PDWの普及率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/31 10:13 UTC 版)
当初は鳴り物入りで開発されたPDWだが、暫くの間は各国軍での普及は進んでいなかった。最も大きな原因は専用の弾薬を使用することによる補給上の問題である。拳銃弾でさえ廃止する提案が聞かれる状況でPDW用の弾薬を新たに補給体系に加える決断をする軍は少なかった。 また、既存の銃と弾薬・構造・射撃感覚がまったく異なる上に、予備パーツにも共通性がないPDWは訓練や日常での運用整備にも問題がある。さらに、わざわざPDWを導入しなくても、その任務は専用の強装弾を使用した短機関銃や拳銃弾を使用するカービン銃(ベレッタCx4など)、アサルトライフルを短縮化した(当然弾薬もアサルトライフルと共用できる)コンパクトカービンアサルトカービンのような既存の銃器で十分代行できるという事情があった。また、ボディアーマーがさらに進化してアサルトライフル弾さえも防ぐ事が余裕というほどになり近年のボディーアーマーは12.7 mm弾の対物ライフル弾すら防ぐものが登場してきている、肝心の殺傷力においてアサルトライフルに劣るPDWの存在意義が低下したこともあった。 しかし、2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降、武装警察や特殊部隊向けのインドア戦闘で効果のある銃器の必要性が高まり、採用する各国軍や法執行機関などの公的機関も増えつつある。そして当初の上記に明示された仕様とは異なる「近接戦闘で弾数が多く、取り回しのしやすい高威力の銃器」という括りで、既存のストッピングパワーの強い弾丸の規格を利用した物や、既存の弾薬を使用する既存の銃器(実質的にはアサルトカービンまたはコンパクトカービンが多い)の改造・改良型にPDWの名称のみを冠して販売、採用するケースが増えてきている。 一方で、PMC(民間軍事会社)のような軍事企業組織では、専用弾を使用する本来のPDWが、当初より積極的に使用されている。これは先の正規軍の状況とは異なり、先進国PMCの紛争地域におけるその業務のほとんどは、物資の輸送、それに伴う護衛、補給などの本来PDWが想定する業務が一般的だからである。また、PMCは状況によっては武器の調達も国の採用基準に囚われず、比較的自由が利くので、銃器メーカーのテストケースで装備される場合などもあるため、新しい武器であっても比較的装備されやすい。
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