幅の広い文芸活動と交際とは? わかりやすく解説

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幅の広い文芸活動と交際

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 06:13 UTC 版)

森鷗外」の記事における「幅の広い文芸活動と交際」の解説

肩書きの多いことに現れているように、鷗外文芸活動の幅も広かった。たとえば、訳者としては、上記訳詩集於母影」(共訳)と、1892年明治25年)–1901年明治34年)に断続的に発表された「即興詩人」とが初期代表的な仕事である。「於母影」は明治詩壇多大な影響与えており、「即興詩人」は、流麗な雅文明治期文人魅了しその本片手イタリア各地周る文学青年正宗白鳥など)が続出した戯曲の翻訳多く(弟の竹二が責任編集務め雑誌歌舞伎』に掲載されたものは少なくない)、歌劇オペラ)の翻訳まで手がけていた。 ちなみに訳語和製漢語)の「交響楽交響曲」を作っており、6年間の欧米留学終えた演奏家幸田延露伴の妹)と洋楽談義をした(「西楽と幸田氏と」)。そうした外国作品翻訳だけでなく、帰国後から演劇への啓蒙的な評論少なくない翻訳は、文学作品超えハルトマン審美学綱領のような審美学美学旧称)も対象になった単なる訳者とどまらない鷗外審美学は、坪内逍遥との没理想論争にも現れており、田山花袋にも影響与えた。その鷗外は、上記通り東京美術学校(現東京芸術大学)の嘱託教員美術解剖学審美学西洋美術史)をはじめ、慶應義塾大学審美学講師、「初期文展西洋画部門などの審査員帝室博物館総長帝国美術院初代院長などを務めた交際広く、その顔ぶれ多彩であった。しかし、弟子取った文壇党派作ったりすることはなかった。ドイツ4年留学した鷗外は、閉鎖的縛られたような人間関係好まず西洋風社交的なサロン雰囲気好んでいたとされる官吏生活合間も、書斎にこもらず、同人誌主宰したり、自宅歌会開いたりして色々な人々交際した文学者文人限っても、訳詩集於母影」は5人による共訳であり、同人誌の『しがらみ草紙』と『めさまし草』にも多くの人が参加したとりわけ自宅観潮)で定期的に開催され歌会が有名である。その観潮歌会は、1907年明治40年3月鷗外与謝野鉄幹の「新詩社」系と正岡子規系譜根岸」派との歌壇対立を見かね、両派の代表歌人を招いて開かれた以後毎月第一土曜日集まり1910年明治43年4月まで続いた伊藤左千夫平野万里上田敏佐佐木信綱等が参加し、「新詩社」系の北原白秋吉井勇石川啄木木下杢太郎、「根岸」派の斎藤茂吉古泉千樫等の新進歌人参加した与謝野晶子含めて延べ22名)。 また、当時としては女性蔑視少なく樋口一葉いち早く激賞しただけでなく、与謝野晶子平塚らいてう早くから高く評価した晶子出産した双子名付け親鷗外)やらいてうや純芸術雑誌番紅花』(さふらん)を主宰し尾竹一枝など、個性的批判されがちな新しい女性達とも広く交際した。その鷗外作品には、女性主人公したもの少なくなく、ヒロインの名を題名したもの複数ある(「安井夫人」、戯曲「静」、「花子」、翻訳戯曲ノラ」(イプセン作「人形の家」))。 晩年、『東京日日新聞』に連載した渋江抽斎」などの史伝作品読者および編集者からの評判悪くその評価は必ずしも芳しいものではなかった。没後新潮社と他二社とが全集18巻刊行引き受けたので、かろうじて面目立った1936年昭和11年)、木下杢太郎鷗外敬愛する文学者らの尽力によって岩波書店から『鷗外全集』が『漱石全集』と並んで刊行され権威があると思われるようになった晩年幸田露伴鷗外について、「蓄財出世にしか関心のなかった男」と酷評している。

※この「幅の広い文芸活動と交際」の解説は、「森鷗外」の解説の一部です。
「幅の広い文芸活動と交際」を含む「森鷗外」の記事については、「森鷗外」の概要を参照ください。

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