ハーシャッド数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 05:20 UTC 版)
例えば、315の約数は (1, 3, 5, 7, 9, 15, 21, 35, 45, 63, 105, 315) であって、各位の和は 3 + 1 + 5 = 9 である。9は315の約数なので、315はハーシャッド数である。
ハーシャッド数はインドの数学者 D. R. カプレカル(英語表記: D. R. Kaprekar、カプレカー数の考案者でもある)によって定義され、サンスクリット語の harṣa (喜び)と da (与える)が語源である。イヴァン・ニーベンの名を冠し、ニーベン数(Niven number)とも呼ばれる。
ハーシャッド数は無数に存在し、そのうち最小の数は1である。十進法でのハーシャッド数を1から小さい順に列記すると
- 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 12, 18, 20, 21, 24, 27, 30, 36, 40, 42, 45, 48, 50, 54, 60, 63, 70, 72, 80, 81, 84, 90, 100, …(オンライン整数列大辞典の数列 A005349)
定義
自然数 X を n 進法で m 桁の数とする。右端から k 桁目の数字を ak (k = 1, 2, 3, …, m) とすると、
である。
を満たす自然数 A が存在するとき、X は n 進法でのハーシャッド数である。
性質
n 進法の場合、1 から n までの数および nk(k は自然数)[1]は必ずハーシャッド数である。特に 1, 2, 4, 6 の 4 数だけは何進法においてもハーシャッド数となる。
ハーシャッド数は 1 桁の素数と 10 自体が素数である場合を除いて全て合成数である。
H. G. Grundman は1994年に、十進法では 21 個以上の連続する自然数が全てハーシャッド数になるような組はないことを証明した。また彼は 20 個の連続する自然数が全てハーシャッド数になる最小の組を見つけ、それらは 1044363342786 を超える数である。二進法では 4 つの連続する自然数が全てハーシャッド数であるような組は無数に存在し、三進法では 6 つの連続する自然数が全てハーシャッド数であるような組が無数に存在する。これらの事実は T. Cai によって1996年に証明された。一般的にそれらの数の組は n 進法で N × nk − n から N × nk + (n − 1) までの連続する 2n 個の数である。ここで N はある定数で k は比較的大きな数である。
数の間に 0 が連続して続く数を使って無数にハーシャッド数を作ることができる。例えば 21 を使うと、21, 201, 2001, 20001 などは全てハーシャッド数になる。
自然数 x 以下のハーシャッド数の個数を N(x) とおくと、どんな正の数 ε に対しても以下の式が成り立つ。
これは Jean-Marie De Koninck と Nicolas Doyon によって証明された。De Koninck、Doyon、Kátai はまた
を証明した。ただし c = 14/27 log10 = 1.1939… である。
各位の和 (ハーシャッド数の基数、数字和) が1, 3, 9となる数はすべてハーシャッド数である。特に10の累乗数はすべてハーシャッド数である。
- ^ nk は、最上位桁の 1 ひとつと 0 だけで構成されているので、必ず各位の和が 1 になる。
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