根子番楽とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 文化 > 国指定文化財等データベース > 根子番楽の意味・解説 

根子番楽

名称: 根子番楽
ふりがな ねっこばんがく
種別1: 民俗芸能
保護団体名: 根子番楽保存会
指定年月日 2004.02.06(平成16.02.06)
都道府県(列記): 秋田県
市区町村(列記): 北秋田郡阿仁町根子
代表都道府県 秋田県
備考
解説文:  根子番楽は、武士主人公にした舞を中心に太鼓、笛、手びら鉦【がね】、拍子板【ひょうしいた】、ホラ貝伴奏にのせて、勇壮きびきびと舞うもので、東北地方伝承されている修験系の神楽中でも、特に歌詞芸態伝承確実なもの一つである。
 阿仁町【あにまち】は、秋田県中央やや北寄りに位置し、またぎの里として知られる奥羽山脈に近い山がちの地である。町の中央を、能代【のしろ】平野東西貫流して日本海に注ぐ米代【よねしろ】川の支流一つである阿仁川流れている。根子【ねっこ】地区は、阿仁川から一キロメートルほど西側で、四方を山に囲まれすり鉢状盆地である。
 根子番楽は、阿仁町公民館根子分館体育館演じられる当日になると体育館の舞台後方番楽幕【まく】と呼ぶ布幕【ぬのまく】を張る。幕には、ところどころ縦に切り目入れてある。向かって左太鼓、板を二本の棒で叩く拍子板、手びら鉦の演奏者座り右側には笛の演奏者と手びら鉦の演奏者が座る。まず楽器演奏が行われ、次に口上こうじょう】を述べてから舞が披露されていく。舞は、少年たちによる露払【つゆはら】いで始め翁舞【おきなまい】や三番叟さんばそう】、敦盛あつもり】、信夫太郎【しのぶたろう】、鞍馬【くらま】、曽我【そが】兄弟、作祭【さくまつり】などと続き最後に鐘巻【かねまき】が演じられる。なお、間に、観客祝儀対すお礼口上や、お礼の意味込めて本舞台を踏む前の少年たちによる花【はな】番楽が行われる。
 舞に先だって行われる演奏は、観客を呼ぶためという。演奏途中に、幕の奥から掛け声ホラ貝加わってにぎやかに続く。演奏が終わると、口上役が出てきて、中央口上述べる。「我々は農業働きをする者でござれば、御目【おめ】まどう所でございましょうが、聖人せいじん】は人を誹【そし】らん…」などと述べ一礼すると短く演奏がある。演奏終わって、しばらくすると幕出歌【まくでうた】と呼ばれる短い歌が歌われる。各演目ごとに決まった幕出歌によって舞手登場して舞う。最初露払いでは「よいよい急ぎ行くほどに、よいよい急ぎ行くほどに、伊勢の社【やしろ】に急ぐなり」と歌う。少年烏帽子【えぼし】に白鉢巻手甲てっこう脚絆、白の襷【たすき】掛け白足袋右手に扇を持ち伴奏にのって舞う。露払い以外の舞では、舞の途中で中歌【なかうた】と呼ばれる歌が歌われる翁舞三番叟、作祭は、儀式的な舞で比較静かに舞われるその他の舞は、鎧【よろい】を着け舞手が、最初は扇を持って舞い後半は剣を抜いて勇壮に舞う。鞍馬弁慶と牛若丸の舞である。少年扮する牛若丸登場して舞い、後に弁慶長刀なぎなた】を持って登場して牛若丸と戦う。牛若丸弁慶が払う長刀飛び跳ねたりとんぼがえりして避け弁慶が持つ長刀の柄に牛若丸立って弁慶牛若丸ごと持ち上げる。牛若丸は、弁慶長刀の柄を軽く踏んで退場する残った弁慶は、長刀振り回したり、両手持った長刀の柄を飛び越したりして、最後に一礼して退場する鐘巻は、いわゆる道成寺どうじょうじ】ものである化身とされる者が山伏争って退場した後に、幕の下方から長さ約二メートル作り物が出る。このは、頭部木製で、胴は竹の輪に布を張った蛇腹である。頭部と尾の部分に短い棒を取り付けて、幕の奥から、幕の切れ目に棒を通して表側操作する。幕の切れ目から切れ目へと棒を持ちかえて、を幕の下方から上端移動し最後にの口に仕込んだ花火点火し、火と煙を出して山伏と争うというもので、根子番楽では、必ず最後に演じ人気演目になっている
 根子番楽は、地元では平家の落人あるいは源氏一族伝えたものともいう。明治初期まで、伝承者は、根子地区特定の家の長男限り厳し訓練経て仲間加えていたとされる大正中期には青年会主体になり、昭和になると地区内の希望者が参加するようになって現在に至っている。根子番楽の演目芸態などは東北地方各地伝承されている修験系の神楽共通するものが多い。本来、このような神楽は、御神体である獅子頭奉じて地域めぐって祈祷するとともに地区人びと娯楽として種々の舞を演じてきたものである。根子番楽では、獅子舞行わず勇壮な武士の舞を中心に伝承し作り物牛若丸所作など特色ある工夫加えている。明治以前伝承者限定されていたのは、他地区依頼に応じて番楽演じて得られる収入確保するために、伝授限定したためともいわれる。この番楽が、獅子舞行わずに、見所が多い勇壮な武士舞を中心にすることや、最初に観客集めるために行う演奏幕開き口上挨拶などから、人びとの楽しみとして伝承され演じられてきたことがうかがわれる

