低分子量GTPアーゼ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/06 19:20 UTC 版)
低分子量GTPアーゼ(ていぶんしりょうジーティーピーアーゼ)または低分子GTP結合タンパク質は、一群のGTP結合タンパク質で、低分子量(20-25 kDa)のものをいう。グアノシン三リン酸(GTP)を結合し、加水分解してGDP(グアノシン二リン酸)とし、さらにそのGDPをGTPに交換することで、細胞内シグナル伝達のスイッチ機能を果たす。代表的なものとしてがん遺伝子ras(ラス)の産物があり、いずれもこれとの配列類似性が高いので、Rasスーパーファミリーとも呼ぶ。
シグナル伝達
低分子Gタンパク質と呼ぶこともあるが、狭義のGタンパク質(3量体型Gタンパク質)とは構造および機能に関して部分的に類似するものの、異なる点も多い。GDP/GTP交換タンパク質(GEF)およびGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)の調節を受けながら、GTPとGDPを結合した状態がそれぞれオン/オフに相当する分子スイッチとして機能している。低分子GTPアーゼは細胞内の様々な機能、すなわち細胞の増殖・分化・運動、脂質小胞の輸送などの調節に関与する。
Rasスーパーファミリー
Rasスーパーファミリーは100種類以上が知られている。系統樹から5つのサブファミリー、Ras、Rho、Rab、Arf、Ranに分けられる。それぞれに特徴的な機能を果たすことが知られている。
- Rasファミリー:チロシンキナーゼ型受容体からのシグナル伝達経路にあり、細胞増殖調節に関与する。Ras, Rapについて特に詳しく解析されているが、最近はRhebの研究も盛んである。
- Rhoファミリー:細胞骨格の制御に関与する。RhoA、Rac1、Cdc42が特に詳しく解析されている。
- Rabファミリー:小胞輸送に関与する。
- Arfファミリー:小胞輸送に関与する。
- (以上のものは脂質修飾[プレニル化]を受けて膜に局在する)
- Ranファミリー:核と細胞質の間の輸送に関与する。
脚注
外部リンク
低分子量GTPアーゼ
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「Gタンパク質」の記事における「低分子量GTPアーゼ」の解説
詳細は「低分子量GTPアーゼ」を参照 低分子量GTPアーゼは比較的小さく(20 kDaから25 kDa)、同様にGTPとGDPを結合し、シグナル伝達に関与している。これらのタンパク質はヘテロ三量体Gタンパク質のαサブユニットと相同であるが、単量体として存在する。このファミリーのタンパク質はRasタンパク質と相同であるため、RasスーパーファミリーGTPアーゼとも呼ばれる。
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