聖闘士星矢 (アニメ)
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聖闘士星矢 | |
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大泉アニメゲートに設置されている「ねりまアニメ年表」の一コマ。 | |
ジャンル | 少年向けアニメ、ファンタジーアニメ、バトル |
アニメ | |
原作 | 車田正美 |
シリーズディレクター | 森下孝三→菊池一仁 |
シリーズ構成 | 小山高生、菅良幸 |
脚本 | 小山高生、山崎忠昭、菅良幸 |
キャラクターデザイン | 荒木伸吾、姫野美智 |
音楽 | 横山菁児 |
アニメーション制作 | 東映動画 |
製作 | テレビ朝日、東映 |
放送局 | テレビ朝日系列 |
放送期間 | 1986年10月11日 - 1989年4月1日 |
話数 | 全114話 |
役名 星矢 紫龍 氷河 瞬 一輝 城戸沙織 ナレーター |
声優名 古谷徹 鈴置洋孝 橋本晃一 堀川亮 堀秀行 潘恵子 田中秀幸 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | アニメ |
ポータル | アニメ |
作品解説
東映動画制作で、テレビ朝日系列にて毎週土曜日に放映。1986年(昭和61年)10月11日から1989年(平成元年)4月1日までの長期にわたるシリーズになり、日本国外でも放映された。 1987年、第10回アニメグランプリ受賞。
ナレーションは田中秀幸が担当[注 1]。冒頭で前回までのあらすじなどが説明されたあと、星矢役の古谷徹によるサブタイトルのタイトルコールが入る。古谷は次回予告ナレーションも担当し、最後に「君は小宇宙(コスモ)を感じたことがあるか」というキャッチで締めくくられる(最終話の1話前となる第113話での次回予告は「君は今、伝説の中にいる」)。
雑誌連載直後に東映動画、バンダイ、集英社の本作の担当者の間でアニメ化の企画が動き出していたため、連載開始から1年と経たずしてテレビアニメ化が実現した。さらに単行本第1巻発売を待たずして、雑誌上でアニメ化の決定が発表された。このアニメ化の早さは当時のWJ作品では異例のことといわれる[1][2]。
バンダイがスポンサーの東映動画が手がけたテレビアニメは多くのファンを獲得。原作漫画とともに星矢人気の原動力となった。バンダイがスポンサーをした理由は、当時のバンダイの開発担当の村上克司によると、当時の開発本部長・杉浦幸昌が息子から原作漫画の面白さを薦められたことがきっかけ[3]。
キャラクターデザインと作画監督を務めた荒木伸吾、音楽担当の横山菁児は、原作者車田の全面的な信頼を得て、後の再アニメ化でも起用された。キャラクターデザインに関して車田は「自分よりも画がうまい」と絶賛し、アニメが原作のエピソードの新たなアイデアの源になっただけでなく、自身の原作で聖衣の装着、必殺技の表現、特に光の描写等にアニメ版の物を取り入れたりしており(車田は「光、特に透過光の表現については、(漫画は)アニメには絶対に敵わない」と発言している)、原作とアニメがいい相互作用を生み出していたと発言していた。声優のキャスティングにも満足していたという。またアニメのオリジナルエピソードが描かれるにあたり、車田は原作をアニメのオリジナルエピソードに合わせることを敢えて行なっていなかったため、氷河の師匠がアニメと原作で異なるといった違いもある[4]。
テレビアニメ『聖闘士星矢』は、商業的にも成功。特に原作漫画でも人気の高い黄金聖闘士が多数登場する十二宮編において、その人気は不動のものとなった[2]。1987年度の東映動画の版権収入でトップに立つが、1988年の年末商戦で大きく売上が落ち込み[5]、1989年の4月初めに放映を終了。旗野義文によれば、「原作の展開に追いついたことが最大の理由です。それと、シリーズが長期にわたったことで、スタッフも疲れていることも考え合わせ、ひとまず休ませてもらうことにしました」と答えている[6]。約3年近くの放映で、平均視聴率は11%を記録し、放映開始当時の小学生男子から多くのファンを獲得した[2]。
