寄生獣 作品解説

寄生獣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 16:54 UTC 版)

作品解説

漫画史的位置づけ

本作を連載していた当時の『月刊アフタヌーン』は、主流や王道から外れた独創的な漫画作品を掲載している雑誌の中では最も著名と言える位置づけの雑誌であった[24]。本作が連載されていた1990年代半ば頃は、漫画の売れ行きがピークを迎えると同時に「近頃の漫画はつまらない」という言説が取りざたされるようになった時期でもあった。本作はそうした言説の中にあって例外として評価された作品でもある[24]。連載当時における本作は、藤島康介の『ああっ女神さまっ』と並び立つ『アフタヌーン』の看板的な作品であった[24][107]。雑誌編集部は長く連載を続けさせたい意向であったともいわれ[108]、1995年の連載終了後も、『アフタヌーン』のコラボレーション企画では比較的大きな扱いを受けている[107]。なお本作は、根強い人気を持ちながら知名度の低い作品という印象で語られがちであるが[8]、単行本はロングセラーとなっており累計発行部数は多い[8]

本作の連載中は環境問題が大きなブームとなっており[15][24]、また連載が終了した1995年初頭は阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件の影響も相まって社会に終末感が漂う時代でもあった[24][109]。本作は普遍的な題材を扱いつつも[110][24]、連載当時の時代性や風潮、若者の言葉遣いなどが色濃く反映された作品でもある[24][109]。本作のように人外の生態系の側から環境問題を問う形で物語が始まるものの、物語の途中でそれが否定され異なる結論に到達する構造は、宮崎駿の漫画版『風の谷のナウシカ[24][111][112][109]や、楳図かずおの『14歳[111][109]といった同時代の漫画にも見ることができる[24][111][112][109]。特に漫画版『風の谷のナウシカ』と本作は、いずれも連載当時の環境問題ブームと関連づけられて評価されながらも[112][109]、著者がそのブームに対して否定的な見解を述べていることや[112][109]、隣人的な存在が敵となるという他者感覚[109]、人類が罪を背負って生きていくという結末[112]などの点で共通点がある。

執筆

作者の岩明によれば、本作の元となる作品の構想を思いついたのは漫画家としてプロデビューする前のことであるという[15][113]。最初から「主人公の手が意思を持って動き出す」という状況に「環境問題」を絡めて描くというところまでは決まっていたものの[113]、当初はラブコメディー的な内容の投稿作品を想定していたとされる[15]。当初はお蔵入りのアイディアとなっていたものの、岩明にとって最初の連載長編作品であった『風子のいる店』における反省点を活かせる題材として日の目を見ることとなった[15]。連載開始時は読者に訴えるような強いメッセージ性を込める意図はなく、「嫌な理屈で来る新型生物を読者に紹介する」という程度の気構えであったと述懐しているが[114]、連載を終える頃までには何事もテーマと結びつけて深く考えるのが日課となっていたという[15]

当初は全3話完結の予定で[15]、そのため「モーニングオープン増刊」で連載された。人気作品となり結果として7年間連載、コミックス全10巻の長期作品となった。

当初の掲載誌であった『モーニングオープン増刊』で発表された第3話まででまとまった話になっており[24][107]、この序盤において既に物語全体のテーマが縮図として提示される形となっている[107]。その後『月刊アフタヌーン』へ移籍してから最初のエピソードとなる第4話では、『アフタヌーン』からの読者に向けた仕切り直しのプロローグが描かれた[24]。岩明は、基本的な構想自体は連載初期から大きく変わることはなかったとしており[113]、物語終盤における最大の敵となるパラサイト「後藤」との対決も、最終的にはその結末が変更されたものの、連載初期から予定されていたと語っている[15]。岩明が得意としているのは伝統的なストーリーテリングの技法に則って計算し尽くされたドラマツルギーであり[89]、本作もまた1928年にウラジーミル・プロップが分類したストーリー類型「昔話の構造31の機能分類」に沿った構造となっているのが見て取れ[115]、物語全体に程良く張り巡らされた伏線の回収は巧妙かつ模範的なものとなっている[89][107]。特に、表題の「寄生獣」という単語の意味が明かされる第55話の展開(「#概要」を参照)は、劇中における人間とパラサイトの関係を反転させるどんでん返しになっているが[59][109]、この展開は第1話の最初のページから周到な伏線が張られており[59][89][19]、連載開始から約6年越しの伏線の回収で読者を驚かせる仕掛けになっている[89]

一方、テーマには変遷もあったという[15]。当初は「愚かな人間どもに対する警鐘」的な結末が構想されていたが、本作の連載が進むにつれて類似のテーマが世間で流行して陳腐化していくようになると、そのことに疑問を感じた作者が方向性を転換した[15]。最終的に当初のテーマは、主人公たちの敵となる登場人物・広川個人の思想として引き継がれ[15][59][19]、イデオロギーとしては否定的に描かれつつもその後の展開に影響を及ぼす軸となっていく[59]。結果として物語は単なる環境問題の啓発や、環境問題を掲げて人間を批判する広川との対決で終わることはなく、人間とパラサイト、主人公自らの存在意義を追求するSFとして奥行きを持った展開が描かれていく[19]

作者の岩明は、登場人物の容姿を設定するに当たって、身近な人物をモデルとすることは避けていたが、その数少ない例外として、鏡に映してミギーのモデルにしていた自身の左手を挙げている[116]。また、最終話で殺人鬼・浦上が武器として用いた肉厚のナイフのモデルは、資料として購入した実在のナイフであるという[15]。更に岩明は最終巻のあとがきで以下のような余談を明かしている。岩明は連載の最終話を脱稿した後、友人との酒の席で、酔った勢いで「浦上のナイフ」を弄び、誤って左手の親指を爪先ごと切り落とす怪我を負った。しかし指先は2か月後には元通りに再生し、「まるでミギー」という感慨を抱くと同時に、それ以上に人間の身体が大自然に支配され生かされていることを改めて思い知ったという[15]

表現

岩明の作品の特徴として、刃物による殺傷表現といった「切断」のシチュエーションへの執着を指摘する意見もある[48]。特に本作の場合、人間の頭部に擬態したパラサイトが触手を刃物に変形させ、攻撃態勢を取る際には、あたかも人間の頭部が切り刻まれるかのように裂け、頭の断面が露出するような形態となる[24][59]。この予備動作は同時にパラサイトの刃物によって犠牲者が切り刻まれる様子と対比されるものとなっており、加害者と犠牲者の双方で人体損壊の様子を見せる効果を生んでいる[59]。岩明が手掛ける他の作品同様、パラサイトに切り刻まれて捕食される犠牲者の死は即物的に描写されており[117]、具体的でありながらも簡潔かつ象徴主義的で[59]、本能的な行動として捕食するパラサイトと状況を理解できないまま殺される犠牲者といった図式を淡々と描くような[24]、徹底的にドライな描写がされている[24][112][118]。遺体は写生画のように描かれる[118]。一方で、人間側に与するパラサイトであるミギーとジョーには、攻撃の際に内部構造が露出する表現が用いられない[24]

岩明の画風は流行からかけ離れており[108]、作画の技巧という面ではあまり高くは評価されていないものの[47]、岩明は大学で美術を学んでおり[24][117]、本作の連載初期には美術の技法を応用した独特の線や面の表現を見ることができる[24][47]。ただし本作の連載が長期に及ぶにつれて絵柄の変遷もあり、物語か終盤に差し掛かる頃には、岩明の画風に漫画的な記号表現が取り入れられていくのを見て取ることかできる[47]

影響を受けた作品と与えた作品

人間に擬態するパラサイトの設定、人間を襲う際に変体して現す正体の容姿や描写、特に物語序盤にイヌに寄生したパラサイトは、1982年のアメリカ映画『遊星からの物体X』から影響を受けたとも言われる[119][107]。ただし『遊星からの物体X』は人間に擬態した地球外生物への恐怖で仲間同士が疑心暗鬼に陥るという典型的な「エイリアン侵略もの」の作品だが、『寄生獣』は同作のような「エイリアン侵略もの」の類型には収まらない展開となっている[19]。また1972年の永井豪による漫画『デビルマン』との様々な側面での近しさもしばしば指摘され[24][107]、本作の作者である岩明もそのことに自覚的であることは、『デビルマン』へのトリビュート企画として発表されたアンソロジーコミックネオデビルマン』でも示唆されている[107]

