カンボジア 政治

カンボジア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/06 02:58 UTC 版)

政治

首都プノンペン王宮
カンボジア国民議会議事堂

政体

国家体制国王元首とする立憲君主制である。選挙君主制であり、ノロドム家英語版シソワット家英語版のメンバーから、王室評議会英語版が国王を選出する。王室評議会は、首相、両院の議長、両院の副議長(それぞれ2名ずつ)、上座部仏教の2つの宗派の代表(それぞれ1名ずつ)の合わせて9名からなり、秘密投票で国王を選出する。国王の地位は終身である。

1993年にカンボジア王国が成立した際、初代国王にノロドム・シハヌークが選出され、2004年10月の国王退位を受けてシハヌークの実子であるノロドム・シハモニが選出された。

行政

立法

立法府たる議会両院制を採用しており、定数125議席からなる国民議会下院)議員は直接選挙で選出され、定数61議席からなる元老院上院)議員は間接選挙と国王からの任命によって選出される。

1998年7月末に総選挙が実施され、総議席数122で投票率90.7%で、人民党64議席(41.4%)、フンシンペック党43議席(31.7%)、サム・ランシー党15議席(14.3%)、その他議席なしで得票率13.6%。人民党が第1党になったが、フンシンペック党とサム・ランシー党選挙結果に異議申し立てていたこともあり、単独で組閣することができず(総議席の3分の2以上の信任票が必要とカンボジア王国憲法第90条)連立政権が成立した。

2003年7月に総選挙が実施され、総議席123、投票率86.7%。人民党73議席(47.4%)、フンシンペック党26議席(20.8%)と大敗、サム・ランシー党24議席(21.9%)、その他なし(10.0%)。連立をめぐり紆余曲折を経て、翌年7月にようやく2党連立の新政権が発足した[18]

2013年の選挙で野党人民救国党が躍進した。

2017年に最大野党の人民救国党の党首が国家反逆罪により逮捕され、党は裁判所の命令で解党され、所属する政治家も政治活動が禁止された。翌2018年の総選挙では有力野党不在の選挙となり、与党人民党が下院全議席の125議席をとって事実上の一党独裁状態となった[19]

政党

憲法

1993年、制憲議会を創設するための選挙が行われ、総議席数120で投票率89.04%で、人民党51議席(38.2%)、フンシンペック党58議席(45.5%)、仏教自由民主党10議席(3.8%)、自由モリナカ闘争1議席(1.4%)であった。制憲議会は、1993年9月の「カンボジア王国憲法」が発効を受けて国民議会に移行した。

カンボジア王国憲法には、内政不干渉紛争の平和的解決、永世中立が明記されている。

法律

カンボジアでは、クメール・ルージュ[注釈 1] 時代にほとんどの法律家裁判官検察官弁護士)が殺害され、法律およびその資料も廃棄された。カンボジアが近代国家として再生、発展していくためには、0に近い状態から民法民事訴訟法などの基本法典を整備し、それらを運用する裁判官、弁護士などの法律家を育成することが不可欠であり、日本はこれらの法整備支援を行っている[20]

民事訴訟法は2007年7月から適用を開始しており、民法も2007年12月8日に公布され[21]、2011年12月21日から適用が開始された[22]


注釈

  1. ^ Khmer Rouge、KRと略、フランス語、元来はシアヌークが左派を一まとめにして呼んだ言葉、近年は国際社会でポル・ポト派を指す用語となっている。天川直子「誰をどう裁くのか」/上田広美・岡田知子編著『カンボジアを知るための60章』明石書店 2006年 210-213ページ

