ブドウ球菌毒素とは? わかりやすく解説

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ブドウ球菌毒素 [Staphylococcal toxins]

 ブドウ球菌多種類の毒素産生することが知られている。その内、おもな毒素溶血毒素白血球溶解毒素および腸管毒素である。溶血毒素にはタンパク質性で、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類があり、ヒト由来はαとδ、動物由来はαとβを産生する菌株が多い。α毒素細胞溶解作用皮膚壊死作用のほかに平滑筋麻痺作用があり、細胞膜リン脂質結合して膜を破壊するβ毒素リン脂質分解酵素ホスホリパーゼ Cで、37℃では溶血がおこらず、これを4℃冷却する溶血がおきる、いわゆる温冷溶血(hot-cold hemolysis)をおこす毒素である。δ毒素ホスホリパーゼであるが、耐熱性白血球溶解し多く哺乳動物赤血球溶血させる。ロイコシジンよばれるヒトウサギ白血球のみを溶解するタンパク質性の毒素はSとFの2成分から成り単独では作用しないまた、細菌性食中毒原因となる腸管毒素水溶性毒素であるが、耐熱性(100,30分)であるから一般調理では分解せず、タンパク質分解酵素にも抵抗するから消化管内でも安定である。この細菌による食中毒食品内で増殖した細菌産生する腸管毒素ヒトの口から入って1-6時間後に激し下痢嘔吐ひきおこす。この腸管毒素はA,B,C,D,Eの4種血清型知られその内、AとB型腸管毒素T細胞活性化させることが発症関係する考えられている。ブドウ球菌そのほかに熱傷様の皮膚炎原因となる剥脱毒素(exofoliative toxin)、発熱発疹多臓器不全ショック症候などをおこす毒素性ショック症候群毒素-1(toxic shock syndrome toxin-1)も産生する。両毒素ともにタンパク質であるが、後者毒素腸管毒素同様にT細胞活性化させるこのようにT細胞活性化させる物質スーパー抗原という。
また、ブドウ球菌にはこれらの毒素のほかに血漿凝固させるコアグラーゼフィブリン析出させるクランピング因子血清中のプラスミノーゲン活性化させてプラスミン生じさせるスタフィロキナーゼなど特有の酵素知られている。




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