一方で、本作に登場するパラサイトの描かれ方は、1991年のアメリカ映画『ターミネーター2』にも影響を与えたといわれ[107][120]、具体的には同作で敵として登場し、液体金属によって自在に姿を変化させる人造人間「T-1000」の動きは本作の影響を受けているとも言われる[120]が、これは岡田斗司夫の発言が元になった都市伝説である[注釈 68][注釈 69][注釈 70][注釈 71]

また、作者である岩明均は1992年の3月号のアフタヌーンのインタビューにて「ターミネーター2」をお気に入りの作品として挙げている[121]

評価

早稲田大学教授・文芸評論家の加藤典洋は「文学を含め、戦後のベストテンに入る」としている。また「進路選択に迷ったとき、あるいは大学の授業がつまらないと感じたとき、異性にふられて悲しいときに読んでみることを薦める」としている[122]

評論家哲学者鶴見俊輔はこの作品を「人生、2度目の衝撃でした」[7]、「生涯に読んだもっともおもしろい本のひとつ」と評しており、夕食後読み始めて全巻を読了したときには夜が明けていたという[123]竹田青嗣も当作品を薦められた際に徹夜したが、その結果喀血し、結核の疑いで約1か月病臥した。

心理学研究家の山竹伸二は書評“親殺しの文学”において「誰かが救うのではなく、自分自身で救う」という、外側からの救出ではない内側からの自己救出の物語として、村上春樹の『海辺のカフカ』と共に『寄生獣』を挙げている[124]

福本伸行はお勧めの漫画のベスト3を挙げるよう求められた時、その中の一つに挙げている。[125]

