1-8章「私」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 03:11 UTC 版)
自宅書斎で論文を執筆していた「私」が、室内に気配を感じて振り向くと、「異形の兎」がいた。私は様子を伺いつつ撮影するも、兎は逃げ出して階段を降りていく。私は兎が何かを伝えようとしていたと察し、追いかけるも見失う。家族は皆出払っており確かめようがなく、私は友人に相談するために外出する。 道中、湖に通りかかると、曇天の空に一か所だけ穴が開き、星空が覗いている。水面は柱のように数十メートルの高さまで隆起し、ゼリーのようにぬめりを放っていた。そのまま友人宅に向かうも彼は不在であり、夫人からお土産にと蒲鉾を受け取る。湖の怪現象を夫人に尋ねるも、彼女は全く知らない様子である。急ぎ帰宅した私が、キャメラを携えて湖に戻るも、現象は消えていた。とりあえず、あの兎の意図が、湖の光景を見に行けということであるのは理解した。町の者は誰も気づいておらず、ニュースにもならない。 帰宅して家族に確認を取ると、家族は皆ずっと家にいたと証言し、私の方こそ大学に行っただろうと返答される始末である。私が手に持っているのは、蒲鉾ではなく郵便物であった。はて白昼夢であったか。続いてボストンのランドルフ・カーター氏からの郵便物を開封すると、ディスクが出てくる。パソコンで読み込むと、ネクロノミコンを始めとする禁断の文献群がモニタに表示され、私は宇宙年代記に感激する。 翌日の夕方、私はキャメラを持って再び湖へ向かう。あの怪現象を解き明かして来週の学会で発表するのだと意気込み、再び湖面が隆起するのを待っていると、足元から水に飲まれていき、隆起して高く上げられる。私は自分が喰われていることを理解し、あのディスクにはウボ=サスラが納められていたことを知るが手遅れであった。
※この「1-8章「私」」の解説は、「曇天の穴」の解説の一部です。
「1-8章「私」」を含む「曇天の穴」の記事については、「曇天の穴」の概要を参照ください。
- 1-8章「私」のページへのリンク