村上克司によると聖衣のデザインが原作では「毎回変わる」のが問題となり、アニメ用にデザインし直す必要が出た。東映動画とバンダイが打ち合わせをして、集英社と車田の意見を取り入れてアニメ用の聖衣のデザインが決定した[7]。またキャラクターデザインの姫野美智によれば、企画当初はほぼ原作準拠で聖衣をデザインしていたところが、バンダイから「もっと見栄えの良い形に」との要望を受け、アニメ用の聖衣をデザインしたという[8]。
こうして主人公である星矢たちの青銅聖衣のデザインは、十二宮編まではアニメ版オリジナルのアレンジが施され、頭パーツがヘルメットタイプだったり、腰がアーマーで覆われていたり、脚部が腿から爪先までを覆うほどだったりと重装備だったが[9]、アスガルド編から原作準拠のデザインになった。
シリーズディレクター(監督)を務めた森下孝三は本作の直前にアメリカのアニメ映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』を制作しており、日本とは比較にならないほどの製作費をかけていた[10]。その余波が本作に出た結果、高いクオリティになった[3]。また、『スター・ウォーズ・シリーズ』の合成技術を研究し[10]、当時としては最新技術とされていたフィルム合成などの映像技術が多用されたことも、品質の向上に繋がったが[2]、予算を使いすぎた森下は終盤になって監督職を解任され、企画へ異動することになった[11]。
国内と海外の反響
本作のヒットをきっかけに、“バトルスーツもの”“装着もの”などと呼ばれる、特殊能力を伴うバトルスーツを装着した若者たちが戦うテレビアニメ、OVAが相次いで制作された。1980年代後半、本作成功の影響下で制作された“バトルスーツもの”作品の代表的なものとしては『鎧伝サムライトルーパー』『天空戦記シュラト』『超音戦士ボーグマン』などがある[要出典]。
本作品は“美少年アニメ”と称されることもある。美形キャラクターが多数登場するため、メインターゲットを小学生の男子児童層に置いた作品ながらも、実際に放映してみると10代から20代の女性の中にもファンとなる者がいた。これら女性ファンの支持も成功の原動力の一つとなる。主に美形キャラクターなど担当しない声優が、この作品の美形キャラクターで出演した結果、普段は来ない層からのファンレター等が来たというケースもあった。本作はその嚆矢となった作品であり、特に一部の女性ファンにより"やおい同人誌"なども制作され、これらは1990年代の同人アンソロジーコミックやボーイズラブジャンルが隆盛する礎となった。当時の同人活動に参加していたことを明かしている著名人に高河ゆんがいる[12]。
ヨーロッパを中心とした日本国外でも人気があり[13]、世界的なヒット作品となった。現在でも輸出アニメの主力作品のひとつである。主題歌も国際的に人気が高く、国外においても日本語のまま歌われることがある[14]。
商品展開
当アニメのスポンサーであるバンダイからは、アニメに登場する聖闘士と彼らが装着する聖衣(クロス)を再現したフィギュアシリーズ「聖闘士聖衣大系」が主力商品として展開され、その他にもプラモデルやファミリーコンピュータ用ゲームソフトなどが発売された。「聖衣大系」が好セールスを記録し[注 2]、アニメも好評だったことからバンダイは素体となるフィギュアにプロテクターを装着させる同様コンセプトの商品に「クロス」という呼称を用いて様々な商品展開を行った。『ガンダムシリーズ』のキャラクターに彼らの乗機として登場したモビルスーツの装甲を装着させる「ガンダムクロス」や、同時期に放映されていたアニメ『ビックリマン』では「ビックリクロス」が発売されている。このほか、『ウルトラシリーズ』や『仮面ライダーシリーズ』、『機動警察パトレイバー』のキャラクターを用いた「ディフォルメクロスシリーズ」、『世界忍者戦ジライヤ』では「マグネクロス」を発売している。
同じくバンダイがスポンサーとなり、登場するメカなどの商品を発売している「スーパー戦隊シリーズ」の『超獣戦隊ライブマン』では、合体可能なロボット玩具を開発する過程で本作の聖衣装着のシークエンスを参考としており、素体となる1号ロボに2号ロボがパーツ単位で合体するスーパーライブロボが登場した。このスーパー合体は以降の同シリーズでは定番となっている[16]。
