猿の惑星 (映画) 猿の惑星 (映画)の概要

猿の惑星 (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/10 14:11 UTC 版)

猿の惑星
Planet of the Apes
監督 フランクリン・J・シャフナー
脚本 マイケル・ウィルソン
ロッド・サーリング
原作 ピエール・ブール
製作 アーサー・P・ジェイコブス
出演者 チャールトン・ヘストン
ロディ・マクドウォール
キム・ハンター
モーリス・エヴァンス
ジェームズ・ホイットモア
ジェームズ・デイリー
リンダ・ハリソン
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
撮影 レオン・シャムロイ
編集 ヒュー・S・ファウラー
製作会社 20世紀フォックス
APJACプロダクションズ
配給 20世紀フォックス
公開 1968年2月8日 (Capitol Theatre)
1968年4月3日
1968年4月13日
上映時間 112分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $5,800,000
興行収入 $32,589,624[1]
配給収入 2億8789万円[2]
次作 続・猿の惑星
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チャールトン・ヘストンとリンダ・ハリソン

あらすじ

4人の宇宙飛行士を乗せてケネディ宇宙センターから発進した一隻の宇宙船が、およそ6か月の宇宙飛行を経て、地球への帰還を目指していた。船長のテイラー(チャールトン・ヘストン)は準光速航行が、ハスライン博士の時間の理論に従って、船内時間が1972年7月14日、地球時間が2673年3月23日であることを確認した後、睡眠薬を注射して他の3人と同じように冬眠状態に入った。

しかし、その後何らかのトラブルが発生し、宇宙船はとある惑星の湖上へと不時着水した。着水と同時に冬眠装置が自動的に開き、テイラー、ドッジ、ランドンの男性3人は脱出したものの、女性飛行士のスチュアートは航行中の装置故障による空気漏れで既に死亡していた。幸いにも惑星は地球と同じような環境が保たれており、生き残った3人は沈みゆく船を離れ、ゴムボートで川を遡っていく。オアシスにたどり着いた一行は水浴びをするが、途中で何者かに衣服や物資を盗まれる。その後を追いかけた一行の前に現れたのは、原始人のような人間の群れを追いかける、銃で武装し馬に跨った猿の騎兵たちであった。猿たちは逃げ惑う人間に銃撃を加えながら追い詰めて行く。ドッジは射殺、ランドンは捕まり、テイラーは首に重傷を負い、そのまま意識を失う。やがてテイラーが気が付くと、大勢の人間が飼育されている動物病院において輸血を受けているところだった。

この星における猿にとって人間は、知能も低く、文化や言葉を持たない野蛮な下等動物に過ぎなかった。しかしテイラーを治療するチンパンジーの獣医・ジーラ博士(キム・ハンター)は、猿は元々人間から進化したものと考えて、それを立証すべく、独自に研究を続けていた。その婚約者で考古学者のコーネリアス(ロディ・マクドウォール)も、ジーラの学説には少し懐疑的ではあったが、猿社会ではタブーとされている「禁断地帯」を調査して、これまで真理とされてきた考えに大きな疑問を抱いていた。ジーラは、その行動が他の人間とは全く違い、しかも言葉を発しようとするテイラーに強く興味を示していた。怪我の後遺症で喋れないテイラーは、自分は言葉が分かることを紙に書いて伝えようとする。また、ジーラが同じ檻に入れた若い女性には自ら「ノバ」と名付ける。だが、ジーラとコーネリアスの上司であるオランウータンのザイアス博士(モーリス・エヴァンス)は、そんなテイラーを危険視し、意思疎通の試みを妨害する。

傷が回復したテイラーは脱走を試みるが、公衆の面前で捕まった時にとうとう言葉を発し、周囲の猿たちを大いに驚かせる。テイラーは裁判にかけられるが、法廷の真の目的は、何故テイラーが言葉を発するのかという議論ではなく、猿社会で当然の真理とされてきた思想に公然と刃向うジーラとコーネリアスの異端的言動を断罪する事にあった。裁判官たちはテイラーの主張を単なる戯言としか受け止められず、テイラーはジーラたちの陰謀によって生み出されたものと見なしていた。テイラーは離れ離れになった仲間との面会を求めるものの、捕えられていたランドンはザイアス達の手で脳外科手術が施されており、廃人と化していた。閉廷後、テイラーは一人ザイアスの執務室に呼びだされる。ザイアスはテイラーを、猿たちの「聖典」で禁足地とされている「禁断地帯」からやって来たミュータントだと考え、その通りに自供しなければ去勢と脳手術を施すと脅す。テイラーはザイアスが一体何を恐れているのかが分からなかった。

6時間の猶予を与えられて牢に戻されたテイラーだが、ジーラの甥のルシアスが助けにやってくる。審理の結果、重い処分を下されたジーラとコーネリアスは自ら「禁断地帯」へと向かい、自説の正しさと異端の無実を証明しようと決意したのだ。ノバを伴い、海岸に到着した彼らは、後を追って来たザイアスを釈明の為に岸壁の洞窟へと連れ込んだ。コーネリアスが以前に洞窟で発掘した出土品からは、約1200年前に書かれた「聖典」とは全く矛盾する、高度な技術が使われた遺物がいくつも発見されていたが、ザイアスは「聖典」が覆る事を恐れ、それを認めようとしない。その時、ザイアスの部下が攻撃を仕掛けてくるが、テイラーはザイアスを人質にとり、自分とノバのための武器と馬を要求する。