出典

  1. ^ World Bank Open Data” (英語). THE WORLD BANK. 2021年11月5日閲覧。
  2. ^ World Bank Open Data” (英語). THE WORLD BANK. 2021年11月5日閲覧。
  3. ^ World Bank Open Data” (英語). THE WORLD BANK. 2021年11月6日閲覧。
  4. ^ World Bank Open Data” (英語). THE WORLD BANK. 2021年11月6日閲覧。
  5. ^ World Bank Open Data” (英語). THE WORLD BANK. 2021年11月6日閲覧。
  6. ^ World Bank Open Data” (英語). THE WORLD BANK. 2021年11月6日閲覧。
  7. ^ World Bank Open Data” (英語). THE WORLD BANK. 2021年11月6日閲覧。
  8. ^ a b カンボジア基礎データ”. Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2022年3月5日閲覧。
  9. ^ 石澤 2013, p. 125.
  10. ^ 石澤 2013, pp. 175–176.
  11. ^ 石澤 2013, pp. 38–39.
  12. ^ 岡田知子「インドシナの枠組みの中で」/ 上田広美・岡田知子編著『カンボジアを知るための60章』明石書店 2006年 173ページ
  13. ^ カンボジアの人口は七百七十六万人『朝日新聞』1978年(昭和53年)7月18日朝刊、13版、7面
  14. ^ 上田広美・岡田知子編著『カンボジアを知るための60章』明石書店 2006年 205ページ
  15. ^ 上田広美・岡田知子編著『カンボジアを知るための60章』明石書店 2006年 207ページ
  16. ^ 大虐殺の審理始まる 2009年2月18日『しんぶん赤旗
  17. ^ キュー・サムファン大虐殺罪で訴追『しんぶん 赤旗』2009年12月19日(土曜日)版
  18. ^ ここまで上田広美・岡田知子編著『カンボジアを知るための60章』明石書店 2006年 217ページ
  19. ^ カンボジアで見たしなやかな、強権政治に対する抵抗”. 2019年3月10日閲覧。
  20. ^ 宮崎朋紀「各国法整備支援の状況-カンボジア」
  21. ^ カンボジアが新しい民法を公布 | プレスリリース(2007年) | ニュースとお知らせ - JICA
  22. ^ カンボジアで民法の適用開始 | トピックス(2011年度) | ニュースとお知らせ - JICA
  23. ^ 高橋美和「季節のリズム」/ 上田広美・岡田知子編著『カンボジアを知るための60章』明石書店 2006年 78-80ページ
  24. ^ Cambodia Clearing House Mechanism Species Database”. 2022年6月3日閲覧。
  25. ^ Reptile Database, accessed 3 March 2013
  26. ^ カンボジアの国土政策の概要”. 国土交通省国土政策局. 2020年2月4日閲覧。
  27. ^ カンボジア住所の日本式表記について”. 在カンボジア日本大使館. 2020年2月4日閲覧。
  28. ^ カンボジアのGDP World Economic Outlook Database, April 2015
  29. ^ アジア開発銀行 Poverty in Asia and the Pacific: An Update
  30. ^ 外務省 後発開発途上国
  31. ^ 天川直子「米をつくる」/ 上田広美・岡田知子編著『カンボジアを知るための60章』明石書店 2006年 344ページ
  32. ^ IMFの2014年の各国のGDPデータ
  33. ^ 「特集 法整備支援の課題」『法律時報』2010年1月号(日本評論社)
  34. ^ 特集 日本の法整備支援
  35. ^ Valerie Ooka Pang & Li-Rong Lilly Cheng. Struggling to Be Heard: The Unmet Needs of Asian Pacific American Children. SUNY Press (1998), p51. ISBN 0-7914-3839-2.
  36. ^ 「砲弾などを鐘として使わないで」 カンボジア政府、各学校に指示AFP、2018年7月30日閲覧。
  37. ^ カンボジア 危険・スポット・広域情報”. 外務省. 2022年6月3日閲覧。
  38. ^ 世界で最も腐敗している国 ワースト29 | BUSINESS INSIDER JAPAN
  39. ^ 岡田知子「ウサギの裁判官」/ 上田広美・岡田知子編著『カンボジアを知るための60章』明石書店 2006年 52ペー
  40. ^ インドの『ラーマーヤナ』のカンボジア版で「リアム」(ラーマ)王子の栄光という意味。
  41. ^ 最終話第547話「布施太子物語(モハーウェサンドー)」、釈迦前世の物語
  42. ^ カンボジア、タイ、ラオス、ミャンマーにのみ残る
  43. ^ 岡田知子「天界の喜びから農民の苦しみまで」/ 上田広美・岡田知子編著『カンボジアを知るための60章』明石書店 2006年 58ペー
  44. ^ 転倒現場で追悼式=死者347人に修正―カンボジア 朝日新聞 2010年11月25日
  45. ^ ユネスコ世界遺産センター カンボジア






カンボジアと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カンボジア」の関連用語

カンボジアのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カンボジアのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカンボジア (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS