鰭脚類の起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 16:17 UTC 版)
かつて海の世界の生態系には、魚竜・首長竜・モササウルス科などの大型爬虫類が生息していた。彼らは陸上の恐竜たちとともに約6600万年前に絶滅したが、それから約1300万年が経った始新世前期、再び陸上から海の世界のニッチ(生態的地位)に進出した2つの脊椎動物のグループがあった。1つは肉食性ないし雑食性の先祖をもつクジラ類、もう1つは草食のカイギュウ類であり、いずれも哺乳類であった。 クジラ類もまた偶蹄類に起源を発するが、彼等も海に進出した当初は(ちょうど現在の鰭脚類と同じように)沿岸にすむ水陸両棲生物であった。やがてクジラ類は水中生活に特化した系統のみが生き残り、彼等は現在のような沖合いでの生活に適応した。このことにより、再び沿岸性の肉食動物というニッチに空白が生じた。始新世の次の地質時代である漸新世の終わりごろになって、そのニッチに進出する形で進化したのが鰭脚類である。鰭脚類はその後、ダイナミックな適応と進化を遂げたが、クジラ類のように外洋で生活する種を生み出すに至っていないのは、おそらく外洋のニッチがすでにクジラ類によって占有されており、進出する余地がなかったからだろう。 なお、鰭脚類よりわずかに早い漸新世後期に、デスモスチルスに代表される束柱類が海に進出しているが、分布域はテチス海周辺に限られており、また中期中新世の末という早期に絶滅した。 鰭脚類は、北太平洋の北東側、すなわち北アメリカ側で発生したと考えられる。鰭脚類の祖先と考えられるアンフィキオン類は、始新世後期以降、第三紀を通じて北半球で繁栄した食肉類のグループである。蹠行性の歩き方や、大型で四肢の短い体形はクマに似ているが、頭部や歯列はオオカミによく似ていた。
※この「鰭脚類の起源」の解説は、「鰭脚類」の解説の一部です。
「鰭脚類の起源」を含む「鰭脚類」の記事については、「鰭脚類」の概要を参照ください。
- 鰭脚類の起源のページへのリンク