鞍山風穴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/05 09:32 UTC 版)
鞍山の南、標高100m~150mの山林内に鞍山風穴があり、鞍山風穴自然環境保全地域として1981年3月14日に指定されている。面積は全体で6.93haで、そのうち風穴現象が見られる地区の特別地区は0.65haである。この地区は、低山帯に位置しているが、風穴があり、亜高山植物のオオタカネバラやヤナギラン、ハシドイ、ベニバナイチヤクソウ、ミヤマスミレ、タチハイゴケ、コキンバイ、イワデンダ、ヌカボシソウ、ミヤマワラビ、エゾタツナミソウ、コメガヤなどが自生している。これらを保護するために、この山麓は自然環境保全地区に指定された。 風穴上部の斜面は赤松と広葉樹の壮齢樹林地で、中腹にあるいくつかの母岩は石英粗面岩である。そこから崩壊した流紋岩(大きさは種々雑多だが、基本的には経8cm、長さ20cm程度の六角柱)が幾重にも堆積し、上部斜面からの風が割石の隙間から冷たい空気としてはき出されていて、地面の温度は10℃程度を保っている。大館市の長走風穴より規模は小さいが、成因や石組み状態、植物名も大同小異でとても似ている。 写真の花はオオタカネバラで、苔はタチハイゴケである。岩の間からは冷風が吹き出している。 現地の風穴は地元民に古くから知られており、『栄郷土誌』では倉長根の雨池と表現されており、鬼が人を食べて骨を捨てた所であるという話と、ヤナギランの蒴果の白毛を葬式に使用する死屍花に見立てた伝説が記されている。また、凹地を血の池と称して恐れる伝説もある。この地区の昔話には、その昔鬼がこの地区にいて、墓にお供えしたハマナスの実をこの風穴に持ち込み食べ、その鬼がはき出した種が芽を出し現在のこの風穴のハマナスになったとするものがある。オオタカネバラの花はハマナスの花に似ている。また、ここには鬼の顔をした大きな岩があったとも言われている。 この冷風を利用してこの地区で働く人々は、朝飲み物を風穴付近に置き、冷やして飲んだとも言われる。
※この「鞍山風穴」の解説は、「鞍山 (北秋田市)」の解説の一部です。
「鞍山風穴」を含む「鞍山 (北秋田市)」の記事については、「鞍山 (北秋田市)」の概要を参照ください。
- 鞍山風穴のページへのリンク