50au問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 04:45 UTC 版)
「エッジワース・カイパーベルト」の記事における「50au問題」の解説
海王星との 2:1 共鳴の位置 (トゥーティノ族が分布する軌道長半径) である 47.8 au 以遠では天体がほとんど分布しておらず、カイパーベルトの分布の縁になっているように見える。これがカイパーベルトの実際の外縁に相当するのか、あるいは広い空隙の始まりであるのかははっきりとは分かっていない。およそ 55 au の、古典的なカイパーベルトよりずっと外側の 2:5 共鳴の位置に天体が発見されている。これらの共鳴の間の古典的な軌道に多数の天体が存在するという予測は、観測では検証されていない。 天王星と海王星を形成するのに必要な初期質量の推定、および冥王星と同程度の天体を形成するのに必要な初期質量の推定に基づき、カイパーベルトの初期のモデルでは 50 au 以遠では大きな天体の数は2倍程度に増えることが示唆されていた。そのため、50au問題(英語圏ではKuiper cliffとも)として知られる天体個数の急激な減少は予想されていなかったものであり、この原因は今のところ不明である。2003年に Bernstein らによって、50 au 以遠での直径 100 km 以上の天体の急激な減少は観測バイアスではなく実際の分布であるという証拠が発見された。考えられる可能性としては、その距離にある物質は非常に少ないか、あるいは散乱されすぎたせいで大きな天体として集積していない、またはその後の進化過程でこの領域から取り除かれたか破壊されたというシナリオがある。神戸大学のパトリック・リカフィカは、未発見の大きな惑星、おそらくは地球か火星サイズの天体が、その原因となっている可能性があると主張した。
※この「50au問題」の解説は、「エッジワース・カイパーベルト」の解説の一部です。
「50au問題」を含む「エッジワース・カイパーベルト」の記事については、「エッジワース・カイパーベルト」の概要を参照ください。
- 50au問題のページへのリンク