黄銅
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用途
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前記の特性ゆえに、身近なところでは切削加工を多用する鍵や錠前、時計部品。他には紙幣の印刷機などの精密機械や理化学器械類、蛇口などの水道設備、弾薬の薬莢や金属模型などに広く使用されている。
エッチングして模型に使用される場合もあるほか、市販されている金色の塗料の多くには黄銅の微粉末が使われている。ただし、塗料については、経年により黒く変色し輝きを失うことがあり、ラテックス類・生ゴムに塗ると黄銅の成分(銅と亜鉛)によりゴムを分解腐食させてしまう欠点がある。
金に似た美しい黄色の光沢を放つことから金の代用品にもされ、poorman's gold(貧者の金)と呼ばれる。ただし錆に絶対的耐性をもつ純金と違い、黄銅は表面にくすみを生じるので、銀食器と同様に磨いたり、透明ラッカーでコーティング処理する対策を要する。
日本
日本では仏具、多くの金管楽器(別名であるブラス(brass)は黄銅の英名に由来している)などに多用されている。日本の時代劇において小道具として使われる偽の小判も真鍮製のものが多い。
日本では、12世紀の平安時代には、金の代用品として使われ始め、写経に大量に使われた。これは奈良大学の東野治之らの調査によって判明した(2014年4月21日)[10][11][12]。なお亜鉛は比較的、低温で蒸発してしまうため、精錬が難しく、それまでの通説では、日本での黄銅の製法の普及は江戸時代になってからとされた[11]。
寛永通宝にも真鍮製のものがあり、これは一文銭よりやや大型で裏面に波の模様があり、四文に通用した。
また、1948年から現在に至るまで、日本で発行されている五円硬貨(品位は銅60%-70%、亜鉛40%-30%)の素材としても使われている。日本の貨幣素材としてのこの組成は、戦争に使用した薬莢や弾帯その他の兵器のスクラップを材料に用いたのが起源で、五円硬貨に使われる以前は、終戦直後の五十銭硬貨(大小2種あり)に使われ、また1948年の五円硬貨と同時に発行が開始された一円硬貨にも使われていた。また戦前にも日本で1938年の烏一銭黄銅貨が発行されたこともあったが、これは「黄銅貨」と称しても組成が戦後の黄銅貨と異なり、この硬貨の品位は銅90%、亜鉛10%で、トムバック黄銅と呼ばれる組成である。その一銭・五十銭および一円の黄銅貨はいずれも現在通用停止となっている。
注釈
- ^ 金属の切削加工材としては、金や純銅などの軟らかい金属は展延性がありすぎて粘りが強く、硬い金属は削りにくく割れやすくどちらも微細な切削加工はしにくい。
出典
- ^ a b 『黄銅』 - コトバンク
- ^ Thornton, C. P. (2007) "Of brass and bronze in prehistoric southwest Asia" in La Niece, S. Hook, D. and Craddock, P.T. (eds.) Metals and mines: Studies in archaeometallurgy London: Archetype Publications. ISBN 1-904982-19-0
- ^ a b Craddock, P.T. and Eckstein, K (2003) "Production of Brass in Antiquity by Direct Reduction" in Craddock, P.T. and Lang, J. (eds) Mining and Metal Production Through the Ages London: British Museum pp. 226–7
- ^ Thornton 2007, pp. 189–201
- ^ Zhou Weirong (2001). “The Emergence and Development of Brass Smelting Techniques in China”. Bulletin of the Metals Museum of the Japan Institute of Metals 34: 87–98. オリジナルの2012-01-25時点におけるアーカイブ。 .
- ^ de Ruette, M. (1995) "From Contrefei and Speauter to Zinc: The development of the understanding of the nature of zinc and brass in Post Medieval Europe" in Hook, D.R. and Gaimster, D.R.M (eds) Trade and Discovery: The Scientific Study of Artefacts from Post Medieval Europe and Beyond London: British Museum Occasional Papers 109
- ^ a b 小学館編『世界原色百科事典 1 あ-おそ』小学館、昭和41年、p.565「黄銅」
- ^ Rehren and Martinon Torres 2008, pp. 170–5
- ^ M. F. Ashby; Kara Johnson (2002). Materials and design: the art and science of material selection in product design. Butterworth-Heinemann. pp. 223–. ISBN 978-0-7506-5554-5 2011年5月12日閲覧。
- ^ “平安期の金字経から真ちゅう 制作者、費用ごまかす?”. 日本経済新聞. (2014年4月21日) 2014年4月21日閲覧。
- ^ a b “平安の金字経に黄銅 利ざや稼ぐ? 発色のため?”. 東京新聞. (2014年4月22日). オリジナルの2014年4月22日時点におけるアーカイブ。 2016年10月7日閲覧。
- ^ “真鍮合金、平安期に - 定説覆す発見/奈良大が分析”. 奈良新聞. (2014年4月22日) 2014年4月29日閲覧。
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