Co-piとは? わかりやすく解説

COPI

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 16:21 UTC 版)

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in vitroで形成されたCOPI被覆小胞の電子顕微鏡像。膜レベルでの小胞の直径は平均して 60 nmである。

COPIは、タンパク質を輸送する小胞の被覆を行うコートマー、タンパク質複合体である[1]ゴルジ体シス面から粗面小胞体へ戻る輸送、またはゴルジ体の区画間の輸送を担う。このタイプの輸送は逆行性輸送(retrograde transport)と名付けられ、COPIIタンパク質と関連した順行性輸送(anterograde transport)と対照的である。被覆は7種類の異なるタンパク質サブユニット(α、β、β'、γ、δ、ε、ζ)からなる巨大なタンパク質サブ複合体によって構成される。

COPI
識別子
略号 COPI_C
Pfam PF06957
InterPro IPR010714
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被覆タンパク質

COPIは、膜輸送に関与するADPリボシル化因子英語版(ARF)依存的タンパク質である[2]。COPIはシスゴルジから粗面小胞体への逆行性輸送の過程で最初に同定され[3][4]、ARF依存的なアダプタータンパク質の中で最もよく研究されている。COPIは7つのサブユニットからなり、ヘテロ七量体タンパク質複合体を構成する。

アダプターとしての主要な機能は、近接した輸送体へ取り込む積み荷タンパク質を選別することである。KKXXまたはKXKXXからなる選別モチーフを含む積み荷はCOPIと相互作用し、シスゴルジから小胞体への輸送を行う輸送体を形成する[5][6][7][8][9]。現在の見解では、ARFも輸送体へ取り込まれる積み荷の選別に関与していることが示唆されている。

出芽の過程

ARFは膜輸送に関与するGTPアーゼである。哺乳類には6種類のARFが存在し、30を超えるグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)とGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)によって調節されている。ARFは、ミリスチン酸という脂肪酸の付加によってN末端が翻訳後修飾される。

ARFにはGTP型とGDP型のコンフォメーションからなるサイクルが存在する。GTP結合型では、ARFのはミリスチン酸と疎水的なN末端がより露出したコンフォメーションとなり、膜へ結合する。GTP結合状態とGDP結合状態の相互変換は、ARF-GEFとARF-GAPによって媒介される。膜では、GTP結合型ARFは、ARF-GAPによってGDP結合型へと加水分解される。GDP結合型となると、ARFは疎水性の低いコンフォメーションへ変換され、膜から解離する。可溶性のGDP結合型ARFはGEFによってGTP結合型へと再変換される。

1. 内腔のタンパク質: ゴルジ体内腔から小胞体内腔への輸送される必要があるタンパク質には、KDELからなるシグナルペプチドが含まれている[10]。この配列は膜に結合したKDEL受容体によって認識される。酵母ではERD2P、哺乳類ではKDELR英語版がこれに該当する。この受容体はその後ARF-GEFに結合し、ARF-GEFはARFへ結合する。この相互作用はARFに結合したGDPのGTPへの交換を引き起こす。この交換が行われると、ARFはシスゴルジ膜の細胞質側に結合し、ミリストイル化された両親媒性αヘリックスを膜へ挿入する[11]
2. 膜タンパク質: 小胞体に位置する膜貫通タンパク質は、その細胞質側の尾部にゴルジ体から出て小胞体へと戻るよう指示する選別シグナルを含んでいる。この選別シグナルは、典型的にはKKXXまたはKXKXXというアミノ酸配列からなる。この配列はCOPIのサブユニットであるα-COP、β'-COPと相互作用する[9][10]。アダプタータンパク質が積み荷と結合する、またアダプタータンパク質がARFと相互作用する順序は不明であるが、成熟した輸送体の形成には被覆タンパク質、積み荷、ARFのすべてが結合していることが必要である。

