SIの再定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 07:54 UTC 版)
「SI基本単位の再定義 (2019年)」も参照 統一原子質量単位、あるいは原子質量定数 mu は電子の相対原子質量の定義式を変形すれば u = m u = m e A r ( e ) = 2 h c R ∞ α 2 c 2 A r ( e ) {\displaystyle {\text{u}}=m_{\text{u}}={\frac {m_{\text{e}}}{A_{\text{r}}({\text{e}})}}={\frac {2hcR_{\infty }}{\alpha ^{2}c^{2}A_{\text{r}}({\text{e}})}}} である。原子質量定数 mu とアボガドロ定数 NA との積 Mu = NA mu はモル質量定数と呼ばれる。これを用いれば M u = 2 N A h c R ∞ α 2 A r ( e ) {\displaystyle M_{\text{u}}={\frac {2N_{\text{A}}h}{c}}{\frac {R_{\infty }}{\alpha ^{2}A_{\text{r}}({\text{e}})}}} となる。 プランク定数とアボガドロ定数がSIを定義する定義定数として位置付けられるまでは、モル質量定数はSI単位モルの定義に基づいて正確に Mu = 1 g/mol であった。上で述べたように、リュードベリ定数 R∞ と微細構造定数 α、および電子の相対原子質量 Ar(e) は精度良く測定されており、プランク定数とアボガドロ定数の値はこれら3つの物理定数の精度に劣っていたため、両者の積であるモルプランク定数 NAh の値はこれら3つの物理定数から計算される。すなわち、プランク定数とアボガドロ定数は、一方の測定から他方が導かれる関係にあった。 2011年に開催された第24回国際度量衡総会で、プランク定数の値を不確かさなく定めることでキログラムを再定義し、国際キログラム原器(IPK)を廃止する方針が決議された。IPKの廃止(キログラムの定義の変更)のためには、IPKの安定性の 5×10−8 を超える精度でプランク定数を測定できる必要があった。産業技術総合研究所は、X線結晶密度法によりアボガドロ定数を高い精度で測定し、先の関係式からプランク定数を高い精度で与え、キログラムの再定義に貢献している。 プランク定数と同時にアボガドロ定数も不確かさなく定めることでモルが再定義された。これらの積であるモルプランク定数の値にも不確かさがなくなり、逆にモル質量定数が不確かさを持つ。
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