屋根 屋根の概要

屋根

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/23 14:44 UTC 版)

ドイツマイセンの屋根。
古代ローマの遺跡、フォロ・ロマーノの建築群の再現3Dとその屋根
アルベロベッロの「とんがり屋根」の群れ。石を積んである。固定されていない。
白川郷合掌造茅葺屋根
サン・マルコ寺院のドーム屋根
鉄筋コンクリート・ビルの屋根

概説

屋根は上方にあり、を防いでいるが、それだけでなく壁や床などとともに建築空間を囲う役割も果たしており、視線などをさえぎる役割も果たしている[1]。また建築意匠(建築物の視覚的デザイン)にかかわる重要な要素でもある[1]。→#屋根の機能

屋根は様々な建築物に設けられる。公共の建築物、企業の社屋や工場倉庫教会堂・仏教寺院などの宗教建築物(en:Sacral architecture)、住宅などだけでなく、納屋山小屋などまで、建築物のタイプにかかわらず設けられる。

住宅などの建物の場合、屋根は床や外壁などとともに居住空間を包む外周部(外皮)の一部である[2]

屋根の形状は、陸屋根(ろくやね)と勾配屋根(こうばいやね)とに大別される。

日干しレンガや泥壁で建物を作る場合、陸屋根の部分は基本的には太い腕木で支える。現代の鉄筋コンクリート造ラーメン構造では柱と梁で屋根スラブを支えて陸屋根を構築する。

勾配屋根は、西洋では建築物は壁を主たる構造体として、石やレンガで外壁を下から積み上げる組積造が建物の基本構造となっているが、外壁が煉瓦造や石造である場合でも、屋根の小屋組部分は木造で組まれることが一般的である。一方で、ゴシック建築の壮大な教会堂の内部空間、あるいは宮殿の大広間など、「柱の無い空間」を実現するために、アーチ構造を組み合わせたドームヴォールトが利用された。西洋の上級建築においては重厚感あふれる石造が好まれたが、組積造のみで屋根を構築する場合はアーチの利用は不可欠である。一方、日本の建造物は「柱と横架材」で構造を作る木造軸組構法であり、軸組構造の上に小屋組を構成する形で屋根が作られる。

屋根の機能

住宅の屋根には次のような機能があり、屋根材には様々な性能が求められる[2]

  • 耐候性 - 太陽光、風雨、気温変化による腐食や変質が少ないこと[2]
  • 耐風性 - 地域、場所、高さに応じた強に耐えること[2]
  • 耐食性(耐薬品性) - 潮風や汚染大気酸性雨などによる腐食がないこと[2]
  • 遮音性 - 外部の騒音を伝えず屋根材自体もを発生させないこと[2]
  • 耐熱性(断熱性) - 夏季でも日射によるに耐えること[2]
  • 耐寒性(耐凍害性) - 季でも寒気、放射冷却、すがもれ(屋根で再凍結した雪などで排水が妨げられ屋根材の隙間から水が漏れる現象)に耐えること[2]
  • 防火性 - 火災発生時の飛び火によって容易に引火せず、輻射熱による自燃(自然発火)が起きないこと[2]
  • 耐衝撃性 - 飛来物による衝撃や屋根上での人間の作業で損傷しないこと[2]
  • 施工補修性 - 施工や修理が容易であること[2]
  • 経済性 - 材料費のほか施工やメンテナンス費用が低廉であること[2]
  • 意匠性  - 外観が良く(形状が美しく)、色調や質感も良いこと[2]
  • 耐震性 - 地震の多い地域(日本を含む)では、容易に脱落せず下地に固定されていることが求められる[2]。一般に軽い屋根材の方が地震に強いとされる[2]。日本では重要だが地震が少ないヨーロッパではあまり重要視されない。

  1. ^ a b c d e 日本大百科全書【屋根】
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 第2編 住まい手向け 長持ち住宅ガイドライン (PDF) 国土技術政策総合研究所、2020年12月20日閲覧。
  3. ^ JTC, ROOF CONSTRUCTORS LTD, TYPES OF ROOF DESIGNS & STYLES
  4. ^ a b c d e 藤田元春「屋根槪說 一」『地球』第5巻第5号、地球學團、1926年5月、484-494頁、NAID 1200053948732021年5月30日閲覧 
  5. ^ a b c d 今回登録の物件概要 (PDF) 新潟県、2020年12月20日閲覧。
  6. ^ 「豊スタ」屋根、開けっ放しに 中日新聞女性向けサイト:オピ・リーナ、2014年12月16日
  7. ^ 新国立競技場の可動屋根 - i+i 設計事務所






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