C, P, およびT対称性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 14:42 UTC 版)
「対称性 (物理学)」の記事における「C, P, およびT対称性」の解説
素粒子物理学の標準模型は、3つの関連した自然の近似的な対称性を持つ。これらの対称性により、われわれの住む実際の宇宙は次のようなものと区別することができない。 すべての粒子がその反粒子と置き換えられた宇宙。これはC対称性(チャージ対称性)である。 すべての粒子が鏡に映したように表れる宇宙。P対称性(パリティ対称性)である。 時間の向き(en:entropy (arrow of time))が反転した宇宙。これはT対称性(時間対称性)である。 T対称性は直観と反する(確かに未来と過去は非対称的である)が、標準模型はエントロピーのような大局的性質ではなく局所的性質を記述するという事実によって説明される。時間の向きを適切に反転させるには、ビッグバンそして結果として起こる低エントロピー状態を「未来」に置く必要がある。われわれは「過去」(「未来」)を現在より低い(高い)エントロピーとして知覚するので(en:Entropy (arrow of time)を参照)、この仮説上の時間反転宇宙の住人はわれわれが過去として知覚するものと同じものを未来として知覚するだろう。 これらの対称性は近似的な対称性である。なぜなら、それらは現在の宇宙で破れているためである。しかしながら、標準模型はCPTの三つの組み合わせ(三つの変換を同時に適用した結果)は対称でなければならないと予測している。すなわちCPT対称性が成立すると考えられている。CP対称性の破れ(CおよびP対称性の破れの組み合わせ)は、宇宙にバリオン物質が多く存在するために不可欠であり、ひいては生命の存在の要件となっている[要出典]。CP対称性の破れの研究は、現在の素粒子物理学において実りの多い分野となっている。
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