農地 概説

農地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/01 16:00 UTC 版)

概説

家畜農作物を育てるためには土地が必要である。農作物は全て植物であり、基本的に、呼吸をし大気から窒素二酸化炭素などをとりこみ組織を成長させまたそれを原料に(光合成したものを)備蓄している[注 1]のに加えて、地面からも水分養分を吸収し、太陽の光を受けて光合成を行っているわけで、農地には、適度な空気の流れがあること、十分な水分が含まれていること、相応の養分が含まれていること、適度な日照があることなど、求められる条件は多い。灌漑により、もともと乾いていて農業には適さない土地にも水分を与えられるようになり農地を広げることができるようになった。さらに井戸を掘り地下水をくみ上げることでも農地を増やせるようになった。痩せた土地(養分が少ない土壌)には家畜の人糞を施し養分を補うことでも農地とすることができるようになった。20世紀に化学肥料がさかんに開発、多用されるようになると農地開発はさらに簡便になったが、これは長期的に見るとさまざまな深刻な副作用もあり、近年ではむしろ有機農法に回帰することもさかんに行われている。なお地中に有害物質が含まれている土地や塩分が過剰な土地は農地には不適である。

また、家畜を育てるための土地には放し飼いならば牧草地帯が最適である。

30か国の統計によると農地面積の平均約75%が世帯や個人の所有であり、これら30か国では家族農家が食料の80%以上を生産していると推定されている[2]。家族農家が所有する農地は森林、牧草地、漁場なども含む生産環境の一部になっていることが多い[2]。そのため、食料安全保障、栄養学や生物学、生物の多様性、水と土壌の保全や涵養、収入の創出など多様な側面を有する[2]

国際的な統計と分類

国際的な統計では農業地域(農地)は耕作地、永年草地・放牧地の総称をいう[2]。耕作地には可耕地と永年作物地がある[2]

FAOSTAT(FAO統計データベース)による農業地域の分類は以下のとおり。

  • 耕作地(arable land) - 短年性作物(たとえば一年性作物や数年だけ収穫する作物)を収穫する土地、草地、放牧のための一時的な牧草地、市場作物栽培地、家庭菜園、一時的休閑地(5年未満)など[2]
  • 永年作物地 - 永年性作物英語版つまり数年間は植え替えを行わない作物(たとえばココアコーヒーなど)を収穫する土地など[2]
  • 永年草地・放牧地 - 草本飼料作物を育てるため、5年以上使用される土地(そこには栽培地、自生地(野生草原や放牧地)のどちらも含む)[2]

注釈

  1. ^ 根菜類などは、主に大気から取り込んだ成分を合成し、根に備蓄している。
  2. ^ 法令上は、農業振興地域の整備に関する法律農業経営基盤強化促進法において、「農用地等」という。

出典

  1. ^ a b 農地法における農業ハウス等の取扱いについて”. 農林水産省経営局. 2020年8月17日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 世界食料農業白書 2014年報告”. 公益社団法人 国際農林業協働協会. 2020年8月17日閲覧。
  3. ^ 耕地』 - コトバンク
  4. ^ 農地法2条1項
  5. ^ 土地改良法2条1項
  6. ^ 農地転用許可制度 - 農林水産省
  7. ^ 農地の評価上の分類 - 国税庁
  8. ^ 帝国書院 | 統計資料 日本 面積・人口 耕地面積


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