膜の変形と輸送体の出芽は上記の相互作用の後に起こる。その後、輸送体は供与側の膜(COPIの場合はシスゴルジ)から出芽して小胞体へ向かって移動し、そこで受容側の膜と融合して内容物が放出される。

構造

COPIトライアドの構造。膜 - 灰色、Arf1 - ピンク、γ-COP - 淡緑、β-COP - 濃緑、ζ-COP - 黄、δ-COP - オレンジ、β'-COP - 淡青、α-COP - 濃青。

小胞の表面では、COPI分子は対称的な三量体(「トライアド」)を形成する。トライアド構造は湾曲しており、Arf1分子と積み荷結合部位は膜に近接して位置する。β′-COPとα-COPサブユニットはγζβδ-COPサブ複合体の上にアーチを形成し、そのN末端ドメインにあるK(X)KXXモチーフ結合部位は膜に対して最適な位置に配置される。このように、β′-COPとα-COPはCOPIIやクラスリン小胞で以前示唆されていたような籠状や格子状の構造を形成するのではない[12]。代わりに、それらはγζβδ-COPサブ複合体を介して互いに連結されて集合体を形成する[13]。トライアドはさまざまな様式で互いに連結され、4つの異なるタイプの小胞が形成される[14]

出典

  1. ^ Coat Protein Complex I - MeSHアメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス(英語)
  2. ^ “ADP-ribosylation factor is a subunit of the coat of Golgi-derived COP-coated vesicles: a novel role for a GTP-binding protein.”. Cell 67 (2): 239–53. (1991). doi:10.1016/0092-8674(91)90176-Y. PMID 1680566. 
  3. ^ “Coat proteins and vesicle budding”. Science 271 (5255): 1526–1533. (1996). doi:10.1126/science.271.5255.1526. PMID 8599108. 
  4. ^ “Coatomer (COPI)-coated vesicles: role in intracellular transport and protein sorting.”. Curr Opin Cell Biol 9 (4): 484–7. (1997). doi:10.1016/S0955-0674(97)80023-3. PMID 9261053. 
  5. ^ “Coatomer is essential for retrieval of dilysine-tagged proteins to the endoplasmic reticulum.”. Cell 79 (7): 1199–207. (1994). doi:10.1016/0092-8674(94)90011-6. PMID 8001155. 
  6. ^ “A major transmembrane protein of Golgi-derived COPI-coated vesicles involved in coatomer binding”. J Cell Biol 135 (5): 1239–48. (1996). doi:10.1083/jcb.135.5.1239. PMC: 2121093. PMID 8947548. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2121093/. 
  7. ^ “Sorting by COP I-coated vesicles under interphase and mitotic conditions”. J Cell Biol 134 (6): 1411–25. (1996). doi:10.1083/jcb.134.6.1411. PMC: 2120996. PMID 8830771. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2120996/. 
  8. ^ “Bidirectional transport by distinct populations of COPI-coated vesicles”. Cell 90 (2): 335–49. (1997). doi:10.1016/S0092-8674(00)80341-4. PMID 9244307. 
  9. ^ a b Ma, Wenfu; Goldberg, Jonathan (2013-04-03). “Rules for the recognition of dilysine retrieval motifs by coatomer”. The EMBO Journal 32 (7): 926–937. doi:10.1038/emboj.2013.41. ISSN 1460-2075. PMC: 3616288. PMID 23481256. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3616288/. 
  10. ^ a b Mariano Stornaiuolo; Lavinia V. Lotti; Nica Borgese; Maria-Rosaria Torrisi; Giovanna Mottola; Gianluca Martire; Stefano Bonatti (March 2003). “KDEL and KKXX Retrieval Signals Appended to the Same Reporter Protein Determine Different Trafficking between Endoplasmic Reticulum, Intermediate Compartment, and Golgi Complex”. Molecular Biology of the Cell 14 (3): 889–902. doi:10.1091/mbc.E02-08-0468. PMC: 151567. PMID 12631711. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC151567/. 
  11. ^ Goldberg, J. (1998-10-16). “Structural basis for activation of ARF GTPase: mechanisms of guanine nucleotide exchange and GTP-myristoyl switching”. Cell 95 (2): 237–248. doi:10.1016/s0092-8674(00)81754-7. ISSN 0092-8674. PMID 9790530. 
  12. ^ Lee, Changwook; Goldberg, Jonathan (2010-07-09). “Structure of coatomer cage proteins and the relationship among COPI, COPII, and clathrin vesicle coats”. Cell 142 (1): 123–132. doi:10.1016/j.cell.2010.05.030. ISSN 1097-4172. PMC: 2943847. PMID 20579721. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2943847/. 
  13. ^ Dodonova, S. O.; Diestelkoetter-Bachert, P.; von Appen, A.; Hagen, W. J. H.; Beck, R.; Beck, M.; Wieland, F.; Briggs, J. a. G. (2015-07-10). “VESICULAR TRANSPORT. A structure of the COPI coat and the role of coat proteins in membrane vesicle assembly”. Science 349 (6244): 195–198. doi:10.1126/science.aab1121. ISSN 1095-9203. PMID 26160949. 
  14. ^ Faini, Marco; Prinz, Simone; Beck, Rainer; Schorb, Martin; Riches, James D.; Bacia, Kirsten; Brügger, Britta; Wieland, Felix T. et al. (2012-06-15). “The structures of COPI-coated vesicles reveal alternate coatomer conformations and interactions”. Science 336 (6087): 1451–1454. doi:10.1126/science.1221443. ISSN 1095-9203. PMID 22628556. 

関連項目


COP I

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 03:52 UTC 版)

コートマー」の記事における「COP I」の解説

詳細は「COPI」を参照 COPIは7つ異なタンパク質サブユニットから構成され、これらのサブユニット2つサブ複合体構成する1つ目のサブ複合体はα-COP酵母ではRet1)、β’-COP(Sec27)、ε-COP(Sec28)からなり2つ目のサブ複合体はβ-COP(Sec26)、γ-COP(Sec21)、δ-COP(Ret2)、ζ-COP(Ret3)からなる。 COPIは、ゴルジ体から小胞体タンパク質輸送する小胞を覆うコートマーである。この経路逆行性輸送retrograde transport)と呼ばれている。COPIタンパク質ゴルジ体膜の小胞を覆うことができるようになるためには、ARF1(英語版)と呼ばれる低分子量GTPアーゼとの相互作用が必要である。GDP結合したARF1はゴルジ体膜と相互作用する。次にゴルジ体膜のグアニンヌクレオチド交換因子GEF)がARF1に結合したGDPGTP交換する。これによってARF1は活性化され両親媒性αヘリックスゴルジ体脂質二重層挿入できるうになる続いて、ARF1はβ-COP、γ-COPとの相互作用によってCOPIをゴルジ体膜へリクルートする。小胞がCOPIで覆われると、小胞体への移行開始される小胞小胞体膜へ融合できるようになるためには、小胞囲う被覆解離しなければならない。ARFGAP1(英語版)は、ARF1のGTPアーゼ活性活性化することでARF1の不活性化を担う。ARF1がGDP結合型コンフォメーションへと切り替わると、COPI被覆不安定化される。 COPIタンパク質は、タンパク質の選別シグナル相互作用することで適切な積み荷認識する。最も一般的選別シグナルとしては、KKXXやKDEL(英語版)などのアミノ酸配列がある。KKXXシグナル小胞体膜貫通タンパク質関係しており、KDELシグナル小胞体内腔タンパク質関係している。COPI被覆小胞にはp24(英語版タンパク質含まれており、積み荷選別助けている。

※この「COP I」の解説は、「コートマー」の解説の一部です。
「COP I」を含む「コートマー」の記事については、「コートマー」の概要を参照ください。

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