窮地に立たされたザイアスは、とうとう実は自身も密かに、現在の猿の文明は過去の人類文明の遺産であると考えていたことを白状する。彼は「聖典」と矛盾する事実をずっと隠蔽し続けていたのだ。テイラーはジーラたちに別れを告げると、ノバと馬に跨り、共に長い海岸線を辿って行った。一方のザイアスは、テイラーは捨て置くものの、部下に命じて洞窟をただちに爆破させた上で、ジーラとコーネリアスを改めて裁くことを宣言する。ジーラはテイラーたちが禁断地帯の先で何を見つけるのか案ずるが、ザイアスは「人間の運命だ」と静かに言った。

そしてテイラーが海岸で見たものは衝撃的な「人間の運命」であった。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
TBS フジテレビ LD
ジョージ・テイラー大佐 チャールトン・ヘストン 納谷悟朗
コーネリアス ロディ・マクドウォール 山田康雄 近石真介 富山敬
ジーラ博士 キム・ハンター 中村メイ子 楠トシエ 平井道子
ザイアス博士 モーリス・エヴァンス 熊倉一雄 大塚周夫 熊倉一雄
議長 ジェームズ・ホイットモア 久米明 久松保夫 槐柳二
オノリアス ジェームズ・デイリー 小林昭二 大木民夫 村松康雄
ノバ リンダ・ハリソン 酒井環
ルシアス ルー・ワグナー 納谷六朗 富山敬 鈴置洋孝
マクシマス ウッドロー・パーフレイ 北村弘一 八奈見乗児 杉田俊也
ジョン・ランドン中尉 ロバート・ガンナー 富田耕生 木村幌 仲村秀生
トーマス・ドッジ中尉 ジェフ・バートン 小林清志 田中信夫 飯塚昭三
 マリアン・スチュアート中尉 ダイアン・スタンレー
ジュリアス バック・カータリアン 渡部猛 相模太郎 池水通洋
騎兵隊長 ノーマン・バートン 石井敏郎 宮内幸平 峰恵研
ガレン医師 ライト・キング 寺島幹夫 村松康雄
聖職者 ポール・ランバート 石井敏郎 峰恵研
その他 村松康雄
田中信夫
桂玲子
中島喜美栄
浅井淑子
渡部猛
増岡弘
水島晋
田中康郎
飯塚昭三
浅井淑子
遠藤晴
演出 山田悦司 田島荘三
翻訳 岡枝慎二(字幕) トランスグローバル 飯嶋永昭
調整 杉原日出弥
プロデューサー 熊谷国雄 山崎宏
制作 トランスグローバル 東北新社
解説 荻昌弘 高島忠夫
初回放送 1973年12月24日
月曜ロードショー
21:00-23:26
ノーカット
1975年4月11日
ゴールデン洋画劇場
21:00-22:55
(約98分)
  • TBS版 - 『月曜ロードショー』での初放送1973年12月24日 ※当時大作映画は前、後編二週に分けて放送することが慣例だったが[3]、2時間枠で一挙に放送した[3]。一回こっきりの再放送なしという事前の"おどし商法"の番組告知も功を奏し[3]視聴率37%(ビデオリサーチ)とテレビ洋画放送の当時の最高視聴率を記録した[3]。この影響で裏番組の『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ)、『たんぽぽ』(日本テレビ)など、軒並み視聴率がダウンした[3]
  • 「ザイアス」は原語に近い発音だと「ゼイウス」となる。
  • ソフト版は1982年4月21日発売の二ヶ国語版レーザーディスクより初出[4]。アルティメット・エディションDVD、BDに収録。
  • 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンの「吹替の帝王」シリーズ第6弾として、ソフト版に加えTBS版とフジテレビ版の計3種類の吹き替え版を収録したBlu-ray Discが2014年9月3日に発売。ただしTBS版は、現在では不適切とされる4つの文言[5]がカットされている1976年の通常枠版と1978年拡大枠版(1973年放送の短縮版)しか発見できなかったため一部が原語となる[6]。また、特典としてテレビ版の吹替台本2冊が付属している。

  1. ^ Planet of the Apes”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2011年5月4日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)251頁
  3. ^ a b c d e “ひっかき回し37%”. サンケイスポーツ (産業経済新聞社): p. 11. (1974年1月8日) 
  4. ^ 品川四郎「吹替洋画新聞 第四号」『宇宙船』Vol.112(2004年5月号)、朝日ソノラマ、2004年5月1日、112頁、雑誌コード:01843-05。 
  5. ^ テイラー大佐が猿に向かって言う『気狂い』『気違い猿』など
  6. ^ 20世紀FOXホームエンターテイメント”. 2015年1月1日閲覧。
  7. ^ 『理科年表 平成25年』 丸善 2012年刊


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