SU(N)ヤン=ミルズ理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/15 07:17 UTC 版)
「ベータ関数 (物理学)」の記事における「SU(N)ヤン=ミルズ理論」の解説
より一般化したゲージ理論としてSU(N)ヤン=ミルズ理論のベータ関数が計算されている。このとき、QCDはN=3の場合として扱われる。 最低次(1ループ)の結果は1973年にデイビッド・グロスとフランク・ウィルチェック及び、H. デビッド・ポリツァーによって導出された。3人は、この功績(漸近的自由性の発見)により2004年のノーベル物理学賞を受賞した。また、同時期にヘーラルト・トホーフトも同じ結果を導出していたが、これは論文として出版されていない。 高次項については1974年に2ループ、1980年に3ループ、1997年に4ループの計算が為されている。 3ループまでのベータ関数の計算結果を以下に示す。ただし、繰り込み点μ2における結合定数α(μ2)についてのベータ関数βと各項の係数β0,β1,β2は β ( α ) = μ 2 ∂ ∂ μ 2 α ( μ 2 ) 4 π = − [ β 0 ( α 4 π ) 2 + β 1 ( α 4 π ) 3 + β 2 ( α 4 π ) 4 + ⋯ ] {\displaystyle \beta (\alpha )=\mu ^{2}{\frac {\partial }{\partial \mu ^{2}}}{\frac {\alpha (\mu ^{2})}{4\pi }}=-\left[\beta _{0}\left({\frac {\alpha }{4\pi }}\right)^{2}+\beta _{1}\left({\frac {\alpha }{4\pi }}\right)^{3}+\beta _{2}\left({\frac {\alpha }{4\pi }}\right)^{4}+\cdots \right]} と定義する。3ループ以降の計算結果は繰り込み条件に依存するが、以下ではMSスキームによる結果を示す。 β 0 = 11 3 C A − 4 3 T F n f {\displaystyle \beta _{0}={\frac {11}{3}}C_{A}-{\frac {4}{3}}T_{F}n_{f}} β 1 = 34 3 C A 2 − 20 3 C A T F n f − 4 C F T F n f {\displaystyle \beta _{1}={\frac {34}{3}}C_{A}^{2}-{\frac {20}{3}}C_{A}T_{F}n_{f}-4C_{F}T_{F}n_{f}} β 2 = 2857 54 C A 3 − 1415 27 C A 2 T F n f + 158 27 C A T F 2 n f 2 + 44 9 C F T F 2 n f 2 − 205 9 C F C A T F n f + 2 C F 2 T F n f {\displaystyle \beta _{2}={\frac {2857}{54}}C_{A}^{3}-{\frac {1415}{27}}C_{A}^{2}T_{F}n_{f}+{\frac {158}{27}}C_{A}T_{F}^{2}n_{f}^{2}+{\frac {44}{9}}C_{F}T_{F}^{2}n_{f}^{2}-{\frac {205}{9}}C_{F}C_{A}T_{F}n_{f}+2C_{F}^{2}T_{F}n_{f}} ここで、 T F {\displaystyle T_{F}} はフェルミオンの表現における生成子の規格化定数、 C F , C A {\displaystyle C_{F},C_{A}} はそれぞれフェルミオンとゲージ場の表現におけるカシミア演算子であり、nfはフェルミオンのフレーバー数である。 基本表現として変換するフェルミオンを考えると T F = 1 2 , C F = N 2 − 1 2 N {\displaystyle T_{F}={\frac {1}{2}},C_{F}={\frac {N^{2}-1}{2N}}} である。ゲージ場は随伴表現として変換するので C A = N {\displaystyle C_{A}=N} である。
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