高層湿原の発達と東北から北陸にかけての日本海側山地の偽高山帯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 08:48 UTC 版)
「日本の高山植物相」の記事における「高層湿原の発達と東北から北陸にかけての日本海側山地の偽高山帯」の解説
約1万年前の最終氷期終了前後の温暖化と約8000年前からの日本列島日本海側の多雪によって、中部地方以北の日本の山岳地帯の多くの場所に高層湿原が発達するようになった。これは温暖化による降水量の増加と多雪によって、山地にある平坦部や緩斜面の水はけが悪化し、植物の死骸の分解状態が悪くなったことによって泥炭の形成が進んだことが原因である。例えば尾瀬ヶ原は約9000年前から7000年前に高層湿原の形成が開始されたと考えられており、その他最終氷期終了前後に形成が開始された高層湿原には、北海道の雨竜沼湿原、沼の平湿原、本州の田代山湿原などがある。山地に形成された高層湿原には、北極圏周辺の植物である周北極要素の植物が約3割から4割、そして北海道の山地の高層湿原では千島列島、カムチャッカ半島、東シベリア等に起源を持つ植物が約2割から3割とかなり高い割合で分布している。 また日本海側の多雪は、東北地方から北陸地方にかけての飯豊山、月山、鳥海山、越後三山など、日本海側の山地に、亜高山針葉樹林帯が見られない代わりにハイマツなどの低木林やチシマザサなどの笹原、そしてイワイチョウ、イブキトラノオなど高山植物を含む草原などが見られる偽高山帯という植生を発達させた。偽高山帯とは高山帯に似た光景であることから名づけられたものであるが、約8000年前から5000年前にかけての温暖期に大きな打撃を蒙った亜高山針葉樹林帯が、多雪の影響で日本海側の山では復活が困難となり、偽高山帯が形成されるようになったと考えられている。
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