A節:投資者保護の向上
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 09:00 UTC 版)
「ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法」の記事における「A節:投資者保護の向上」の解説
A節には次のような規定が含まれる。 SECにおける規制の虜を予防し、投資者の影響を増大させるため、この法律は、投資者代弁局、投資者諮問委員会(任期4年の12名から22名の委員から構成される。)、および投資者代弁局によって選任されるオンブズマン を創設した。なお、投資者諮問委員会は実際には2009年に創設されており、したがって、この法律の可決よりも先行しているが、この法律によって特に認められたものである。 SECは、リテール投資者による投資商品・サービスの購入時点における「販売時点開示」(point-of-sale disclosure)規則を発することを特別に授権され、これにより費用やリスク、利益相反などについての簡潔な情報が開示されることとされている。この授権は、SECが2004年と2005年に販売時点開示規則案を実施できなかったことを踏まえたものである。これらの規則案が反発を受けたのは、ブローカー=ディーラーの負担を重くするものと考えられたためであった。例えば、電話での取引については口頭での開示 が求められ、安価なウェブまたは電子メールによる開示は認められず、また、顧客はその投資額を基礎とする開示を求めることが許容されたのであった。開示規 則を決定するに際しては、この法律は、SECが「投資者試験」(investor testing)を行い、リテール投資者の金融リテラシーの研究の専門家に依拠することを認めている。 A節は、SECに対して、ブローカー=ディーラーの顧客に対する「信認義務」を定める規則を制定する権限を与えている。この法律が直ちにかかる義務を創設するものではないが、この法律は、SECに対してかかる基準の制定を授権するとともに、SECが、ブローカーやディーラー、投資助言業者などの顧客に対する注意義務の基準を研究し、6ヶ月以内にその結果を議会に報告することを求めている。この法律の下では、販売委託報酬を受領することや取扱商品の幅に限りがあることは当該義務違反とはならず、また、ブローカー=ディーラーに対して投資助言を行った後の継続的な注意義務が求められるものでもない。
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