骨董品の価値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 22:38 UTC 版)
現在生産され流通する商品ではないゆえに、骨董品に定価は存在しない。ただし、取扱業者間で自然に形成された相場価格はある。それに年代や希少性、作者などに対して見いだされた価値、当該物品の保存状態を加味して価格が決定される。相場価格自体に希少性や作者に対する価値が織り込まれている場合もある。ゆえにオークションなどで買い手間の価値観が激しく衝突した結果、勝者の呪いが起きたような場合を除き、その相場価格を著しく超えることは稀である。逆に保存状態が極端に悪い場合など、価格が格段に下落する場合は多々ある。しかしその場合でも一般に掘り出し物といわれる、誤認などにより相場を著しく下回る価格で販売される物品は、売り手が全くの素人ならいざ知らず、専門業者の場合はまずないと考えて差し支えない。 ただし、この相場価格は時勢や流行などにより時々刻々変化する。とくに沈没船が引き上げられ、その積載物が多量に市場に流れたり、作者や大口の収集家が死去して、遺族がその作品や収集物を大量に処分するなどして希少性が著しく毀損された場合は大幅に下落する。逆にそれまで無名だった作品の作者を美術評論家が取り上げるなどして価値が大幅に上がることもある。上述したオークションの結果も相場価格に反映される。ゆえにこの辺の認識を欠いていた場合、売り手と買い手の価値観に大きな齟齬が生じ問題になることが多い。 なお、相場価格自体に作者に見出された価値や制作年代への評価が織り込まれていた場合、年代や作者を偽るなどするだけで大きく価格が変化するので、不当に高い値段で取引されるといった問題も起こる。 骨董品として流通する期間が著しく長くなると、その来歴も価値を高める役割を果たす。来歴とは、当該物品の持ち主の変遷リストのことで、持ち主が不明となっている期間がない物品は、その真贋に疑う余地がないということで非常に高い評価がなされる。逆に持ち主が不明となっている期間がある物品は、盗難に遭ったりなどして行方不明になったことを意味し、期間中に贋物とすり替えられた可能性が生じるため贋物の疑いがかけられる。
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