2019年のAIによる補筆
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「交響曲第10番 (ベートーヴェン)」の記事における「2019年のAIによる補筆」の解説
2019年、オーストリアのザルツブルクに本拠を置くカラヤン研究所の所長であるマティアス・レーダー (Matthias Roeder) をリーダーとする音楽学者とプログラマーによるチームが「Beethoven X: The AI Project」としてAIを使った補筆を試みた。ドイツテレコムが支援を行った。オーストリアの作曲家ヴァルター・ヴェルツォヴァ(英語版)とラトガーズ大学のAI専門家であるアハメド・エルガマル (Ahmed Elgammal) 教授も参加した。AIは交響曲5番の主題の展開がどのように行われていったかなど学習した。2019年11月に最初のピアノ・サンプルが公開され、ジャーナリスト・音楽学者・ベートーベンの専門家の前で演奏されたが、彼らはどの部分がベートーヴェンのオリジナルで、どの部分がAlによる創作なのかを聞き分けることが出来なかった。弦楽四重奏バージョンでも同様の結果であった。最初の完成品は繰り返しを多用した単調な仕上がりであったが、2度目の作品は完成度が増したという。クーバーは完成した楽曲の一部を聴いたうえで、「到底ベートーベンの作品とは思えない―(AIによる作曲は)ベートーベンの意図を歪める危険性がある」として懸念を表明したが、この試みを評価する声もあった。 ベートーヴェンの生誕地であるボンで、2020年4月28日に生誕250年祝賀行事の目玉としてフルオーケストラで演奏される予定だったが、新型コロナウイルス感染症の流行により行事は延期された。2021年10月9日、ボンで開催されたベートーヴェン音楽祭で一般向けの演奏が行われた。第3・第4楽章がCDリリースされている。 このチームはマーラーやバッハの未完成曲についても同様の作業を試みている。シューベルトの未完成交響曲についても同様の試みを行ったが、完成した曲はシューベルトの曲というよりアメリカの映画音楽に似ているという感想も寄せられた。
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