根子番楽

名称: 根子番楽
ふりがな ねっこばんがく
種別1: 民俗芸能
保護団体名: 根子番楽保存会
選択年月日 1972.08.05(昭和47.08.05)
都道府県(列記): 秋田県
市区町村(列記): 北秋田郡阿仁町根子
代表都道府県 秋田県
備考 所在地同一都道府県内のもの(このデータ種別1から移行しています)
解説文:  根子番楽は、武士主人公にした舞を中心に太鼓、笛、手びら鉦【がね】、拍子板【ひょうしいた】、ホラ貝伴奏にのせて、勇壮きびきびと舞うもので、東北地方伝承されている修験系の神楽中でも、特に歌詞芸態伝承確実なもの一つである。
 阿仁町【あにまち】は、秋田県中央やや北寄りに位置し、またぎの里として知られる奥羽山脈に近い山がちの地である。町の中央を、能代【のしろ】平野東西貫流して日本海に注ぐ米代【よねしろ】川の支流一つである阿仁川流れている。根子【ねっこ】地区は、阿仁川から一キロメートルほど西側で、四方を山に囲まれすり鉢状盆地である。
 根子番楽は、阿仁町公民館根子分館体育館演じられる当日になると体育館の舞台後方番楽幕【まく】と呼ぶ布幕【ぬのまく】を張る。幕には、ところどころ縦に切り目入れてある。向かって左太鼓、板を二本の棒で叩く拍子板、手びら鉦の演奏者座り右側には笛の演奏者と手びら鉦の演奏者が座る。まず楽器演奏が行われ、次に口上こうじょう】を述べてから舞が披露されていく。舞は、少年たちによる露払【つゆはら】いで始め翁舞【おきなまい】や三番叟さんばそう】、敦盛あつもり】、信夫太郎【しのぶたろう】、鞍馬【くらま】、曽我【そが】兄弟、作祭【さくまつり】などと続き最後に鐘巻【かねまき】が演じられる。なお、間に、観客祝儀対すお礼口上や、お礼の意味込めて本舞台を踏む前の少年たちによる花【はな】番楽が行われる。
 舞に先だって行われる演奏は、観客を呼ぶためという。演奏途中に、幕の奥から掛け声ホラ貝加わってにぎやかに続く。演奏が終わると、口上役が出てきて、中央口上述べる。「我々は農業働きをする者でござれば、御目【おめ】まどう所でございましょうが、聖人せいじん】は人を誹【そし】らん…」などと述べ一礼すると短く演奏がある。演奏終わって、しばらくすると幕出歌【まくでうた】と呼ばれる短い歌が歌われる。各演目ごとに決まった幕出歌によって舞手登場して舞う。最初露払いでは「よいよい急ぎ行くほどに、よいよい急ぎ行くほどに、伊勢の社【やしろ】に急ぐなり」と歌う。少年烏帽子【えぼし】に白鉢巻手甲てっこう脚絆、白の襷【たすき】掛け白足袋右手に扇を持ち伴奏にのって舞う。露払い以外の舞では、舞の途中で中歌【なかうた】と呼ばれる歌が歌われる翁舞三番叟、作祭は、儀式的な舞で比較静かに舞われるその他の舞は、鎧【よろい】を着け舞手が、最初は扇を持って舞い後半は剣を抜いて勇壮に舞う。鞍馬弁慶と牛若丸の舞である。少年扮する牛若丸登場して舞い、後に弁慶長刀なぎなた】を持って登場して牛若丸と戦う。牛若丸弁慶が払う長刀飛び跳ねたりとんぼがえりして避け弁慶が持つ長刀の柄に牛若丸立って弁慶牛若丸ごと持ち上げる。牛若丸は、弁慶長刀の柄を軽く踏んで退場する残った弁慶は、長刀振り回したり、両手持った長刀の柄を飛び越したりして、最後に一礼して退場する鐘巻は、いわゆる道成寺どうじょうじ】ものである化身とされる者が山伏争って退場した後に、幕の下方から長さ約二メートル作り物が出る。このは、頭部木製で、胴は竹の輪に布を張った蛇腹である。頭部と尾の部分に短い棒を取り付けて、幕の奥から、幕の切れ目に棒を通して表側操作する。幕の切れ目から切れ目へと棒を持ちかえて、を幕の下方から上端移動し最後にの口に仕込んだ花火点火し、火と煙を出して山伏と争うというもので、根子番楽では、必ず最後に演じ人気演目になっている
 根子番楽は、地元では平家の落人あるいは源氏一族伝えたものともいう。明治初期まで、伝承者は、根子地区特定の家の長男限り厳し訓練経て仲間加えていたとされる大正中期には青年会主体になり、昭和になると地区内の希望者が参加するようになって現在に至っている。根子番楽の演目芸態などは東北地方各地伝承されている修験系の神楽共通するものが多い。本来、このような神楽は、御神体である獅子頭奉じて地域めぐって祈祷するとともに地区人びと娯楽として種々の舞を演じてきたものである。根子番楽では、獅子舞行わず勇壮な武士の舞を中心に伝承し作り物牛若丸所作など特色ある工夫加えている。明治以前伝承者限定されていたのは、他地区依頼に応じて番楽演じて得られる収入確保するために、伝授限定したためともいわれる。この番楽が、獅子舞行わずに、見所が多い勇壮な武士舞を中心にすることや、最初に観客集めるために行う演奏幕開き口上挨拶などから、人びとの楽しみとして伝承され演じられてきたことがうかがわれる
民俗芸能のほかの用語一覧
神楽:  本海番楽  杉沢比山  松前神楽  根子番楽  椎葉の神楽  槻の屋神楽  比婆の荒神神楽



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「根子番楽」の関連用語

根子番楽のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



根子番楽のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2024 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS