全身獲得抵抗性とは? わかりやすく解説

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ぜんしんかくとく‐ていこうせい〔‐テイカウセイ〕【全身獲得抵抗性】

読み方:ぜんしんかくとくていこうせい

植物病原菌などの侵入対し感染受けた一部組織だけでなく、植物全体抵抗力を持つ性質さまざまな植物ホルモン伝達がその誘導制御に関わっていると考えられている。


全身獲得抵抗性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 02:00 UTC 版)

全身獲得抵抗性(ぜんしんかくとくていこうせい、systemic acquired resistance:SAR)とは、植物が局所的に病原体に曝された後に起こる、植物体全体の抵抗性反応である。SARは動物に見られる自然免疫に似ており、植物のSARと動物の自然免疫は進化的に保存されているとの証拠もある[1]。植物はパターン認識受容体(広範囲の微生物のもつ分子構造パターンを認識する)を用いて微生物の保存されたサインを認識しており、この認識が免疫反応の引き金となる。保存された微生物のサインに対する受容体の最初のものは、イネ(XA21, 1995)[2]シロイヌナズナ(FLS2, 2000)[3]で見出された。植物はまた、高度に異なる病原体のエフェクターに対する免疫受容体も持っている。この中にはNBS-LRRクラスのタンパク質がある。SARは植物が病害に抵抗するのにも重要だが、一度罹患した病害から回復するのにも重要である。SARは広い範囲の病原体により、特に(それだけではないが)組織の壊死を起こすものにより誘導される。そしてSARの誘導後に見られる抵抗性は広い範囲の病原体に有効であり、ゆえにSARは「広スペクトラム抵抗性」とも呼ばれる。SARに伴って広い範囲の遺伝子(いわゆる病原性関連(PR)遺伝子)の誘導が起き、SARの活性化は内因性のサリチル酸(SA)の蓄積を要する。病原体により誘導されたSAシグナルは分子シグナル伝達経路を活性化する。この経路は、シロイヌナズナのモデル遺伝系でNIM1NPR1またはSAI1と呼ばれる遺伝子(いずれも同じ遺伝子である)により同定されている。SARは双子葉類単子葉類を含め広い範囲の被子植物に見られる。SARはトウモロコシでも活性化されるが、抵抗性誘導剤として広く使用されているベンゾチアジアゾールなどは、さび病を引き起こすP. sorghi に対しては有効でないこともある[4]


  1. ^ Ausubel, FM (October 2005). “Are innate immune signaling pathways in plants and animals conserved?”. Nature immunology 6 (10): 973?9. doi:10.1038/ni1253. PMID 16177805. 
  2. ^ Song, W.Y. (1995). “A receptor kinase-like protein encoded by the rice disease resistance gene, XA21”. Science 270 (5243): 1804?1806. doi:10.1126/science.270.5243.1804. PMID 8525370. 
  3. ^ Gomez-Gomez, L. (2000). “FLS2: an LRR receptor-like kinase involved in the perception of the bacterial elicitor flagellin in Arabidopsis”. Molecular Cell 5 (6): 1003?1011. doi:10.1016/S1097-2765(00)80265-8. PMID 10911994. 
  4. ^ [1]


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