2状態の粒子とは? わかりやすく解説

2状態(スピン-1/2)の粒子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 08:47 UTC 版)

キュリーの法則」の記事における「2状態(スピン-1/2)の粒子」の解説

計算簡単にするために、2状態の粒子を考える。2状態とは、粒子の磁気モーメント磁場に対して平行(平行で向きも同じ)と反平行(平行だが向きは逆)のどちらかをとることができるということ意味する。よって磁気モーメント許される値は μ {\displaystyle \mu } または − μ {\displaystyle -\mu } である。この模型イジング模型とよぶ。この場合、各粒子E 0 = − μ B {\displaystyle E_{0}=-\mu B} か E 1 = μ B {\displaystyle E_{1}=\mu B} のどちらかエネルギーをもつことができる。 次に粒子磁場方向に向くときの向きやすさを考える。この向きやすさを磁化 μ {\displaystyle \mu } の期待値考える。 ⟨ μ ⟩ = μ P ( μ ) + ( − μ ) P ( − μ ) = 1 Z ( μ e μ B β − μ e − μ B β ) = 2 μ Z sinh ⁡ ( μ B β ) , {\displaystyle \left\langle \mu \right\rangle =\mu P\left(\mu \right)+(-\mu )P\left(-\mu \right)={1 \over Z}\left(\mu e^{\mu B\beta }-\mu e^{-\mu B\beta }\right)={2\mu \over Z}\sinh(\mu B\beta ),} ここで粒子配向確率はそのボルツマン因子によって与えられており、更に確率分配関数 Z {\displaystyle Z} で割ることによって正規化されている(よって全確率の和は1である)。 一粒子の分配関数は以下で与えられる。 Z = ∑ n = 0 , 1 eE n β = e μ B β + e − μ B β = 2 cosh ⁡ ( μ B β ) {\displaystyle Z=\sum _{n=0,1}e^{-E_{n}\beta }=e^{\mu B\beta }+e^{-\mu B\beta }=2\cosh \left(\mu B\beta \right)} 以上より、この単純な場合には次式の一粒子当たりの磁化期待値を得る。 ⟨ μ ⟩ = μ tanh ⁡ ( μ B β ) {\displaystyle \left\langle \mu \right\rangle =\mu \tanh \left(\mu B\beta \right)} さらに、固体磁化総量次の式で与えられるM = N ⟨ μ ⟩ = N μ tanh ⁡ ( μ B k T ) {\displaystyle M=N\left\langle \mu \right\rangle =N\mu \tanh \left({\frac {\mu B}{kT}}\right)} 上記の公式はランジュバン常磁性方程式 (Langevin paramagnetic equation) などと呼ばれるピエール・キュリー実験において、比較高温場合や低磁場場合におけるこの法則近似式発見した。 このランジュバン求めた磁化が、 T {\displaystyle T} が大きく B {\displaystyle B} が小さいという特別な条件下でどのように表されるかを見てみよう温度上昇し磁場減少する従いtanh {\displaystyle \tanh } の引数減少してゆく。すなわち μ B / k T ≪ 1 {\displaystyle \mu B/kT\ll 1} となる。ここで、 | x | ≪ 1 {\displaystyle |x|\ll 1} の場合 tanh ⁡ x ≈ x {\displaystyle \tanh x\approx x} という近似成り立つため、磁化 M {\displaystyle {\boldsymbol {M}}} は M ( T → ∞ ) = N μ 2 k B T {\displaystyle {\boldsymbol {M}}(T\rightarrow \infty )={\frac {N\mu ^{2}}{k}}{\frac {\boldsymbol {B}}{T}}} と表すことができる。 以上よりキュリーの法則証明することができた。なお、キュリー定数 C {\displaystyle C} は C = N μ 2 / k {\displaystyle C=N\mu ^{2}/k} である。また反対に低温や高磁場状況では磁化 M {\displaystyle M} は最大値 N μ {\displaystyle N\mu } に漸近する。これは全ての粒子が完全に磁場方向へと整列していることを意味している。

※この「2状態(スピン-1/2)の粒子」の解説は、「キュリーの法則」の解説の一部です。
「2状態(スピン-1/2)の粒子」を含む「キュリーの法則」の記事については、「キュリーの法則」の概要を参照ください。

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