X線源としての褐色矮星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 19:13 UTC 版)
1999年以降の褐色矮星でのX線フレアの検出は、非常に低質量の恒星と同じく褐色矮星の中でも磁場の変化が発生していることを示唆している。 中心部の強い原子核エネルギー源が存在しないため、褐色矮星の内部は急速な沸騰状態、もしくは対流状態にある。大部分の褐色矮星が示す高速な自転状態と対流とが合わさることにより、表面付近において強力で絡み合った磁場が発達するための条件が整う。チャンドラX線観測衛星によって LP 944-20 で観測されたフレアは、褐色矮星の表面直下にある乱流状態の磁化した高温の物質に起因する可能性がある。表面下でのフレアは大気に熱を伝え、雷のようにX線フレアを発生させうる。フレアを起こしていない期間には LP 944-20 からのX線が観測されなかったことも重要な結果である。この結果は褐色矮星で生成される定常的なX線の強度に対して観測的な下限値を与え、褐色矮星の表面温度が 2800 K 未満にまで冷えて電気的に中性になるとコロナが消失することを示した。 NASA のチャンドラを用いた観測で、科学者らは多重星系 TWA 5 にある低質量の褐色矮星からのX線を検出した。これは主星に近い位置にある褐色矮星がX線で分解された初めての例である。中央大学の坪井陽子は「私たちのチャンドラのデータは、このX線は褐色矮星の約300万度のコロナプラズマに起因することを示している」と述べている。また、坪井は「この褐色矮星はX線では現在の太陽と同程度に明るいが、太陽の50分の1の質量を持つ」とし、この観測は、重い惑星でさえも若いうちはX線を放射する可能性があることを示すものだと述べている。
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