1993年に第17回講談社漫画賞一般部門を受賞。1996年に第27回星雲賞コミック部門を受賞。


  1. ^ a b 劇中で新一の胸を刺し貫いたパラサイトは「心臓を貫いた。人間部分は即死だ」と述べている[10]。傷の状態を見たミギーも「心臓への直撃」であったと述べている[11]
  2. ^ a b c d 劇中で迷彩服を着用してパラサイトの殲滅作戦に参加する武装集団が「自衛隊」や「自衛官」であると明言される場面はなく、ミギーや浦上から「軍隊」[12][13]と呼ばれたり、自らを「軍人」[14]と自称したりしている。ただし指揮官である山岸は「二佐」という階級で呼ばれており、彼らが自衛隊員であることを示唆している。
  3. ^ a b パラサイト「田宮良子」が赴任してきた時点では高校1年生[16]、母親を殺害された時点では高校2年生で16歳[17]。物語終盤で「後藤」と対決する際には高校卒業を間近に控えており[18]、クライマックスから1年後となる最終2話では大学合格を目指して浪人生をしている。
  4. ^ 劇中では「コード」で縛ったと言及されているが、それまで音楽を聴いていたヘッドホンのコードを使ったのか、何かの電源コードを使ったのかははっきりとした描写がない。2014年のテレビアニメ版ではヘッドホンのコードを、同年の実写映画版では電源コードを用いる描写となっている。
  5. ^ 最終回のラストシーンを含めて数回、口頭の会話ではなく夢の中で「有線」と称する意識の共有も行っている。
  6. ^ 食事や健康を気遣い、新一の置かれている状況や精神状態に応じて考えを変更するなど柔軟な思考も持つようになり、一時の感情や自己満足に流されて行動しようとする新一を諌めることもあった。
  7. ^ 9巻のラストには、後藤との戦いに負け自己犠牲とも取れる行動を起こしたり、死を予感した際に「きみの脳を奪わなかったお陰で、友だちとして色々な楽しい思い出を作れた」と回想するなど、この頃には新一に対して友情めいた感情を抱いている。最終話では人間を「心に余裕(ヒマ)のある生物」だと賞賛するなど価値観に変化が生じている。
  8. ^ 不定期で眠りに落ちることがあるが、新一の身に危険が及んだり、パラサイトが殺意を発すれば反応して目覚める。
  9. ^ 物語の最後で里美がビルから突き落とされた際、新一に代わって彼女を救ったかのような描写があり、2人の繋がりが完全に切れた訳ではないことを示唆している。
  10. ^ 加奈自身は自分の見た夢を思い返して爆笑していたが[35]、夢の中の新一は右手を剣に変化させ、頭が口になっている怪物と戦っている。加奈の死の間際にはその光景が現実のものとなり、夢のことを思い返している[38]
  11. ^ その際にも逆上した新一に反撃されて叩きのめされている。
  12. ^ エピローグではアメリカン・コメディの翻訳調セリフ回しに似せた表現を披露するなど、作中他のパラサイトにはあまり見られないユーモアもある。
  13. ^ その際、彼の慌てふためいた滑稽な動作が、田村に「笑い」の感情を芽生えさせた。
  14. ^ 田村は倉森に調査を依頼してはいるが、倉森が深入りしようとした際は妄言だとして取り合っておらず、また、阿部を殺害したのは三木、妻子を手にかけたのは先走って動いた草野グループの仲間である。その後も田村は彼の事は特に気にかけておらず、むしろ騒ぎを大きくすることを懸念して放置しようとしており、実態から言えば逆恨みに近い
  15. ^ その他、倉森の復讐行動は田村の母性本能を自覚させる契機となっている。
  16. ^ 直感的なものではなく、視覚的にも別の存在として捉えられるようで、後藤を目の当たりにした際には「あれが人間に見えたのか」と言っている。さらに、新一とミギーが「混ざっている」ことをも見分けている。加奈のように信号を送受するような力ではないため、パラサイトから狙われることは無い。
  17. ^ その後の容態は不明。
  18. ^ 劇中において新一は真樹子の家族に対して、旅の目的は父親の見舞いが目的であると受け取られる発言をしており、実際に見舞いにも行っている。しかし新一はモノローグで、母を殺害したパラサイトへの復讐と、狙われている父をパラサイトから守るのが主な動機であるかのような発言もしている。どちらが主目的であったとも解釈できる描写だが、主人公に関しては原作と同様の描写がされているテレビアニメ版『セイの格率』の公式サイトにおける第6話あらすじでは、父の身を守り母の仇を取ることを理由として紹介している[44]
  19. ^ a b c d e 劇中において瓶の中身を浴びた島田は、台詞で「強い酸だ! 硫酸か……!?」と述べている[46]
