立体異性体とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 化学 > 分子化学 > 異性体 > 立体異性体の意味・解説 

りったい‐いせいたい【立体異性体】


立体異性体

英訳・(英)同義/類義語:stereoisomer

有機化学で、光学異性体幾何異性体のように、同一分子式を持つ分子で、特に炭素原子中心に結合組み合わせ変えることで異な立体構造をとる組み合わせのこと。

立体異性体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/14 01:35 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

立体異性体(りったいいせいたい、stereoisomer)は異性体の一種であり、同じ構造異性体同士で、3次元空間内ではどう移動しても重ね合わせることができない分子をいう。立体異性が生じる原因には立体配置の違いと立体配座の違いがある。

構造異性体同士の化学的性質が大きく異なることは珍しくないが、立体異性体同士の化学的性質はよく似ていながらもわずかに異なるので、立体異性体の性質を研究する立体化学は化学において重要である。

異性体特に立体異性体が重要になる化合物は、多数の原子の共有結合でできた分子からなる化合物(ほとんどの有機化合物がそうである)および複数種類の配位子を持つ錯体である。

分類

立体配置による異性体

立体異性体の種類を表す言葉には歴史的変遷があったが現在の化学における考え方は以下のようなものである[1][2][3][4][5]

有機分子の異性体の分類

ある分子Rを鏡に映した構造の分子Sが、3次元空間内ではどう移動しても元の分子Rにぴったりとは重ならないとき、分子Rと分子Sは互いにエナンチオマー(対掌体)である。同じ立体異性体同士でエナンチオマー以外の立体異性体をジアステレオマーと呼ぶこともある。

立体配座による異性体

液相気相では、単結合周りの回転は通常は自由であり、多数の異なる形態(立体配座)を取り得る。従ってこれらの立体配座のいずれかが一致する分子は同じ立体異性体である。しかし、大きな立体障害などの原因で単結合周りの回転障壁が大きくなると、異なる立体配座を持つ分子同士を分離することができるようになる。こうして分離された分子同士は、互いに配座異性体(atropisomer /conformer)または回転異性体(rotamer /rotational isomer)であるという。典型的な例はオルト置換ビフェニル誘導体である。

一般的ではないが、二重結合のシス-トランス異性体は非常に回転障壁の高い配座異性体であるという見方もある[6]

用語上の注意

光学異性体という言葉はエナンチオマーの同義語として使われることも[2][3][5]、エナンチオマーとジアステレオマーを合わせた分類として使われることもあった[7][8]。IUPACではその使用は推奨されず、エナンチオマーとジアステレオマーを使うことが推奨されている[1]。旋光性を示す化合物を表すには、光学活性化合物という言葉がある。

有機分子における幾何異性体という言葉は、広義にはシス-トランス異性体の同義語である。狭義には二重結合のシス-トランス異性体のみを指し、飽和環状化合物のシス-トランス異性体を含めない。また錯体においては、中心金属原子周りの立体配置による全ての異性体を指す。

高校の化学では光学異性体はエナンチオマーの同義語としての定義があるがジアステレオマーは発展事項ということもあり詳しく触れられてはいない。また幾何異性体は二重結合のシス-トランス異性体異性体としての定義があり、シクロ化合物のシス-トランス異性体としての定義を記載している参考書も見受けられる。

参考文献

  1. ^ a b Basic Terminology of Stereochemistry(IUPAC Recommendations 1996) 外部リンク参照
  2. ^ a b 日本化学会(編)『標準-化学用語辞典-第2版』丸善(2005/03)、初版(1991/03)
  3. ^ a b 大木道則;田中元治;大沢利昭;千原秀昭(編)『化学大辞典』東京化学同人(1989/10)
  4. ^ J. John McMurry 『マクマリー有機化学〈上〉』第5版 東京化学同人(2001/03) 9.立体化学
  5. ^ a b K.Peter C. Vollhardt; Neil E. Schore 『ボルハルト・ショアー現代有機化学〈上〉』第4版 化学同人(2004/03) 5.立体異性体
  6. ^ 大木道則『立体化学-第4版』東京化学同人(2002/02),初版(1961/03) 162頁
  7. ^ 長倉三郎、他(編)『岩波理化学辞典-第5版』(1998/02)
  8. ^ 化学大辞典編集委員会(編)『化学大辞典-第3版』共立(2001/09)、初版(1960/09)

外部リンク

IUPAC(Basic Terminology of Stereochemistry)


立体異性体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/05 01:19 UTC 版)

立体化学」の記事における「立体異性体」の解説

立体異性体とは、分子式および構成原子つながり方までは等しいものの、原子同士空間的な配置異なるもの同士をいう。その結合様式違いから、幾何異性体ジアステレオマーおよびエナンチオマー光学異性体)に分類される不斉源がn個ある場合、その化合物異性体は2n個でき、そこから2つ選択したときの各々の関係は、ジアステレオマーエナンチオマー、あるいはメソ体の関係になる。光学異性体2次元平面上で表すには投影式用い光学異性体同士RSDLなどの命名法使って表記する

※この「立体異性体」の解説は、「立体化学」の解説の一部です。
「立体異性体」を含む「立体化学」の記事については、「立体化学」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「立体異性体」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



立体異性体と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「立体異性体」の関連用語

1
ジアステレオマー デジタル大辞泉
100% |||||


3
幾何異性体 デジタル大辞泉
100% |||||

4
異性体 デジタル大辞泉
100% |||||

5
鏡像異性体 デジタル大辞泉
100% |||||




9
イノシトール デジタル大辞泉
78% |||||

10
光学異性体 デジタル大辞泉
78% |||||

立体異性体のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



立体異性体のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
JabionJabion
Copyright (C) 2025 NII,NIG,TUS. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの立体異性体 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの立体化学 (改訂履歴)、菊酸 (改訂履歴)、異性体 (改訂履歴)、シペナミン (改訂履歴)、ガロカテコール (改訂履歴)、シンチン (改訂履歴)、イノシトール (改訂履歴)、2-ブタノール (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS