フルサイズ フルサイズの概要

フルサイズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/13 02:06 UTC 版)

日本語では特に、乗用車バンピックアップトラックスポーツ・ユーティリティ・ビークル (SUV) のうち、大型のアメリカ車修飾する場合に用いられることが多く、本項で記述する。

生い立ち

第二次世界大戦後のアメリカ合衆国国民の消費は極めて旺盛であり、工業生産全般において供給と需要が拡大した。自動車の分野でもこうした傾向が見られ年々ボディサイズが大型化し、1950年代から1970年代の前半にかけて、全長5.5 m、ホイールベース 3 mを超えるような乗用車も次々と出現した。1960年代に各メーカー(ブランド)がひとまわり小さいミッドサイズの販売を開始して以来、次第に最大サイズの車種は相対的に「フルサイズ」と呼ばれるようになった。この時代のフルサイズカーは、5リッターを超える大排気量エンジンを収めても空間に余裕があるほどの長大なボンネットや、必要のないほど肥大化したテールフィンなど、機能を離れて芸術的な造形に傾注していたことが特徴である。

オイルショック以前のアメリカは、ガソリン価格が非常に安価であったことに加え、欧州のような狭い石畳の町並みや、悪化する環境問題などが敬遠されて郊外化が加速したため、大排気量かつワイドボディの車は、アメリカ社会に適合する形態であった。このため、高級車ばかりではなく、ティーンエイジャーが乗り回す大衆車にまでフルサイズ化が及んだ。

対照的に当時の欧州では、戦災復興の遅れや国土の狭さなどが手伝い、アメリカのように野放図にボディサイズが肥大化することはなく、バブルカーに始まり、小型車を中心に発展を続けた。また、自動車産業の揺籃期にあった日本でも、その道路事情の悪さから欧州以上に小型車の開発が進み、輸出比率の高まりとともに品質が急速に向上し、国際市場での競争力を高めつつあったが、大型乗用車が輸出されることは稀であった[5]

ソビエト連邦中華人民共和国などの共産圏での大型車は、共産党幹部用にごく少数が生産されたのみであり、アメリカのようにさまざまな車種が生まれることはなかった。

オイルショック

フルサイズカーに転機が訪れたのは1973年1978年の二度にわたるオイルショックである。ガソリン価格が高騰すると消費者の嗜好は、小型で燃費の良いドイツ車や日本車に流れ、フルサイズカーの市場は瞬く間に縮小した。存続したフルサイズカーも、燃費がほどほどで使い勝手の良いミッドサイズ(インターミディエイト)へとダウンサイジングを余儀なくされた。




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