テレビアニメ放映終了後も2003年11月から「聖衣大系」のコンセプトを受け継ぐ「聖闘士聖衣神話」で商品展開が行われている。また、バンダイは『聖闘士星矢』関連のフィギュアシリーズとは別に「アーマープラス」を立ち上げ、放映当時はスポンサーでなかったために関連商品を発売しなかった『サムライトルーパー』の商品展開も行うなど、この「聖衣神話」で培ったノウハウは他の商品にも活かされている[17]。
あらすじ
原作の展開になぞりつつ、原作にはなかったギャグテイスト、鋼鉄聖闘士、神闘士などオリジナル要素を盛り込み、海皇ポセイドン編までがアニメ化された。アニメオリジナルエピソードとして、暗黒聖闘士編の後にオリジナルキャラが多数登場する『黄金聖衣争奪編』[18]、十二宮編と海皇ポセイドン編の間に、海皇ポセイドン編が一部関わる『北欧アスガルド編』が入れられた[注 3]。この時期のオリジナルエピソードにギリシア神話を用いていないのは、原作者の作り出す世界観を邪魔しないようにするためのアニメスタッフ側の配慮の結果である[19]。またオリジナルストーリーを挟んだのは、先述の通り、原作連載開始から程なくアニメ化が決まったため、アニメが原作のポセイドン編に追いつく可能性があったためでもある。
- 黄金聖衣争奪編
- 原作での暗黒聖闘士編と白銀聖闘士編の間に挿入された、完全オリジナルエピソード。聖域を掌握したアーレス教皇が黄金聖衣奪回のため、星矢たちのもとへ次々に刺客を差し向ける。敵側のキャラクターとして非正規の聖闘士や幽霊聖闘士、星矢たちの味方として鋼鉄聖闘士など、アニメオリジナルの聖闘士が多数登場した[18]。
- 北欧アスガルド編[注 4]
- 北欧神話とオペラ『ニーベルングの指輪』をモチーフにしたオリジナルエピソード。魔の指輪ニーベルンゲン・リングの魔力によって邪悪の化身となってしまったオーディーンの地上代行者ヒルダと彼女を守護する神闘士(ゴッドウォーリアー)たちと、アテナと地上世界を救おうとする青銅聖闘士の戦いを描く。アスガルドの厳しい身分制度や悲惨な食料事情、また神闘士たちの悲壮感に満ちた生い立ちなどが、ストーリーの根幹にある。ヒルダが邪悪に操られたために、彼女の力によって保たれていた北極の氷が解け始めてしまう。アテナの力をもってしても世界水没を食い止められるのはわずか半日に過ぎない。その間にヒルダの指にはめられたニーベルンゲン・リングを外さなくてはならないが、指輪の魔力は伝説の名剣・バルムングの剣でのみ断ち切ることができ、しかもバルムングの剣を手に入れるには、神闘士達をすべて打ち倒し、その守護石である7つのオーディーンサファイヤを集めなければならないため、屈強の神闘士たちと星矢たちとの死闘が繰り広げられる。最後は蘇った伝説のバルムングの剣の力によって指輪は破壊され、ヒルダは邪悪から解き放たれて平和が訪れる。直後、アテナは海皇ポセイドンに津波でさらわれることで海皇ポセイドン編へ続く。
注釈
- ^ ただし、74話と100話を除く
- ^ 当時バンダイの社員であった野中剛は、それまでの主力であったスーパー戦隊シリーズ・メタルヒーローシリーズ・マシンロボシリーズなどがタカラのトランスフォーマーシリーズに対し劣勢となっており、ファミコンの影響により玩具部門自体の業績が悪化していたため、本作品が売上の柱になったと証言している[15]。
- ^ このため、原作の海皇ポセイドン編において、先の聖域での戦いで倒れた星矢たちが復活する話はなくなり、北欧アスガルド編開始時には既に復活を果たしていた。
- ^ CDのパッケージ及び一部の雑誌では黄金の指輪編となっている[20]。
- ^ 一部ではテレビランドとてれびくんにも実質連載された。
- ^ 1月7日に放送予定であったが、昭和天皇崩御のニュースのために1月14日の放送になった。
出典
- ^ 車田正美『聖闘士星矢車田正美ILLUSTRATIONS 宙(SORA) 車田正美漫画家生活30周年記念企画』集英社、2004年、40-45頁。ISBN 978-4-08-782072-0。
- ^ a b c d DVD『聖闘士星矢 天界編 序奏〜overture〜』特典映像「劇場公開特別番組 SEIYA HISTORY」より。
- ^ a b 車田監修 2001, pp. 148–150
- ^ 後藤広喜他 編『聖闘士星矢アニメ・スペシャル』 2巻、集英社〈ジャンプゴールドセレクション〉、1988年、90頁。雑誌 29939-11/9。
- ^ 『トイジャーナル』1989年2月号
- ^ 鈴木敏夫編「戦士たちの休息」『アニメージュ 1989年12月号』徳間書店、平成元年(1989年)4月10日、雑誌01577-4、55頁。
- ^ THE・超合金
- ^ 酒井編 2012, p. 77.
- ^ 後藤広喜他 編『聖闘士星矢アニメ・スペシャル』 1巻、集英社〈ジャンプゴールドセレクション〉、1988年、91頁。雑誌 29939-7/13。
- ^ a b 酒井編 2012, p. 68
- ^ 酒井編 2012, p. 71.
- ^ “高河ゆん : 30年前の「聖闘士星矢」同人誌が“公認”に 「チャンピオンRED」付録に一挙掲載”. MANTANWEB (毎日新聞デジタル). (2015年2月19日) 2015年2月19日閲覧。
- ^ 『ジャンプアルティメットスターズ』内の作品解説参照
- ^ 『聖闘士星矢』の主題歌を担当するNoBに聞く!「“ペガサス幻想(ファンタジー)”は世界の共通語」 ファミ通.COM 2011年11月28日
- ^ 「[インタビュー]野中剛」『宇宙船』vol.158(AUTUMN 2017.秋)、ホビージャパン、2017年9月30日、pp.112-113、ISBN 978-4-7986-1548-6。
- ^ 『ホビーアーカイブ スーパー戦隊ロボ TOY HISTORY 1979……2007』ホビージャパン、2007年、92頁。
- ^ プレイバック!! 鎧伝サムライトルーパー プレミアムバンダイ、2015年6月4日閲覧。
- ^ a b 宝島社 2014, p. 19
- ^ 酒井編 2012, p. 69.
- ^ “聖闘士星矢 音楽集VI 黄金の指輪篇”. 日本コロムビア (2010年). 2015年4月29日閲覧。
- ^ DVD-BOX-1のキャラクター登場スケジュールのデータより
- ^ DVD-BOX-2のキャラクター登場スケジュールのデータでは32話から35話まで修行編で36話から41話まで黄金聖闘士編となっている
- ^ もしくは黄金十二宮編(黄道十二宮編)
- ^ 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1989年4月号、学研、99 - 101頁。
- ^ 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1989年10月号、学研、91頁。
- ^ a b 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1988年3月号、学研、79頁。
- ^ 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1988年3月号、学研、80頁。
- ^ 『北國新聞』1989年7月3日 - 7月7日付朝刊、テレビ欄。
- ^ 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1989年10月号、学研、92頁。
- ^ 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1989年10月号、学研、93頁。
- ^ 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1988年3月号、学研、81頁。
- ^ 車田正美プロジェクト 「聖闘士星矢」 紹介サイト。
- ^ 「聖闘士星矢」アメリカで訴えられ約820億円の賠償金請求!訴えたのは個人か シネマトゥデイ 2011年3月11日
- ^ 「聖闘士星矢」をめぐる訴訟、東映アニメーションが勝訴!著作権侵害での約800億円の賠償金請求も却下へ シネマトゥデイ 2012年3月19日
- 聖闘士星矢 (アニメ)のページへのリンク