ESCRT-III
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/30 15:41 UTC 版)
ESCRT-III複合体はESCRTが媒介する全ての過程に関与し、おそらく最も重要である。膜のabscissionとウイルスの出芽において、膜の切断の直前にESCRT-IIIは膜の狭窄部位に巻き付く長いフィラメントを形成する。膜のabscissionの媒介は、セントラルスピンドリン(英語版)複合体との相互作用によって行われる。ESCRT-IIIのフィラメント構造は多胞体の形成時にも存在し、積み荷タンパク質が細胞質へ流出するのを防ぐために出芽小胞に栓をするリング状の柵として機能する。 ESCRT-III複合体は一過的にしか存在しないという点で他のESCRT複合体をは異なっており、必須サブユニットと非必須サブユニットを含んでいる。複合体が機能するためには、必須サブユニットは適切な順序(Vps20、Snf7、Vps24、その後にVps2)で集合しなければならない。非必須サブユニットにはVps60、Did2、Ist1が含まれる。Vps20は、Snf7の多量体化の核として機能することでESCRT-IIIの組み立てを開始する。その後Vps24がSnf7に結合し、複合体のキャップとなってVps2をリクルートする。Vps2はその後Vps4を複合体へリクルートする。細胞質の遊離型の各サブユニット単量体は「閉じた」構造であると考えられている。すなわち、各サブユニットのC末端部分が自身の上に折り畳まれ、自己阻害的に単量体サブユニットを安定化している。ESCRT-IIIのサブユニットのC末端は、必須サブユニットも非必須サブユニットも、MIMモチーフを含んでいる。このモチーフはVps4やAAA-ATPアーゼ(英語版)のスパスチン(英語版)との結合を担う。
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