ESCRT-I
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/30 15:41 UTC 版)
ESCRT-I複合体の役割は、ユビキチン化されたタンパク質に密集し、ESCRT-0複合体とESCRT-II複合体のブリッジとして機能することで多胞体の形成を助けることである。またESCRT-Iは膜のabscissionの際、分裂している細胞の中央体(英語版)(midbody)の両側にリングを形成し、膜の認識とリモデリングに機能を果たす。ESCRT-Iは、細胞が分裂する直前に狭窄帯を形成するESCRT-IIIのリクルートも担う。さらに、ESCRT-Iは特定のウイルスタンパク質と相互作用してウイルスの出芽にも関与し、ウイルス放出部位に他のESCRT複合体をリクルートする。 ESCRT-I複合体は、Vps23、Vps28、Vps37、Mvb12が1:1:1:1で結合したヘテロ四量体である。組み立てられたヘテロ四量体は、Vps23、Vps37、Mvb12からなる棒状のストークに、Vps23、Vps28、Vps37のヘリックスからなる扇型のキャップが結合したような形状をしている。Vps23はユビキチンE2バリアントドメインを持っており、ユビキチン、ESCRT-0複合体、そして、ウイルスのgagタンパク質(英語版)のPTAPモチーフとの結合を担う。このユビキチンE2バリアントドメインの直後にはプロリンリッチモチーフ(GPPX3Y)が存在しており、膜のabscissionの際にESCRT-Iを中央体へ差し向ける。Mvb12もC末端を介してユビキチンに結合することができる。Vps28はESCRT-IとESCRT-II間の相互作用を担い、C末端の4ヘリックスバンドルドメインを介してESCRT-IIのVps36のGLUEドメインへ結合する。
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