ファイトアレキシン ファイトアレキシンの概要

ファイトアレキシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/22 02:18 UTC 版)

カプシジオールは病原菌の攻撃に応答してある種の植物が産生するファイトアレキシンである。

機能

植物によって生産されたファイトアレキシンは、侵入してきた病原に対して、細胞壁に穴を開ける、成熟を遅らせる、代謝や増殖を阻害するといった機能を持つ。

病原や病原の侵入によって障害を受けた細胞に由来する低分子を認識した植物細胞は、2通りの抵抗性反応を示す。ひとつは病原の種類によらず短い期間に起こる反応であり、もうひとつはやや遅れて始まりより長期に渡って起こる、病原の種類に特異的な反応である。

早い応答として、超酸化物過酸化水素等の活性酸素を生産したり、感染された細胞周辺でアポトーシスプログラム細胞死の一形態)を起こして病原の感染拡大を防ぐというものがある。

長期の応答(全身獲得抵抗性、SAR)には、ジャスモン酸エチレンアブシジン酸サリチル酸などの植物ホルモンが関与する。それらのシグナルを受容した細胞は、病原の更なる侵入を防ぐための遺伝子を誘導するが、ファイトアレキシンを合成する酵素もその一つである。しばしば、ジャスモン酸やエチレン(いずれも気体になるホルモンである)が傷ついた細胞から放出され、周辺の植物がそのシグナルを受けて同様にファイトアレキシンの合成を行う。

人に対する効果

ファイトアレキシンの中には、人の身体に良いとされ注目されているものもある。ブドウ、ブルベリー、クランベリー等のベリー類やワインに含まれ、抗がん性やアンチエイジングの効果があるとされるレスベラトロールはその一例である[1]。 一方で、逆に人体にラテックスアレルギーや一部の食品アレルギーを起こす物質も、ファイトアレキシンであることが知られている[2]

関連項目


  1. ^ Dipak K. Das, Subhendu Mukherjee and Diptarka Ray (2011). “Erratum to: resveratrol and red wine, healthy heart and longevity”. Heart Fail. Rev. 16 (4): 425–435. doi:10.1007/s10741-011-9234-6. 
  2. ^ S. Wagner and H. Breiteneder (2002). “The latex-fruit syndrome”. Biochem. Soc. Trans. 30: 935–940. PMID 12440950. 


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