  20. ^ #設定」も参照。
  21. ^ 同僚の教師達からそれについて追及を受けたためで、人間の倫理観までは理解していなかった。
  22. ^ 生まれてきた子供は普通の人間であり、「実験に使うか、用が無くなれば食う」という程度の考えで育て始める(実験するにしてももう少し育てる必要があったため)。
  23. ^ ただし「田村玲子」として新一と再会した時には彼の強さを感じ取り、「今戦ったら負けそうだ」と話している。
  24. ^ ミギーによれば、通常一匹のパラサイトの攻撃は防御との兼ね合いや、自分の触手との空中衝突を防ぐため、パターンが決まっているが、彼女の場合は少なくとも2パターン以上を持っているとのこと。また、頭部の上半分を意識的に本体から分離して敵パラサイトの体内に侵入させ、相手の体の制御を奪うなどといった攻撃手段を用いたこともある。
  25. ^ 講義のテーマは「動物の利他行動とその疑問点」
  26. ^ 広川剛志に興味を覚え、彼が提唱したパラサイト組織の設立やコロニー計画の策定に協力するが、本人としてはパラサイトが生まれた目的の追求が第一になっており、設立後の組織の目的にはあまり協力的ではなく、傍観者的立場を取っていた。そのため新一とミギーを始末するという意見が出た時も、彼等との戦いは避けるように反論していた。
  27. ^ 彼女へのリンチ及び抹殺を企てた草野らを撃退しているさなかに、自身が直接行った事ではないがパラサイト達の元凶と見られた。
  28. ^ 銃撃を受けた際、新一の母親に擬態化したため新一に大きな影響を与え、彼の「胸の穴」を塞いだ。
  29. ^ 劇中では、直接的な描写はないものの「田宮良子」が何らかの方法で「A」を罠にかけて手を下したことが強く示唆されており、その後のモノローグで新一も「A」を始末したのは「田宮良子」だと考えていることが描写されている[52]
  30. ^ 劇中において遺体が人間側に回収されたことが初めて明確に描写されているパラサイトとなっており、それ以前にはパラサイトの生物的特性について詳しいことが分からなかったことが描写されている。これより以前には、「A」が田宮によって爆死し、そのことが劇中で公となったことが描写されているが、劇中内の報道では「上半身が吹き飛ばされており……」と言及され、この時点でパラサイトの存在に関する情報や、寄生部分のサンプルが人間側に回収されたかどうかは描写がない。なお2014年の実写映画版では、新一とミギーが物語序盤で倒した名前不明の人に寄生したパラサイトに当たる登場人物や、「A」の遺体も回収され、胃袋から人間の指が発見されたという言及があるが、原作ではそうした言及がない。
  31. ^ ただし広川の死後は、後藤から「よくわからんやつだった」とも評されている[58]
  32. ^ 実際、劇中で描かれる広川の目元は、表情をうまく作ることができないパラサイトと同じような表現で描かれている[59]
  33. ^ 新一とミギーは広川を初めて見かけた際、四肢に複数のパラサイトを融合させた「後藤」と並んでいた広川を、反応の数からパラサイトであると誤認していた[60]
  34. ^ ただし後藤の台詞でそのように説明されているものの、具体的な経緯がどのようなものであったのかという描写はされていない。
  35. ^ このことが仇となり本拠地となっている市役所にて警察と自衛隊との掃討部隊と戦うことになる。
  36. ^ 射殺された際、パラサイト特有の変形をしなかったため、この時になってようやく彼が普通の人間だったことが明かされた。
  37. ^ 作品タイトルになっている「寄生獣」の語が作中で使われたのは、広川が人間を指して「寄生獣」と呼んだ、この1件のみである。
  38. ^ 田村玲子がどのようにして作成したかは描かれていない。
  39. ^ 三木と後藤が同一の身体を共有していることは、当初は読者に対して伏せられていた。
  40. ^ 頭部として全身の寄生生物を統率できるのは「後藤」と「三木」の2匹で、自身以外の4匹を完全に統率できるのは後藤だけである。これについて後藤自身は三木との交代時に「できるようになったのはつい最近」と述べており、非常に難しい行為のようである。
  41. ^ 統率が完全では無い「三木」について、ミギーは「3体のパラサイト」と感じたことがある。なお後藤と新一が初めて目を合わせた広川の選挙演説の時、広川と後藤、および草野を含めた壇上の選挙スタッフたちを見てミギーは6体のパラサイトがいると判別していた[60]。新一は壇上にいた6人全員がパラサイトであると誤認するが、後に少なくとも広川が人間であることが明かされる。
