電池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 00:37 UTC 版)
物理電池
「物理電池」とは、光や熱などの物理的なエネルギーを電気エネルギーに変換する電池である。 以下に物理電池の分類を示す。
揚水発電
「揚水発電」は、位置エネルギーを利用した蓄電方法であり、高低差の違う2箇所の大型貯水池を利用して、送水時に発生する運動エネルギーを電力に変える蓄電方法である。
太陽電池
「太陽電池」は、光エネルギーを直接、電気エネルギーに変換する電池であり「光電池」とも呼ばれる。
熱電池
「熱電池」は、熱エネルギーを直接、電気エネルギーに変換する電池である。
原子力電池
「原子力電池」とは、放射性同位体が放射性崩壊を起こす際に発生する原子力エネルギーを電気エネルギーに変換する電池である。
歴史
世界
- 紀元前250年頃のイラクで、 世界最古の電池であるバグダッド電池が作られる(実際には電池ではないという説があり、実際に電池として使用された明確な証拠は未発見である)。
- 1791年 ルイージ・ガルヴァーニ(イタリア)、ガルバニ電池を発見。
- 1800年 アレッサンドロ・ボルタ(イタリア)、ボルタ電池を発明。
- 1802年 物理学者ヨハン・ウィルヘルム・リッター(ドイツ)、小型一次電池を発明。
- 1812年 ジュゼッペ・ザンボーニ(イタリア)、ザンボニー電池を発明。
- 1866年 ジョルジュ・ルクランシェ(フランス)、ルクランシェ電池(マンガン乾電池の原型)を発明。今までの電池で使われていた電解液をゲル状にしたもので、これが現行使われる乾電池の原型となる。
- 1881年 ジュール・アルフォキ・ティエボー (Jules Alphokee Thiebaut) が亜鉛の容器に負極と多孔質の容器の両方の役割を持たせた最初の電池で特許を取る。
- 1887年 カール・ガスナー(ドイツ)、乾電池の特許を取得。
- 1899年 ヴァルデマル・ユングネル(スウェーデン)、ニッケル・カドミウム蓄電池を発明。
- 1900年 トーマス・エジソン(米国)、ニッケル・鉄蓄電池を発明。
- 1959年 エバレディ (Eveready)(米国)、アルカリ乾電池を開発。
- 1985年 ジョン・グッドイナフ(米国)、ラシド・ヤザミ(フランス)、吉野彰(日本)らはリチウムイオン電池を発明し、1991年に西美緒らが勤務するソニーにより世界で初めて商品化した。小型で軽量なモバイル電子機器(携帯電話やスマートフォンなど)の実現に大きく貢献し、電気自動車用にも普及している。
- 2019年各大学・企業の研究機関により性能向上を果たした小型全固体電池が実用化された[3]。また2023年からは大容量全固体電池も実用化された[4]。この全固体電池はリチウムイオン電池より高性能を示し、今後は電気自動車用にも搭載予定となっている。
日本
- 1849年(嘉永2年) 佐久間象山がオランダのショメール百科全書を参考にして電信実験の為にダニエル電池を作成[1]。これが日本初の電池となった。
- 1854年(安政元年) マシュー・ペリーが2度目の渡日の際、将軍への献上品としてボルタ電池4箱を持ち込んだ。
- 1887年(明治20年) 屋井先蔵が乾電池を作る[注釈 5]。
名称
- 一次電池と二次電池
- 一次電池 (primary cell) と二次電池 (secondary cell) の「一次」「二次」は電池の使用開始時における操作に由来する。すなわち、一次電池は電極構成材料を組み上げた時点で、両極間に起電力が発生するため、すぐに電池として利用することができる。しかしながら、二次電池は両極の構成材料の電位差が低く、外部から充電を行うことによって初めて使用可能な起電力を生じさせることが一般的である。電池が発明された当初は安定な直流電源を使用することが難しく、一次電池を用いて二次電池を充電していた。従って「すぐに使える電池=一次電池」に対して「充電してから使える電池=二次電池」となった。
- 電池
- 日本語の「電池」は「電気」の「池」であるが、必ずしも電気を蓄えていなくても「電池」という名称が使われている。
- 組電池
- 「パック電池」とも呼ばれ、単電池をニッケルのような金属板と熱収縮フィルムで固定したもの[7]。
注釈
出典
- ^ “電池とは”. コトバンク. 2021年1月11日閲覧。
- ^ a b c d 梅尾良之著、『新しい電池の科学』、講談社、2006年9月20日第1刷発行、ISBN 4062575302
- ^ “トヨタ、村田製、TDK...大注目の全固体電池!早くもシェア争奪戦 ニュースイッチ by 日刊工業新聞社”. ニュースイッチ by 日刊工業新聞社. 2023年7月15日閲覧。
- ^ “マクセル、京都に全固体電池量産体制 6月から出荷 - 化学工業日報 電子版”. 化学工業日報 電子版 - 化学工業をコアに周辺産業を網羅する「化学工業日報 電子版」のWebサイトです (2023年5月7日). 2023年7月15日閲覧。
- ^ “屋井先蔵”. でんきの礎 (電気学会) 6: 24-25. (2013-03-10) .
- ^ 吉田和正 (2007-03-30). “一次電池技術発展の系統化調査”. 国立科学博物館 技術の系統化調査報告 第9集 (国立科学博物館): 173 .
- ^ 「組電池」 - BAYSUN
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