インターバンドトランジション
ブラッグ反射を動力学理論で扱うと、ブラッグ反射近傍で許される波数を与える分散面(等エネルギー面)が作られる。一つの反射ごとに二枚の分散面が作られ、試料結晶への電子線の入射方向が決まると、ブラッグ条件からの外れの量および試料表面に垂直な方向とから分散面上での許される点が決まり、結晶の中で許される波の波数とその振幅が決まる。結晶が完全であればこれらは不変である。もし結晶に欠陥たとえば積層欠陥があると、分散面上での振幅が変化する。異なる分散面への波の移動を(バンド間遷移)という。同じ分散面への波の移動をイントラバンドトランジション(バンド内遷移)という。以上は弾性散乱の場合であるが,非弾性散乱の場合を考えると、熱散漫散乱による小角の散乱ではが起きる。プラズモン散乱ではイントラバンドトランジションである。内殻励起の場合は励起を起こす作用が小さい場合は(通常小さい)イントラバンドトランジションである。イントラバンドトランジションのときは弾性散乱で像に見られたコントラストが保たれるが、二つの面に付随するブロッホ波の対称性は異なるので、ではコントラストは失われる。(この用語は固体物理で使うバンド間遷移とは異なるものである。固体物理のバンド間遷移ではエネルギーが変わるが、電子回折の動力学理論のバンド間遷移ではエネルギーは変わらない。)
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バンド間遷移
価電子帯と伝導帯の間を結晶中の電子が遷移する現象。EELSでは、を反映するスペクトルの立ち上がりからバンドギャップエネルギーが分かる。
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- 選択則
- 電子エネルギー損失分光
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