Card and Krueger (1994) の例
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「差分の差分法」の記事における「Card and Krueger (1994) の例」の解説
差分の差分法による研究の最も有名なものの内の一つを考えよう。デビッド・カード(David Card)とアラン・クルーガー(Alan Krueger)によって1994年に出版された、ニュージャージーにおける最低賃金についての論文である。カードとクルーガーは1992年2月と11月のニュージャージーとペンシルベニアにおけるファストフード産業における雇用を比較した。これはニュージャージーの最低賃金が4.25ドルから5.05ドルに1992年4月に上がった後である。処置の前後でのニュージャージーのみの雇用の変化を観測すると、天候やマクロ経済学的要因などの除外変数をコントロールし損なう。ペンシルベニアを差分の差分法におけるコントロールとして含めると、ニュージャージーとペンシルベニアで共通の変数からもたらされるあらゆるバイアスが、たとえそれらの変数が観測できないとしても、コントロールされる。ニュージャージーとペンシルベニアは時間を通じて並行なトレンドを持つと仮定すると、ペンシルベニアでの雇用の変化は最低賃金の上昇がなかった場合のニュージャージーで起こるはずだった雇用の変化として考えることが出来るし、逆もしかりである。実証証拠が示唆することには、ニュージャージーにおける最低賃金の上昇は、標準的な経済理論が示唆するような、失業の増加はもたらさなかった。下の表はカードとクルーガーが推定した雇用の(フルタイム当量 英: full-time equivalentで測った)処置効果を図示している。この発見が仮想的な効果であることを念頭におけば、カードとクルーガーはニュージャージーにおける0.80ドルの最低賃金の上昇が2.75の雇用におけるフルタイム当量の増加をもたらしていると推定した。 ニュージャージーペンシルバニア差分2月 20.44 23.33 -2.89 11月 21.03 21.17 -0.14 変化 0.59 -2.16 2.75
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