高額療養費の現物給付化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 13:58 UTC 版)
「高額療養費」の記事における「高額療養費の現物給付化」の解説
2007年4月より入院療養に対して、2012年4月より外来診療に対して、高額療養費が現物給付化された。従来の制度では一部負担額を支払った後、保険者に高額療養費の申請を行うという形であったが、現在では、70歳未満の被保険者又は70歳以上の低所得者・現役並みI・IIの者はあらかじめ保険者に高額療養費限度額適用認定証(以下、限度額認定証と略す)の申請を行い、交付された限度額認定証を医療機関に提示することによって、後ほど還付される高額療養費を見越した自己負担限度額のみの支払いで済むようになった(健康保険法施行規則第103条の2)。なお、70歳以上で低所得者・現役並みI・IIでない者については限度額認定証の交付は必要なく、通常の診療と同様に70歳から74歳の者は高齢受給者証、75歳以上の者は後期高齢者医療保険者証を窓口で提示することで、自動的に高額療養費の現物給付が行われる。限度額認定証の有効期間は、原則として1年である。 限度額認定証には所得区分項目にア - オの5種類の記号が記されている(70歳未満の者の場合)。 所得区分ア年収1160万円以上 健康保険・船員保険は被保険者の標準報酬月額が83万円以上国民健康保険は総所得金額の世帯合計額が901万円超 イ年収770万円以上1160万円未満 健康保険・船員保険は被保険者の標準報酬月額が53万円以上83万円未満国民健康保険は総所得金額の世帯合計額が600万円 - 901万円 ウ年収370万円以上770万円未満 健康保険・船員保険は被保険者の標準報酬月額が28万円以上53万円未満国民健康保険は総所得金額の世帯合計額が210万円 - 600万円 エ年収370万円未満 健康保険・船員保険は被保険者の標準報酬月額が28万円未満国民健康保険は総所得金額の世帯合計額が210万円以下 オ低所得者 市区町村民税の非課税者世帯等 区分オの適用を受けるためには市区町村長の証明または添付書類が必要である。また、区分ア・イに該当する者は、たとえ市町村民税非課税であっても区分オとはならず区分ア・イとなる。 なお、限度額認定証の交付を受け使用した場合であっても、以下のような場合には支給申請書を提出することによって高額療養費の追加支給を受けられる場合があるので保険者に相談を行った方がよい。 既に「多数回該当」に該当している状態で医療機関にかかった場合(医療機関の側では、限度額認定証だけでは多数回該当か否かは判別できないため、限度額との差額を改めて請求する必要がある) 限度額認定証の交付を受けた本人が、同月内に転院している場合 限度額認定証の交付を受けた本人が、同月内に他の同一医療機関に支払った自己負担額が2万1000円以上となった場合 同一世帯において、他の70歳未満の被保険者・被扶養者が同月内に限度額認定証を使用した場合 同一世帯において、他の70歳未満の被保険者・被扶養者が同月内に同一医療機関に支払った自己負担額が2万1000円以上となった場合 同一世帯において、70歳から74歳の被保険者・被扶養者が同月内に医療機関において自己負担額を支払っている場合 限度額認定証を使用したが、異なる区分であることが判明した場合(市区町村長の証明や添付書類が必要な場合がある)
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