濃度であったことを思い出そう(ツォルンの補題により、そのような極大系は少なくとも一つ存在し、またそのような極大系はどの二つも同じ濃度を持つのであった)。一つの正規直交基底は極大正規直交系であるが、逆は必ずしも成り立たないことは既知である。G が内積空間 H の稠密部分空間ならば、G の任意の正規直交基底は自動的に H の正規直交基底となるから、H よりも真に次元の小さな稠密部分空間 G を持つ内積空間 H を構成すれば十分である。K は次元 ℵ0 のヒルベルト空間(例えば K = ℓ2(N))とする。E が K の基底とすれば |E| = ℵ0 である。基底 E を K のハメル基底(代数基底) E ∪ F (E ∩ F = ∅) に延長するならば、K のハメル次元が連続体濃度 c であることは既知であるから、|F| = c でなければならない。 L を次元 c のヒルベルト空間(例えば L = ℓ2(R))とし、L の正規直交基底 B と全単射 φ: F → B を考えれば、線型写像 T: K → L で、Tf = φ(f) (f ∈ F) かつ Te = 0 (e ∈ E) を満たすものが存在する。 H = K ⊕ L と置き、G = {(k, Tk) : k ∈ K} を T のグラフ、G を G の H における閉包とすれば、G = H が示せる。各 e ∈ E に対して (e, 0) ∈ G ゆえ、K ⊕ 0 ⊂ G が従う。 次に、b ∈ B とすれば適当な f ∈ F ⊂ K によって b = Tf と書けるから、(f, b) ∈ G ⊂ G である。同様に (f, 0) ∈ G ゆえ、(0,b) ∈ G もわかる。従って 0 ⊕ L ⊂ G であり、G = H すなわち G は H において稠密である。 最後に {(e,0) : e ∈ E} が G における極大正規直交系であることを見よう。 0 = ⟨ ( e , 0 ) , ( k , T k ) ⟩ = ⟨ e , k ⟩ + ⟨ 0 , T k ⟩ = ⟨ e , k ⟩ {\displaystyle 0=\langle (e,0),(k,Tk)\rangle =\langle e,k\rangle +\langle 0,Tk\rangle =\langle e,k\rangle } が任意の e ∈ E に対して成り立つならば、k = 0 が確定するから、(k, Tk) = (0,0) は G の零ベクトルであり、G の次元は |E| = ℵ0 となるが、一方 H の次元が c であることは明らかである。これで証明は完成した。 パーシヴァルの等式から直ちに次が従う。 定理 可分内積空間 V とその正規直交基底 {ek}k に対し、写像 x ↦ { ⟨ e k , x ⟩ } k ∈ N {\displaystyle x\mapsto \{\langle e_{k},x\rangle \}_{k\in \mathbb {N} }} は稠密な像を持つ等距線型写像 V → ℓ 2 である。 この定理はフーリエ級数の抽象版であり、任意の正規直交基底がフーリエ級数における三角多項式の成す直交系の役割を果たす。上記の添字集合は任意の可算集合としてよい(また実は、ヒルベルト空間の項にあるように、そうして得られる空間は全て、適当な集合上で定義された ℓ 2 となる)ことに注意。特に、フーリエ級数に関して 定理 V が内積空間 C[−π,π] ならば、整数全体の成す集合で添字付けられた連続函数の双無限列 e k ( t ) = e i k t 2 π {\displaystyle e_{k}(t)={\frac {e^{ikt}}{\sqrt {2\pi }}}} は L2-内積に関して空間 C[−π,π] の正規直交基底であり、写像 f ↦ { 1 2 π ∫ − π π f ( t ) e − i k t d t } k ∈ Z {\displaystyle f\mapsto \left\{{\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}\int _{-\pi }^{\pi }f(t)e^{-ikt}\,dt\right\}_{k\in \mathbb {Z} }} は稠密な像を持つ等距線型写像になる。 点列 {ek}k の直交性は k ≠ j のとき ∫ − π π e − i ( j − k ) t d t = 0 {\displaystyle \int _{-\pi }^{\pi }e^{-i(j-k)t}\,dt=0} から直ちにわかる。正規性は列の作り方による(即ち、列の各係数はノルムが 1 となるように選ばれたものである)。最後に、この列が内積の定めるノルムに関して稠密な(代数的)線型包を持つことは、このとき [−π,π] 上の連続な周期函数が一様ノルムに関して成すノルム空間においてこの列が稠密な線型包を持つことから従う。これは、三角多項式の一様稠密性に関するヴァイエルシュトラスの定理の内容である。
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