  42. ^ この時、広川を初めとする多くの仲間を失うも、前述の通り単身で戦局をひっくり返し、「戦いこそが自分の存在意義である」と自覚するようになる。
  43. ^ その後は純粋な殺戮本能に従って、殺し損ねた新一とミギーを追跡。両者に追いつき戦闘を始めた。予想外の作戦に追い詰められながらも勝利し、新一から分離したミギーを取り込んだ。その後、人間の容姿を捨てて化け物となって山中に潜み、入山者を殺戮し捕食していた。以後は人間に対して凄まじい怒りを見せており、性格が変わったように激情的で人間を強く卑下するようになっていた。
  44. ^ 劇中の表現では「以前ゴミの焼却過程でよく発生していた有機塩素化合物[62]「猛毒」[63]とされており直接的に明言はされない。しかしダイオキシン類のことであると読み取れる表現になっている[64]
  45. ^ この時、新一にとどめを促されたミギーは「一度は肉体を共有した同種を殺すのは人間で言う殺人と同じだ」として、手を下すのを止めている。新一も長い逡巡の後、一度は手を下さない決意をして立ち去るが、ミギーとの会話を経て考えを改め、泣きながら謝罪しつつも自分が手を汚すことを決断する。
  46. ^ 走るスピードが遅いため新一とミギーに追いつけず、両腕を変形しての攻撃をうまく扱えずに空中で衝突させてしまい勝機を逃す。
  47. ^ ただし直後の場面では、「後藤」が「三木」だと思って呼び掛けた相手は、実は後藤に取り込まれていたミギーであったことが明かされる。
  48. ^ 劇中ではミギーから「育った環境のせいもあるだろうが不勉強なヤツ」と指摘されている。
  49. ^ テレビアニメ版『セイの格率』では「B」という名前が設定されている。詳細はテレビアニメ版の節を参照。
  50. ^ 本編では1度きりの出番のキャラクターだが、アフタヌーンKC版単行本の第1巻では表紙に大きく描かれて登場している。
  51. ^ 当時このような髪型は「リーゼント」と呼ばれていたが、厳密には「ポンパドゥール」の一種である。詳細は「リーゼント」を参照。
  52. ^ パラサイト「島田秀雄」が学校内で殺傷事件を起こす場面。
  53. ^ 福山市は実在するが、広島県の東端に位置する市である。
  54. ^ 2014年のテレビアニメ版では「西福山市立西福山高校」、同年の実写映画版では「西稜館高等学校」という独自の正式名が設定されているが、いずれも原作には登場しない名称である。
  55. ^ 作中では、世界中でパラサイトによると思われる殺人事件が頻発していることは言及されたが、日本以外の国の状況は描写されていない。日本政府がアメリカに問い合わせた結果、はぐらかしの回答しか得られていないことだけが描写されている。
  56. ^ その描写と後述の「形状」から、作品紹介などの二次資料では宇宙からの飛来物として解釈されることが多かったという[81][59]
  57. ^ 擬態を解いている時には表情豊かなパラサイトが、人間に擬態すると途端に無表情になることについて、実は物語世界の人間たちは(パラサイトの側から見て)元々表情に乏しい存在なのであり、パラサイトはそれを忠実に模倣しているだけなのではないかと読み解く解釈もある[47]
  58. ^ このため劇中ではミギーに、改名後も元の名前と語感の似た名前となっていることを看破されている[88]
  59. ^ 劇中における「後藤」の説明によれば、寄生部分には大量の小銃弾を正面から受け止めるほどの耐久力はないが、斜めに角度をつけて弾道を逸らすことは可能とされる[91]
  60. ^ 死ぬなどして失われた細胞は成長などで補えるのか、それとも失ったまま新たに増えることは無いのかは不明。
  61. ^ 直後に不具合が生じたのは泌尿器。作中においてパラサイトが生殖器をその目的で扱った例は、Aと田宮良子のみ。
  62. ^ 頭部であれば眉毛や鼻毛でも良いとされる[54]
  63. ^ 本能的か後天的かは不明。
  64. ^ しかし、生まれてからずっと飼育されていたため野生の直感を信じられず[96]、襲い掛かったところに返り討ちに遭った。
  65. ^ 目に埃が入ったときには普通に涙が流れるため、新一は涙を流すことができないのは心の問題だと推測している[104]
  66. ^ 例えば2014年および2015年の実写映画版で脚本を担当した古沢良太は、パラサイトと混じったことよりも、〔母の死や新一自身の臨死体験といった〕極限状態に置かれた経験と悲しみが彼を変貌させたのではないかという旨の見解を述べているが、あくまで個人的な解釈であるとも語っている[105]
  67. ^ 劇中の表現では「田村玲子がおれを救ってくれたんだ。おれの胸の穴を」[106]
