猿の惑星 (映画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/10 14:11 UTC 版)
製作
脚本
20世紀フォックスのプロデューサー、アーサー・P・ジェイコブスの依頼を受けロッド・サーリングが執筆した脚本は、最終的にマイケル・ウィルソンによって大きく改変された。
主人公が猿達から理不尽な扱いを受ける描写には、ウィルソンが共産主義者とみなされたために赤狩りの対象になった経験が反映されている。なお、ウィルソンはピエール・ブール原作の『戦場にかける橋』やチェ・ゲバラを題材にした『ゲバラ!』の脚本も担当している。
原作との違い
原作では猿は独自の言語を用い、主人公がそれを習得して猿たちと意思疎通をするという展開であるが、映画では猿は初めから英語を話している (そしてそれが作品の結末への伏線になっている)。
原作では主人公たちが到着したのは、オリオン座の主星ベテルギウスとなっており、結末の場面で「地球もまた、猿の惑星となっていた」となるが、映画では人類が原始人並の知能しか持たず、逆に猿に似た類人猿が高い知能を持って文明を築いており、その謎が判明するのが作品の結末となっている。ちなみにベテルギウスは赤色超巨星であり、恒星としての寿命が非常に短い上、大きさ・明るさも短期間で大きく変動するなどの理由により、実際には地球生物の居住可能な惑星を従えている可能性はないとされる。また、地球からベテルギウスまでの距離はおよそ497光年程度と考えられている[7]。
エピソード
- 本作の白眉ともいえる、猿の特殊メイクはジョン・チェンバースによるものであり、当時のレベルでは飛び抜けて精巧なものだった。アカデミー賞にメイクアップ賞が設立されたのは10年以上経った1981年であるため、チェンバーズはアカデミー名誉賞を受賞した。
- 本作の制作に関わった小説家・劇作家のウィリアム・サローヤンの甥は、日本で上映された事を驚いたという。理由として、原作者のブールは戦前フランス領インドシナで有色人種を使役していた農場の監督として働いており、戦時中に日本軍の捕虜となって白人と有色人種の立場の逆転を経験したことが、原作小説の執筆動機になっており、「人間を支配する猿=日本人」という暗喩が込められているとされたからである。しかし、実際にブール本人がこの事について言及したことはない上、日本軍の捕虜になったこともなく、むしろ彼を捕虜にしたのはヴィシー・フランス軍であり、上記の説には証拠となるものが無い。(著者が日本軍の捕虜になった、なっていないと所説あり)
- 猿の惑星の正体が判明する本作のラストシーン(米ソ冷戦の成れの果てをイメージしたと言われている)は非常によく知られており、2005年に発売された日本版DVDでは、最大級のネタバレであるにもかかわらず、大々的にパッケージイラストに描かれている。
脚注
- ^ “Planet of the Apes”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2011年5月4日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)251頁
- ^ a b c d e “ひっかき回し37%”. サンケイスポーツ (産業経済新聞社): p. 11. (1974年1月8日)
- ^ 品川四郎「吹替洋画新聞 第四号」『宇宙船』Vol.112(2004年5月号)、朝日ソノラマ、2004年5月1日、112頁、雑誌コード:01843-05。
- ^ テイラー大佐が猿に向かって言う『気狂い』『気違い猿』など
- ^ “20世紀FOXホームエンターテイメント”. 2015年1月1日閲覧。
- ^ 『理科年表 平成25年』 丸善 2012年刊
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