LNT仮説のリスク係数に対する疑念の主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 16:50 UTC 版)
「低線量被曝問題」の記事における「LNT仮説のリスク係数に対する疑念の主張」の解説
2005年に発表された、世界保健機関の外部組織国際がん研究機関(IARC)のE.Cardisらによる、15か国の原子力発電所等の放射線作業者(約40万人)が受けた外部被曝の健康影響についての疫学研究では、対象となった集団(平均累積線量は19.4mSV、作業者の90%が50mSV以下の累積線量、5%未満が100mSV以上の累積線量、0.1%未満が500mSV以上の累積線量)における、白血病を除くガン死亡に対する過剰相対リスクは1Sv当たり0.97(95%信頼区間 0.14to1.97)、白血病(慢性リンパ性白血病を除く)に対する過剰相対リスクは1Sv当たり1.93(95%信頼区間 <0to8.47)と推定している。また、その推定は、累積線量100mSvの被曝がガン死亡率(白血病を除く)が9.7%(1.4-19.7%)増加することに結びつくだろうということを示唆するとしている。また、リスクの中央推計値に基づいて、このコホートの労働者のガン死亡(白血病を含む)の1-2%が放射線に起因するかもしれないと推定している。この研究について、財団法人放射線影響協会は「これらの表現を妥当とは認めず、低線量放射線による明確な健康影響が見出されたとの性急な解釈、判断は厳に慎しむべきであると考える」としている。読売新聞(2005年6月29日夕刊)は「国際基準で許容される上限(5年間で100ミリ・シーベルト)まで被ばくした場合、がんに対する死亡率が約10%増加すると推計できることがわかった」「上限まで被ばくした従事者はごく一部に過ぎず、一人あたりの累積平均被ばく線量は19ミリ・シーベルトで、こうした平均的なケースでは、がん死亡率は2%ほど増加する可能性が示された」と報道している。
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