  68. ^ 岡田は「BSマンガ夜話」の「寄生獣」の回の放送(1998年05月27日)で「T1000は寄生獣のパクリか」という視聴者からの問いに「ジェームズ・キャメロンは寄生獣の掲載された「アフタヌーン」を毎月号読んでいた」「エイリアン以降でスタイリッシュだったモンスターデザインが突然シュールなった」と言って肯定しているがその根拠になる反証は提示していない
  69. ^ 岡田は「オタクアミーゴス」の対談本などでも同様の発言はしているがこちらも笑い話のネタ程度で触れている
  70. ^ ジェイムズ・キャメロン自身はT-1000のアイディアは第一作当時から構想していたとドキュメンタリー番組「ディレクターズ」の中で回答している
  71. ^ T-1000のメインアームは銃器が中心であること、また刃物に変形する際も直線的な形状であることなど寄生獣との類似点はそれほど多くない
  72. ^ 第5話のラストシーンで心臓を貫かれ、第6話で瀕死の重傷を負ったところをミギーに救われて蘇生し意識を回復した直後に、一度は眼鏡をかけ直すものの視力が変化しており、眼鏡をかけると視界がぼやけ、裸眼ではくっきり見えることに気がつくという描写がされている。なお原作においてもミギーとの融合が進んだ後の新一は視力が向上したという言及があり、300メートル先の群衆の中から個人の体格や服装を正確に把握できると説明されている[102]
  73. ^ 物語の終盤では英単語が入った服も着ているが、書かれた単語は原作と異なっている。
  74. ^ 公式サイトでは「新一の同級生」とされているが[183]、劇中では3年3組の生徒であると言及されており[184][185]、新一とは学級が異なる描写になっている。
  75. ^ 原作における「島田秀雄」の学級は、新一の学級より1学年上であると言及されている[29]
  76. ^ 原作で不明だった兄の名前は、立川ハルキ(声 - 横尾博之)と設定された[187]
  77. ^ 「和輝」という名が設定されているが、原作では姓のみしか明かされていない。
  78. ^ 加奈と校門の外で逢っている描写がされている[185]。加奈の葬式の際には黒の背広と黒のネクタイを着用している[186]
  79. ^ ただし寄生される前は普通の頬となっている。
  80. ^ 「ジョー」と命名される前のエピソードであるテレビアニメ第7話では、エンディングクレジットで「宇田のパラサイト」と役名表記された。
  81. ^ 原作では学校の教師から「早瀬」と呼びかけられる場面があり姓が明らかにされていたが、本作にはその場面がない。またエンディングクレジットや公式サイトでも姓が明かされておらず、名のみが表記されている。
  82. ^ ただし劇中でそのように呼ばれる場面はない。
  83. ^ ただしテレビアニメ第2話のエンディングクレジットの役名では、単に「パラサイト」と表記されている。
  84. ^ なお原作においては、島田秀雄が「A」と対比され、殺人鬼「B」と呼ばれる場面がある[93]。テレビアニメ第10話でも同様。
  85. ^ 第2話では、3人の男と1人のOLを惨殺した後、容姿を「A」の顔に変更する様子が描かれており、エンディングクレジットではサラリーマン「A」という役名で表記されている。
  86. ^ 逃げたライオンと「A」のエピソードは、原作の連載時に掲載誌が変更された際の再導入部として描かれたものであった[24]。エピソードが省略されたのは、原作連載時と異なり再導入の必要がないためであると言われている[24]
  87. ^ 「田宮良子」が「A」を「理科準備室」という表札のある部屋に誘い出し、部屋に入るのを見届けた後、「酸素ガス」と書かれた3本のガスボンベを開栓した状態で窓から飛び降り、爆発させたという描写となっている。
  88. ^ 原作の単行本4巻の第23話で、硫酸[注釈 19]を掛けられて精神が錯乱した時モノローグで「おれ」になったが、第10話では同様の場面では「ぼく」のままで、統一されている。
  89. ^ 初登場の場面では原作と同様、普段と異なる姿で登場しているが、この際には奈良徹が声を演じており、エンディングクレジットでは後藤と併記して「タンクトップの男」と役名表記された。
  90. ^ 原作と異なり、テレビアニメ版の草野は前澤が撃破される現場を目撃した以降に氷川と別行動を取り、また「田村玲子」がパラサイトの正体を現したまま群衆の前に現れた後も追跡を続け、再び人間の女性に擬態する様子を目撃した後で立ち去っている。
  91. ^ 『青い鳥』は童話劇。






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